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宮崎県
古代歴史ロマンの創造に向けて
日本有数の古墳群を生かした地域づくり

宮崎県地域振興課主査

田中浩輔

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 遠く小さい点のように見えていた赤い光がいつしか長い光の帯になった。その帯は夜の街を何かに導かれるように進み、黒い台地の入口にたどり着く。光はゆっくりと石段を照らし、台地の闇に吸い込まれていく。台地に上がった光の帯は、死者の霊を揺り起こすようにめらめらと輝き、やがて暗い森の前で一つの大きな炎となった・・・。
 西都原古墳群で行われる、「古墳まつり」の目玉行事「松明行列」の風景である。

特別史跡の西都原古墳群


 宮崎県は、「神話と伝説のふるさと」と称され、古代の史跡・遺跡が数多く残されている。中でも古墳は県内に約三千基あると言われているが、その三分の一の約千基が、県央部を東西に流れる一ツ瀬川の流域にある。そしてそれらの中心が、総数三百十一基もの古墳が密集する巨大古墳群、西都原古墳群である。
 西都原古墳群は、西都市街地に隣接する標高六十〜七十メートル、東西二・六キロ、南北四・二キロの台地を中心に分布しており、昭和九年に国の史跡に、戦後二十七年に国の特別史跡に指定されている。ちなみに、国の史跡に指定されている古墳群は、本県の八古墳群を含め全国に六十あるが、特別史跡に指定されているのは西都原古墳群と和歌山県の岩橋千塚古墳群の二つのみであり、その評価は国宝級といえる。
 加えて、西都原古墳群は、良好な古墳の保存状態だけでなく、西都市民の深い理解と協力により、自然景観および田園風景と一体となった、秀麗な雰囲気を持つ古墳群として高い評価を受けている。
 また西都市には、西都原古墳群のほかにも数多くの史跡・遺跡が残されている。中でも古代の宮崎の中心であったことを示す国府跡、国分寺跡等の遺跡や、中世の宮崎において絶大な力を誇示していた伊東氏の中心的な居城であった都於郡城跡などは、西都原古墳群とともに本県の歴史を語るうえで重要な遺跡である。さらに西都市には、古事記・日本書紀に由来する、神々のロマンあふれる伝承地も数多く残されている。

全国初の「風土記の丘」


 宮崎県は早くから、西都原古墳群の調査と保存に取り組んできた。大正時代に県主催で行われたわが国で初めての本格的な発掘調査は、考古学史上画期的な調査として刻まれ、昭和四十年代には全国に先駆けて「風土記の丘」整備事業を行った。
 平成七年度、県では、西都原古墳群をはじめとする歴史的遺産を活用した地域活性化を目指して、西都市と共同で「西都原古墳群およびその周辺地域整備構想」を策定した。整備構想では、「歴史と文化がいきづく、活力ある緑豊かな郷土の創造」をテーマに、西都原古墳群、西都原台地中段域(古墳群の東側に隣接する市街地。国府跡・国分寺跡等の遺跡や神話伝承地がある)、都於郡城およびその周辺という西都市内の三地域を対象に、それぞれの歴史的遺産を生かした地域整備プロジェクトを構築した。

西都市と共同でアクションプログラム

 昨年三月には、整備構想に位置付けたプロジェクトのうち、西都原古墳群に関するプロジェクトを中心として、五年間の短期計画であるアクションプログラムを西都市と共同で策定した。
 アクションプログラムでは、自然・歴史環境と調和する整備を基本として、古墳群の整備や自然景観の保全・創出により、訪れた人びとが古墳や古代の歴史・文化への興味や関心を高め、古代歴史ロマンを体感できるような古墳群を目指し、次のような整備を県と西都市が連携を図りながら進めることにしている。
(1)古墳の調査・研究および整備、説明施設等の整備、古墳景観の創出、園路や駐車場等の整備
(2)西都原資料館を本県の古代歴史情報発信拠点として、新たな視点から再整備
(3)新たなイベント広場の整備
(4)ガイダンスセンター、案内標識の整備
(5)桜並木の整備、花景観の創出
(6)アクセス・周遊道路の整備、臨時駐車場の整備
(7)古墳群のPR、魅力アップにつながるイベントなどソフト事業の企画・実施
 現在、県と西都市では、平成七年度に開始した古墳群の保存整備事業の推進と併せ、アクションプログラムを具体化するため、自治省のリーディング・プロジェクトを活用した整備推進に向けて準備を進めている。これは、今年度からリーディング・プロジェクトに新たに追加された特定政策課題「歴史的遺産・伝統的文化を活用した地域おこし」の第一号の選定を受けて進めているものであり、順調に進めば来年度から整備事業が始まる予定である。

地元市民の積極参画を期待

 以上述べてきたのは、地域活性化に向けた歴史的遺産の整備が中心である。したがって、その成果を地域活性化に結びつけていくためには、さらなる取り組みが必要であるが、それは県・西都市の行政だけでなく民間、市民レベルの取り組みに負うところが大きい。これまでも、地元市民による古墳群保護の取り組みや冒頭で紹介したイベントの企画・実施など積極的な活動をしてきたわけだが、今後より一層の取り組みが期待される。幸い、整備構想をはじめとする計画づくりや七年度から進められている古墳の発掘調査・整備をうけ、市民の意識も徐々に高まりつつある。県としても西都市とともに、今後の整備やその活用施策の実施において地元市民の積極的な参画を促進しながら、日本を代表する歴史的遺産として国内、さらには世界への情報発信を目指して取り組んでいきたいと考えている。

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