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奈良県明日香村 変わらないように変わる明日香 「静」から「動」へ遺跡保存 |
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明日香村企画課 |
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豊田昭彦 |
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明日香村は、奈良盆地の南東部に位置する、人口約七千百人の小さな村である。
この地は六世紀末から七世紀末にかけて都が営まれ、わが国の律令国家体制が形成された時代の政治・文化の中心地であり、村内には文化遺産が数多く存在し、周囲の自然景観と一体となった歴史的風土を形成している。明日香村では史跡、文化財だけではなく、それらと一体となった自然景観そのものが歴史的財産と認識され、保存の対象となっているのである。
この素晴らしい環境は決して偶然に残されたものではなく、村民一人ひとりが「歴史との共生」の心を持ち、規制に耐えて頑張ってきた努力の結晶であるといえる。
平成十年には、以前から内部に壁画のあることが確認されていたキトラ古墳の再調査を、最新の映像技術を駆使して行ったところ、既に確認済みの玄武のほかにも青龍、白虎、東アジア最古の天文図などの壁画が発見され、日本中の古代ファンを熱狂させた。
最古の水時計復元へ
このように重要な遺跡や古墳が村内至る所に存在している村であるが、これまでは保存に重点が置かれてきたため、結果として数多くの遺跡のほとんどは今なお地中に眠ったままであり、せっかくの資源が地域の活性化には有効に活用されていなかった。
また、観光地としても来訪者の想像力に頼っている面が多く、歴史に詳しい者でないと本当の意味で楽しめないところがあった。
村ではこれらの課題の克服に向けて、日本最古の水時計(漏刻)の遺跡であるといわれる石神(いしがみ)・水落(みずおち)遺跡の復元整備を計画している。この水時計の復元によって、だれでも目で見て分かる新たな歴史観光スポットの創出だけでなく、飛鳥史入門の入り口として機能することを目指し、検討委員会を設置し活発な議論を行っている。
キトラ古墳周辺も、CGによる立体映像の壁画館やプラネタリウムの設置、アジアの壁画を収集した展示室等を整備していく予定である。
万葉恋愛クイズや石舞台プリクラ
新たな試みとして、恋愛を切り口に若者にターゲットを充てた「万葉恋愛クイズラリー」という、村内に十八基ある万葉集の歌碑の中から恋愛がテーマの四カ所を巡ってもらい、その歌にちなんだクイズに答えてもらうイベントや、高松塚古墳の壁画に描かれている女人像をモチーフに作成した、古代衣装を着てもらって生の石舞台古墳をフレームがわりにしたプリクラサービスを実施するなど、デートスポットとしての魅力をアピール中である。
このような流れを受けて、村民の中からも新しい動きが出てきている。「万葉あすか劇」と名付けた、村内の有志による手作りの劇が村民自らの手で行われるのである。これも静から動へと移り変わる姿勢の現れか、遺跡と共に眠っていた村民の意識も掘り起こされてきたように感じる。
棚田オーナー制に応募殺到
史跡の保存もさることながら、自然景観も明日香の大切な財産であるが、近年は産業構造の変化や後継者不足等の問題から農地の荒廃化が進み、この環境を守ることも年々難しくなってきている。そこで、変わらない明日香の面では、村の代表的田園景観である棚田を都市住民にレンタルし、農業体験を行ってもらおうという発想が生まれてきた。それが「棚田オーナー制度」である。当初予定していた四十区画には十倍以上の応募があり、単なる農業体験だけではなく、日本の原風景の保全といった趣旨を理解してもらえた結果だと感激している。
さらに、当初の目的であった農地の保全だけにとどまらず、地元の方に農作業のインストラクターとして協力していただく過程で、自然な形で地域住民と都市住民の触れ合いが行われ、毎年この地区で実施される「彼岸花まつり」など数々のイベントは、オーナー、地元、行政が一体となって行われ、大盛況を収めている。
絶品「なすのからしづけ」
農業を守るため、地元農産物の販売ルートの確保、ブランド化を狙ったアンテナショップ「明日香夢市」を石舞台古墳の近くにある幼稚園跡地を利用して立ち上げ、地元の農産物、農産加工物や新規開発された特産物などが販売され、明日香村の素顔に触れられる観光スポットとして定着してきている。
なかでも、“あすかなす”を使用した「なすのからしづけ」は絶品で、ほんのり辛い口当たりはまさに故郷の味、と好評を博している。
今後はこのように、保存一辺倒でなく若者が希望を持てる村づくりを目指し、「変わらないように変わる明日香」として、いつまでも日本人の心の故郷でいられることを願っている。
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