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宮崎県都城市
「アートフェスタ」、地域の心おこし
中央通り、田舎にも文化あるはず

都城市立美術館学芸員

冨迫美幸

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生き生き過ごせる場に

 都城市の中心市街地、中央通り商店街の空き店舗などを会場に展開する「アートフェスタ」。地域の芸術環境づくり事業、〈都城Art好きップ〉のひとつで、具体的な名前はまだ付けていない。差し当たり「MAIN STREET美作(びっくり)箱」とでもいっておこう。
 要するに地域の心おこしである。これからの十年、二十年を担っていく世代である自分たちが、生き生きと過ごせる場をこの手で拓(ひら)こうという試みである。
 こんな声を聞く。「都城には何にもない」と。選択の幅がない(選択肢が限られている)のだという。確かに、圧倒的物量の都会とは比較しようもないだろう。商品はもちろん、生き方でさえも。
 しかし、本当にそうだろうか。人口や物量などに違いはあるけれど、人というものは都会と田舎とで違うものだろうか。少々かび臭いモノいいになるが、都会の人なら文化的で、文化的でないのが田舎者なのか。
 とすれば、都会に住む人の中には、多くの選択肢に囲まれているというだけで、自分たちを文化的、進歩的だと錯覚する向きもありはしないか。

地域の核をアートに

 たとえば、都会は熱い湯舟である。その中にゆったりと身をあずけて、心地よさに浸る。都会的で文化的だと思い込む。その湯を自分の火で沸かしたわけではないのに。
 環境を享受(きょうじゅ)することと、環境をつくり出すこととは同じではない。環境をつくり出す精神的な火種こそ、文化の名に値するものだと私は思う。だから、選択肢の少ない田舎とはいえ、文化的であり得ないはずはないのである。
 自分にとっての快適な湯温を、自分でつくり出す。人間はそうした情熱を奥深く備えている。湯を沸かすエネルギー(火種)が自分の中にあれば、環境を拓くことはできるはずである。
 わずか、ひと世代という短時間に、時代はかつてのコミュニティに郷愁を覚えるまでに変わった。商店街のすう勢も大きく動いている。
 かつてのコミュニティに郷愁を覚えても、すでにその世代でない私たちは、自分の立つ地平、自分の地軸をどこに置くのか。どのように生き、どのようにこのまちに住むのか。心は宙に浮いている。
 微小な空気中のちりを核に、水分が結晶し雪となるように、地域にも核となるその時代のちりが必要だ。それをアートに求めようというのが今回の企画である。

時代の美意識つかみたい


 アートはもともと、コミュニケーションの所産である。物見高い人間に特有の遊びである。そして、商店街がリッチにみえたり、華やいでみえることも、商品というものにヴィヴィッドなアートの感覚が同居しているからであろう。
 逆に、商店街がくすんでみえるなら、それは、これまでそれをささえてきた美意識が、いつとはなしに、どことなく、くすんでしまった結果なのである。
 時代の美意識をいち早くつかみたい。今回の実行委員長、野口博史さんがいう「ライフスタイルを提案できる店づくり、街づくり」もそこから始まる。
 それには、ちょっとした新しい方向、その萌芽を見落とさないことである。それぞれの生を充実する契機は、案外そんなところにあるのだから。
 昨今、街にさまよい出るアートの自己増殖が、商店街の新しい個性を演出し、コミュニティの核探しにひと役買うとしたら、それも時代というものだろう。
 実行委員会のメンバー五人が確定した以外、実はまだ何も決まっていない。メンバーがこの企画のために走り出すのは、〈盆地祭り〉(八月一日)を終えてからのこと。十一月上旬の実施を目途にしている。
 大まかな柱は次の三つである。
1.Kid's Atelier〈らくがき工房〉
こどもたちの造形遊びを空き店舗その他で展開
2.Art Room 一般の作家の制作
3.Music Street 通りでのミニコンサート


●実行委員長 野口博史(31歳)
 今回の企画は、中心商店街としての地域情報発信と、街としての方向性を示唆するものと確信する。
 町並みを途切れさせている空き店舗の有効利用、通りからの次世代へのメッセージ、アート感覚で楽しめるショッピングゾーンを強く打ち出せるイベントを、発起メンバーだけでなく、あらゆる人材を募り、市民参加型のイベントとして、創り上げていきたい。

●委員 山田裕一(38歳)
「都市の空気は人を自由にする」という。文化的な風が人びとを都市にいざなう。たとえば、広場に美術品があり、映像や音楽が流れ、カフェでおしゃべりを交わす。
 市役所と中心商店街が徒歩圏内にある都城市なら、市の職員が朝夕の通勤に中央通りを歩き、ひとときウインドウショッピングや一杯のお茶を楽しむ。通りすがりの会釈、店頭での何気ない会話…。
 江戸の横丁、パリの下町ではないけれど、どこか小粋(こいき)な「みやこんじょぼんち通り」のそんな景色を見てみたい。

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