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北海道渡島支庁
遺跡の郷(さと)・縄文ロードの形成
「青函交流」も視野、関係市町村と連携へ

渡島支庁地域政策課主査

舘山 巌

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 北海道庁は広大な面積がゆえ、十四の行政区域からなる支庁制を採用している。北海道の南西部、渡島半島の東側に位置する渡島(おしま)支庁は、函館山からの夜景を誇る函館市を中心とした一市十六町村、人口約四十七万人で構成されている。総面積は約三千七百平方キロ、全道の約四・五%を占め埼玉県の広さに匹敵し、日本海に面する南西部の松前町から、南に津軽海峡、東に太平洋を巡り噴火湾に面する北端の長万部町まで、約四百キロの非常に長い海岸線を有している。
 「渡島」の由来は、鎌倉時代以降に戦乱等で逃れて渡来するものが多く、また、奥羽・北陸地方の漁民などに未開の新地として注目されるようになり、これらの人びとを渡り党(島)、と称したことから始まったと言われている。

大船C遺跡で脚光

 平成八年十二月、南茅部町大船C遺跡が「最大級の縄文集落」、「青森の三内丸山に匹敵」と大きく報道され、縄文ロマンに思いをはせた人びとが同町に足を運んだ。縄文時代中期末のものとみられる大規模集落と推定され、考古学関係者からも注目を浴び、現在も発掘調査が続いている。
 この大船C遺跡に代表される縄文遺跡は、縄文時代早期後半のものとみられる大規模集落が確認された函館の中野B遺跡や、全国でも初めて縄文時代の家を型どった立体的な家型石製品が出土した八雲の栄浜1遺跡など、渡島支庁管内で七百五十余の埋蔵文化財包蔵地が確認されており、また津軽海峡を挟んだ青森の三内丸山との“青函交易”もあったのではないかとされているが、遺跡の保存活用を視野に入れている遺跡は、ほとんど見当たらないのが現状である。

渡島支庁の独自政策

 この縄文遺跡が豊富に点在している地域性に地域づくりの切り口を探究し、渡島支庁の独自政策として打ち出したのが「遺跡の郷(さと)・縄文ロードの形成」である。人びとの意識が「量から質」、「物から心」へと変化して、遺跡の発掘によってまれにみる「縄文ブーム」となっている。渡島支庁では、この機運を単なる一過性のブームとして終息させることなく、自然や物を大切にしてきた縄文人の精神を未来に伝え、また、現代のわれわれが交流によって地域間の連携を深めていくため、はるか昔の縄文人が通った縄文ロードを舞台に、縄文文化に触れる場づくりや交流を促進し、地域文化の交流や地域振興を推進することとした。

「道フォーラム」や土器づくり大会

 平成十年度の事業としては、多くの人に縄文文化に触れていただくため、「縄文の道フォーラム」「縄文土器づくり大会」を開催し、管内の縄文遺跡・遺物等を紹介したパンフレットを作成したところである。
 マスコミ各社も地域活性化のため、いろいろな事業に取り組んでいるが、今回試みようとする事業ベクトルの方向がドンピシャだったこともあり、NHK函館放送局、北海道新聞社函館支社と渡島支庁、渡島教育局、南茅部町の五機関でまず実行委員会を発足させ、手を携えて事業の準備を進めた。
 ここであらためて驚かされたのは、当たり前のこととは言え、「縄文」に対する住民意識の高さとマスコミの威力であった。当初、フォーラムの定員を五百人と設定した。この数字が多いのか少ないのかは議論のあったところであるが、最終的にこの数字で落ち着いた。
 果たして定員まで集まるだろうか。その不安を一瞬にして払しょくしたのが「縄文ブーム」である。ブームのウエーブを肌身には感じていたが、まさかこれほどまでとは、夢のまた夢だった。この住民の意識と、数多くの告知用スポット番組の放映や紙面掲載があったからこそ、フォーラムに七百人近くの参加申し込みがあり、大盛況のうちに事業を終了することができた。同様に、縄文土器づくり大会も会場を急きょ変更する対応を迫られた。遠くは長野、新潟、神奈川からも参加者があり、実行委員会の面々も度肝を抜かれた。
 フォーラムは、「道」をキーワードに、縄文文化の広がりや生活の様子を学ぶ内容で午前の部を基調講演、午後の部をパネルディスカッションの構成で行い、俳優で考古学に造詣が深い苅谷俊介さんを迎え、各パネリストが独自の解釈を交えながら論議が繰り広げられた。
 縄文土器づくり大会は、円筒土器をサンプルに、参加者独自の発想で土器を仕上げてもらい、縄文土器の魅力を体験した。
 こねた粘土をひも状に伸ばし、一段一段積み上げ、形を作り、紙をこより状にした原体と呼ばれるなわで模様を付けるなど、なれない作業ながらもそれぞれが独自の土器を完成させた。土器は二週間乾燥させた後、野焼きを行い参加者の手元へと戻っていったが、原形を留めることなく破裂した土器が一つもなかったことが何よりもホッとした瞬間である。

ソフトからハードへ

 渡島支庁は、十一年度も継続して縄文ロードの形成に向けて各種事業を実施する予定である。縄文遺跡を側面からバックアップしている任意団体間の交流促進を助長するため、縄文研究会の開催や縄文体験事業等を実施することで「縄文ブーム」をさらに高めていきたいと考えている。そして、このソフト事業が明日のハード事業へと結びついていくよう、市町村と連携を図りながら「縄文ロード」を構築する地域づくりを進めていきたい。

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