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市町村実務研修

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ハードの時代からハートの時代へ
●秋田・岩手コース レポート

島根県六日市町
吉中 力



 深湖魚・国鱒を探しています…。一枚のポスターを目にして、思わず足を止めた。
 秋田新幹線開業に合わせてオープンした田沢湖観光情報センター「フォレイク」でのことである。深さ日本一の湖、田沢湖に生息していたというサケ科の国鱒。その幻の魚に五百万円の懸賞金が懸けられているという。何ともロマンのある話ではないか。
 森巖夫塾長をはじめとする十八人で昨年十一月十七日から二十日までの四日間、秋田・岩手県コースを視察。最初の視察地、角館は秋田空港からバスで約一時間。「みちのくの小京都」と呼ばれる城下町である。武家屋敷のたたずまい、美しい町並みを歩きながら生活者の立場で町並み保存についてあれこれ考えた。
 その夜、冷えきった体に田沢湖芸術村ゆぽぽのお湯がうれしかった。そこで行われた交流会では、役者さんが素晴らしい芸を披露してくれた。まさに、おもてなしの心。
 「なぜ、音楽や芸術は戦争に無抵抗だったのか」。四十七年前、わずか三人で焼け跡の慰問から始めたというわらび座の活動。創設者の原太郎氏の精神を受け継いだ現在、パートを含め三百七十人を雇用する株式会社に成長。こだわりの文化、芸術が地域の中で深いかかわりを持つようになっていた。
 啄木ゆかりの地、盛岡市では都市景観行政についての研修を行った。市民の意識調査から始まって、岩手山の眺望を最重要視した景観形成をコンセプトとしたまちづくり。今、駅西口開発事業が進められている。
 四町サミットで有名な東和町では、日本で初めての取り組みとなる園芸療法についての話をうかがった。高齢化社会への取り組みを比較すると、わが六日市町では園芸療法に代わるものがあるのだろうか。
 最終日は、遠野市で土淵中学校を視察、いずれも二十人学級で、生徒数は百二十二人。学校とは思えない木造校舎に木の香りが漂う。恵まれた環境の中でのびのびと豊かな感性が養われることだろう。Uターン予備軍である子供たちに、地方でしかできない良質の教育サービスを提供する、ことも立派な定住対策であると感じた。林野率八三%という地域特性を生かした、木材総合供給モデル基地も見学した。
 「民話のふるさと遠野」。昭和四十年代、若手職員によって策定されたトオノピアプランが、現在のまちづくりに生かされているところがすごい。滞在中、ずっと案内役をしてくれた熱血公務員、奥寺さんはリーダー塾の先輩となる第八期生でもあった。言葉の中にまちづくりへの熱い思いが伝わってくる。
 研修先で出会った東北の人の温かさ。先人に学び歴史を大切にすること。人的資源などを生かしたまちづくり。今、生きているものが地域固有の美しい景観や食文化を次の世代に残し、伝えなければならないこと。そして、自分たちの町に誇りを持つことなど。今回の研修でいろんなことを教えられた。平成十二年三月に現行過疎法が失効する。「ポスト過疎法」では従来と違った視点、違う手法でまちづくりを考えることが必要であろう。これからはハードの時代ではなくハートの時代であると感じた。二十一世紀に伝えるもの、それは心ではないだろうか。

