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愛媛県城川町
いち早くグリーンツーリズム
アンモナイト・黒瀬川構造帯を活用

城川町企画課長

兵頭 洋

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 城川町は、愛媛県東宇和郡の東部に位置し、旧村の遊子川、土居、高川、魚成の四地区から成る、典型的な中山間地域である。県下最大の河川「肱川」の源流にあり、伊予の国のもっとも奥まったところにあることから「奥伊予」と称し、イメージアップを図っている。町の面積は、約百二十七平方キロ、林野率八二%、耕地率六%、人工林率は約六五%で、スギ、ヒノキの優良材が生産されている。
 人口は、昭和二十五年のピーク時には、一万二千二百十人だったが、平成七年の国勢調査では五千百九十三人と過疎化が進み、高齢化率も現在三五%で、過疎対策、高齢者対策が大きな課題となっている。

奥伊予の奇祭

 町の歴史は古いものがある。数多く残る遺跡からは、約八千年前の人骨をはじめ多数の土器等が出土し、縄文早期から穴居生活を営んでいたことがうかがえる。さらに、城川町には数多くの文化遺産や民俗芸能、伝統行事が保存伝承されており、奥伊予の奇祭「どろんこ祭り」と呼ばれるお田植祭りをはじめ、指定文化財は三十九を数える。
 お田植神事「どろんこ祭り」行事は、三嶋神社の献穀の行事だが、同時に五穀豊穣、無病息災を祈願するものである。現在は十頭の牛による“しろかき”から始まる。豪華な飾りをつけた牛たちが、隊伍を組んで悠々と馬鍬(ぐわ)を引く。しろかきが終わると、あぜ豆植え。大きな“カッコ”(虫除け)を持った若者が先導して四人がおどけながら豆植えの真似をする。泥田の中で組んずほぐれつ、どろんこの演技に観客は爆笑。続いて勇壮なカグラバヤシ「さんばいおろし」を舞うが、そろいの花笠、そろいの浴衣の早乙女の手踊りはお田植祭りの華である。

天然記念物、町地質館に展示

 城川町はまた、日本では珍しい、数億年前の古生層の化石や岩石が分布していることで広く知られている。たとえば、古生代シルル紀に生存したクサリサンゴ、ハチノスサンゴ等、あるいは中生代に繁栄したといわれるアンモナイトが発見されている。いずれも県の天然記念物に指定、町地質館に収集・展示されており、見学のため年間約八千人が訪れる。アンモナイトは軟体動物頭足類の化石動物の総称で、オウムガイに似ているといわれ、町内では三十五、六種類が採取されている。
 このような特異な地質は「黒瀬川構造帯」と名付けられ、戦前から数多くの調査研究が重ねられてきた。城川町の前身である黒瀬川村の名が冠されたこの構造帯は、九州から四国、紀伊半島を経て関東地方に至る、長い一大断層帯である。地質館ではいま、黒瀬川構造帯のナゾを通して、地球の成り立ちを分かりやすく紹介している。

21世紀へのシナリオづくり

 平成五年十一月、町の新聞広報『しろかわ』で、「西暦二一九〇年、町から人が消える」というショッキングなタイトルの記事を掲載した。七年の国勢調査によると、前述のとおり総人口は五千百九十三人で、五年前に比べ四百十五人、七・四%も減少している。これは前回調査の減少率六・一%を一・三ポイント上回っており、人口がゼロになる日が加速されていることを物語っている。ちなみに、基幹産業である農林畜産業は、社会経済環境の変化、従事者自身の高齢化、後継者不足等により厳しい状況にある。若者が住みにくいと感じる要因は、「昔ながらの因習や地域活動が多すぎる」という点に集中。「若者の定住人口の増加」が必要不可欠な要件であろう。
 城川町では昭和五十八年から「わがむらは美しく」を合言葉に、潤いと活力のあるまちづくりを進めている。この運動は、ドイツで普及しているグリーンツーリズムを習ったもので、余暇の時代に中山間地域の城川町が生き残るための方策として、全国に先駆けて取り組んでいるものだ。「わがむらは美しく」施策は、次の柱から成る。
(1)生活環境を美しく(定住環境の整備)=交通、保健、医療、福祉、教育、住宅などの定住環境を都市水準にまで引き上げ、住民が安心して暮らせる生活空間づくりを進める。
(2)農地環境を美しく(農業振興)=農地に年中、緑のきぬを着せようというもの、土地基盤整備を推進し、農地の高度利用を進める、特産品開発により農家の所得向上を図る。
(3)森林環境を美しく(林業振興)=町の八二%を占める森林にさらに“適地適木”を進め、一ヘクタール当たり三十メートルの林道や作業道を開設し、手入れの行き届いた美林を育てる。
 「人の和と緑いかして伸びるまち」「わがむらは美しく運動」など、町が進めている歩みは二十一世紀もさらに推進。町内各地に点在している文化遺産、保存伝承すべき行事等を守り育て、「住民が快適に暮らせるまち」、そして「都会の人たちが安らぎを求めて頻繁に訪れてもらえるまち」をつくりあげることが、私たちに課せられている。

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