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広がる環境ISOのまちづくりの輪
今こそ、環境を考えるとき

新潟県上越市環境部長

中川周一

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 環境への危機感が高まっている。それは今日の環境問題が、家庭のごみなどの廃棄物から地球の温暖化に至るまで、われわれの日常生活や通常の事業活動にその大部分が起因していることに多くの国民や事業者が気付き、そして真しにその保全・改善に向けた動きが顕在化してきていることにも現れている。

環境家計簿一万冊を無償配布

 上越市では、これまでも環境家計簿一万冊を市民に無償で配布し、自らの生活の中での環境への負荷を身近に考え直すキッカケづくりとしたり、世界の共通語である「マンガ」を通して分かりやすく地球温暖化防止への取り組みの必要性を広く訴えるなど、多くの先駆的な施策を積極的に展開してきた。
 当市は、昭和四十六年四月、高田市と直江津市とが当時、地方自治史上初の“対等合併”により誕生した、新潟県の中核都市である。戦国武将上杉謙信公の居城であった春日山城址の懐に抱かれ、東洋のアンデルセンとして名高い童話作家小川未明の生誕の地でもあり、歴史と文化とみどりあふれる人情こまやかなまちである。この美しいみどりの自然と共生しながら、今、「人・環境・まちづくり」を基本理念としたまちづくりを進めている。
 その一つが、環境ISOのまちづくりである。
 当市では、地域の環境問題に対する取り組みにとどまることなく、地球市民としての理念に基づいて地球規模での環境改善活動を世界のだれの目からも分かりやすく、そして戦略的に展開できるシステムを模索してきた。その結果、システムの維持、実施が行政の事務・事業にとっても客観性が高く、加えて科学的な進行管理をも担保できる、ISO14001という国際基準の環境管理システムに注目したのである。
 平成九年四月、当市における初の国際会議のメーンテーマとなった「環境保全と開発」が討議された席上、宮越馨市長自らがその認証の取得と普及を内外に宣言したのである。同年五月、認証取得のための「プロジェクトチーム」の設置から千百余人の職員が一丸となっての取り組みで、翌年二月には全国の市では初のISO14001の認証を取得したのである。そこでご存知かもしれないが、ISOについてひと言触れておく。

地球環境大賞優秀自治体賞を受賞

 ISOとは、その本部をスイスのジュネーブに置く「国際標準化機構」のことで、商品やサービスの国際間の協力を促すためにさまざまな分野で規格の標準化を行っている。ISO14001は環境に関する規格で、まず基本となる方針・計画を立て、その計画が実行されているかどうかを点検し、見直すことを繰り返すことで継続的な環境の保全・改善を図ろうとするものである。
 環境問題に対する取り組みを行政自らが率先垂範することで市民の環境意識の向上を図ることを目的とした、この環境ISOの認証取得は地域住民に大きな反響を与え、また、これまでの環境破壊の被害者意識から「加害者」の立場へと市民意識が変わる契機となったことは確かである。このような環境改善への取り組みが評価され、昨年四月には「地球環境大賞優秀地方自治体賞」という栄誉ある賞を、世界の環境先進国ドイツのフライブルク市とともに受賞したのである。
 当市では、平成八年度に「環境基本計画」を策定し、「環境行動計画」の今年度策定に向けて鋭意作業を進めるなど、総合的、計画的な環境行政を推進している。さらに、今年度を「環境行動元年」と位置付け、環境マネジメントシステムに基づいた庁舎における再生紙利用や省エネ・リサイクルなどの取り組みのほか、次のような市民啓発のための施策を展開している。
●地球温暖化防止への取り組み
(1)太陽光発電の公共施設への導入と個人住宅への補助制度
(2)低公害車の率先導入と市民への購入費補助制度
(3)電動生ごみ処理機の購入費補助制度
(4)風力発電施設導入のための風況精査
(5)「環境家計簿」一万冊の無償配布
●オゾン層破壊防止への取り組み
(1)家電製品からのフロンガス回収
(2)自動車用エアコンからのフロンガス回収
(3)環境人形劇「野菜の王国・ベジタブル物語」の開催
●森林資源の保護
(1)「市民の森」整備事業
(2)環境植物「ケナフ」の試験栽培
●市民への普及・啓発
(1)アース・ミュージカル「地球の秘密」の開催
(2)「地球環境シンポジウム」の開催
(3)「国際環境マンガ展」の開催
(4)「環境パトロール員」制度
(5)「環境情報センター」整備検討
●ISO14001普及への取り組み
(1)企業向けISOセミナーの開催
(2)企業のISO14001認証取得費用への補助

ゴールなき環境改善運動

 上越市ではまた、昨年六月の環境月間にフライブルク市の参加も得て「地球環境シンポジウム」を開催。地球温暖化、オゾン層や森林の破壊、酸性雨など地球環境問題の克服に向け、上越市民一人ひとりが地球市民としての自覚と意識を持ち、考え、そして行動する「地球環境都市宣言」を行った。「ISO14001」の認証取得はあくまでも手段であり、「地球環境への負荷の少ない持続可能な社会づくり」、さらには「行政の科学的進行管理」の確立という最終目的に向かって、ゴールのない地道な取り組みである環境改善活動を率先垂範、これからも取り組んでいく決意を新たにしている。

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