保存運動へ住民の積極参加が重要
●富山・岐阜コース レポート

岩手県葛巻町
村上明彦



 富山・岐阜コースは、昨年十一月十七日から二十日までの四日間、岡崎先生以下、熟生六人、事務局二人の計九人の参加者で実施された。
 富山県高岡市のリサイクルプラザは、十月に開設された廃棄物再生利用総合施設。一日のごみ処理能力四十六トン、ごみ処理ラインが四種類に区分されている。
 画期的なのは、包装容器廃棄物処理ライン。ガラスびん、スチール缶、アルミ缶、ペットボトルなどの廃棄物を一括収集し、一つのラインの中でガラスびんの色別分別、缶はスチールとアルミの素材別分別、ペットボトルも圧縮梱包されるというもの。同市では、ごみの分別について、審議会やフォーラム、住民説明会の開催、市の管理職による現地指導など、十七万五千人の市民を巻き込んだ地道な努力で実施されており、地域づくりのモデルになると感じた。
 瑞龍寺は、平成九年に山門、仏殿、法堂の三つの建造物が国宝に指定された。建造物の国宝指定は法隆寺以来、三十年ぶりのこと、以来、観光客も増加しているという。今後は、瑞龍寺周辺の景観が整備されるとさらに魅力的になろう。
 富山県利賀村は、そばへのこだわりから、平成元年にネパールのツクチェ村を訪問し、交流が始まった。その成果は、文化的、人的な交流の産物である「暝想の館」に見ることができる。ネパールから絵師を招き、一年半の歳月をかけて曼荼羅を製作し、展示している。利賀村の国際交流の基本理念である「お互いの生活と心の交流」を見失わない限り、交流人口も増え、活気にあふれる村づくりができると感じた。
 岐阜県白川村の合掌造り家屋は七年、世界遺産に登録された。村内には百八十棟もの合掌造り家屋がある。世界遺産登録後の年間観光客は倍増し、大型バスが一日二百台も押し寄せることがある。昭和四十六年に「荻町集落の自然環境を守る会」が発足し、合掌家屋を「売らない、貸さない、壊さない」の三原則を厳守してきた、地域住民の努力が今日に至っている。
 しかし、観光客から収益を上げている民宿や売店と一般家庭のギャップや、学生アルバイトなどの余剰労働力の少なさといった問題点もあるそうだ。
 同県清見村のオークビレッジは、五十一年に「自然との共生」を基本理念にスタートした。現在は、家具の受注製造販売、森の博物館や宿泊施設、レストランの運営、さらに木工教室やグリーンツーリズムの体験学習などの事業を展開している。
 担当者は、地域づくりに関して、その地域の個性と、人づくりが重要だと話していた。視察の最後に、バターナイフ作りに挑戦し、一時間ほどで手作りのお土産が完成した。
 同県高山市は、城下町として栄え、江戸時代の町並みの一部が重要伝統的建造物群保存区域に指定されている。河川環境を守ろうとした子供たちの活動が市民運動へと発展し、「上三之町町並み保存会」の結成など、町並み保存運動が実を結び、五十四年に「伝建地区」に指定された。市では、古い町並み保存のために補修費用を助成したり、防災設備を整備し、自主防災組織の活動を支援している。市街地でも景観条例により景観保存地区を定めており、町並みを市民の財産として残そうという意気込みを感じた。
 高山市の景観保存への取り組みは、「住民自らが積極的に保存運動に参加できる環境づくり」が重要であることを教えてくれた。

熱い情熱が地域づくりに結実
●徳島・兵庫コース レポート

山梨県東部県税事務所
天野博道



 今回、市町村実務研修徳島・兵庫県コースには宮口先生以下、塾生七人、事務局二人の総勢十人が参加した。全国の「地域づくり」での先進地を実際に訪れ、宮口先生のお話を聞きながら見ることができたのは、私自身にとって素晴らしい財産となった。
 最初の研修先、徳島県上勝町では、笠松開発課長さんに説明をしていただいた。
「いっきゅうと彩りの里」をキャッチフレーズとしている町であり、まず「つまもの」の出荷を見学した。「葉っぱ」を商品にするなどということは考えつかないことだが、十数年前から、紅葉や柿の葉等を全国に出荷している。住民の老齢化による労働力の低下等の問題解決にもなり、卓越した先見性に驚いた。また、第三セクターを活用した、特産の杉材利用のパネル住宅や間伐材を利用した木材ブロック、椎茸菌床の生産等、職員の企画力の高さに感心した。
 山田町長さんと「つまもの」の仕掛人、横石産業課長補佐さんを加えた交流会では、活発な意見が交換された。住民が考えて行動して満足できることを、行政がサポートする仕組みづくりに腐心されていることに感銘を覚えた。
 徳島市では、商工課の寺尾係長さんに「しんまちボードウォーク」を中心に説明いただき、新町川を守る会の中村会長さんには船で川の中から、案内していただいた。本来、都市の真ん中を通る川は邪魔なものとされるのであろうが、それをまちづくりにプラス要因として取り入れたことには感心した。
 阿波こくふ街角博物館は寺岡運営副委員長さんにご案内いただいたが、街角博物館とは、地域の十以上の住居等に展示・体験の施設を設け、その総称をいう。町の中を回りながら立ち寄るユニークなものだった。ここではちょうど地元のラジオ局が取材をしていて、急きょ、塾生も二人出演し、予定にはない形での交流も行われた。
 淡路島に移動して、夜、お忙しい中、交流会に淡路人形浄瑠璃館の馬詰総支配人に参加していただいた。私の住む大月市の追分人形にもおいでになったことをうかがい、浄瑠璃の奥深さを垣間見た。現在、プロとして十八人いるが、地元の小学生にも浄瑠璃を教えており、やがてはプロを目指すことができる夢を持たせている。地域文化が本当の意味で根付いていると感じた。翌日、実際に浄瑠璃を見学し、その素晴らしさを体験した。
 兵庫県五色町では、ウェルネスパークをはじめとする健康文化都市としての説明を高田税務課長さんにしていただいた。現在行われている町独自の福祉保健施策は、これからの地方分権を考えると、大変に意義のある内容であった。
 今回の研修で、地域に対する熱い情熱を持った人たちがいるところにこそ、「地域づくり」は実を結んでいると肌で感じた。




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