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沖縄県浦添市
浦添城跡整備、まちづくりのシンボルへ
35年長期計画、まず堀跡発見

浦添市教育委員会文化課主幹

安里 進

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首里以前の王都・浦添

 浦添(うらそえ)市は人口十万で、県都那覇市・首里の北隣にある。首里は琉球国都として知られているが、首里以前の王都が浦添であった。古くは「うらおそい」(浦添々を支配する土地の意)と呼ばれた浦添は、琉球王国発祥の地として知られ、その王城・浦添グスクは国の史跡に指定されている。ここでは、浦添城跡整備事業を軸にまちづくりに取り組もうとしている様子を紹介したい。

琉球王国を生み出した浦添


 琉球王国は、源為朝の子・舜天(しゅんてん)が一一八七年に建国したと伝えられている。その後、舜天―英祖(えいそ)―察度(さっと)の各王統が交替したが、英祖・察度王統の王宮が浦添グスクだと言われている。浦添グスクの立地は、軍事的に優れているだけでなく、宗教的にも意味がある。冬至の日には、王国の最高聖地で神の島といわれる久高(くだが)島から昇る太陽を遥拝できる聖地でもある。また、グスクの北側崖下には、英祖王が造営した王墓・浦添ようどれ陵もある。
 察度王は、一四七二年に中国・明との朝貢貿易を開くとともに、その冊封体制に加盟して独立国家としての地位を中国に承認させることに成功した。こうして、中国との政治的関係と朝貢貿易を基軸に、アジア諸国との海外交易を経済基盤にした琉球王国五百年の歴史が浦添から始まった。
 その後、察度王統は尚氏に滅ぼされ、王宮も首里城に移った。浦添グスクは、十六世紀には尚維衡(しょういこう)を祖とする浦添按司家の居館となったが、一六〇九年の薩摩軍の琉球侵攻で焼討ちされた。また、沖縄戦では日・米両軍の激戦地となり、城郭の跡形も分からなくなるほどに徹底的に砲撃され、戦後はコーラル採石で大きく破壊され、かつての王城の面影を全く失ってしまった。

発掘調査成果に復元への期待が高まる

 浦添グスクと浦添ようどれを含む一帯が、「浦添城跡」として国の史跡に指定されたのは平成元年であった。この国史跡指定を受けて、浦添市教育委員会では、七年度に「浦添城跡整備基本計画」を策定した。これは、向こう三十五年の長期に及ぶ復元整備計画で、その第一期事業として浦添ようどれ陵の復元整備が位置付けられた。
 私たちは、この復元事業を市民参加で進めることにした。発掘調査現場を市民に公開して、分かりやすく説明し、発掘に児童・生徒や市民が参加する事業を実施してきた。ちょうどその頃から、沖縄では首里城復元や、NHKの大河ドラマ「琉球の風」をきっかけに、琉球王国の歴史への関心が急速に高まりをみせ始めていたこともあり、浦添城跡整備への市民の関心はどんどん高まっていった。
 浦添グスクの発掘調査を始めてみると、かつての王宮だけあって市民の興味を呼び起こすような成果が次々とあがっていった。まず、従来知られていた浦添グスク石積み城壁の外側から、防御用の郭や柵列を伴った堀跡が発見され、首里城と並ぶ最大規模のグスクであることが明らかになった。浦添ようどれ陵の発掘調査では、陵の石垣の下から、浦添グスクを整備したときの鍛冶跡や、高麗系瓦と金めっきされた建物の飾り金具が出土したが、その現場公開には約三百人の見学者が訪れ、大きな反響を呼んだ。
 平成十年の発掘では、浦添グスクのふもとを走る道路の改良工事に伴う発掘調査で、浦添グスク時代の豪族の屋敷跡が発見されたが、その現地説明会には真夏の熱暑の中、三百人が集まった。
 また、沖縄戦で崩壊したと思われていた、ようどれ陵への通路である「暗しん御門(くらしんうじょう)」と呼ばれるトンネル跡が再発見され、約七百人の市民が現地説明会に押し寄せて長蛇の列をつくり、私たちを驚かせた。

まちづくりのシンボルへ

 こうした中で、浦添城跡をまちづくりのシンボルにしようという動きが、まちづくり市民会議や、浦添青年会議所、市商工会議所青年部などを中心に生まれ、浦添の歴史の講演会や勉強会が行われてきた。一昨年からは、冬至の日に神の島・久高島から昇る太陽を浦添グスクで「遥拝」する市民団体主催のイベントも始まった。
 この日の浦添グスクは、未明から歴史の雰囲気を味わおうと集まった大勢の人で賑やかになる。やがて、打ち鳴らす太鼓とともに東の空の雲間から陽光が差し込むと歓声が上がる。
 私たちの予想を超えて、浦添城跡整備への市民の期待は大きく、これをまちづくりのシンボルにしようという市民の動きが生まれ、年々盛り上がりを見せている。
 城郭復元には相当な年数を要するが、その間の発掘調査で次々と明らかにされる古都の歴史ロマンを市民が楽しみ、これを市民サイドからのまちおこし・まちづくりのシンボルへと発展させようという機運が高まりつつある。

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