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神奈川県川崎市
地域とともに歩み、地域に貢献
モトスミ・ブレーメン通り商店街
充実したソフト事業を展開

川崎市経済局商業観光課主査

中村 豊

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注目集める独自の取り組み

 近年、商店街の活力の低下が全国的な規模で進行しつつある。
 川崎市においても同様な状況がみられ、各商店街とも活性化に向け、種々努力しているところである。そんな中、モトスミ・ブレーメン通り商店街は独自の取り組みで、周囲から大きな注目を集めている。そこで、本稿では同商店街を取り上げ、これまでの取り組みなどを紹介したいと思う。
 モトスミ・ブレーメン通り商店街は川崎市のほぼ中央、中原区を東西に走る東急東横線元住吉駅の西口に位置する商店街である。
 駅西口からブレーメン通りと名付けられた石畳の街路がのび、これを挟んで両側に約二百の店舗が並んでいる。街路はモール化されており、全体としてすっきりとした印象を与えている。商店街の中央部には、定時になると機械仕掛けの楽人が登場するヨーロッパ風の外観をもったコミュニティセンターがあり、商店街のシンボルとして地域の人びとに親しまれている。店舗構成も調和がとれており、ほぼすべての業種がそろっている。商店街を歩く人も約一万二千人と多く、活気に満ちている。
 近時の消費の低迷により本市の商店街が苦戦を強いられる中、同商店街は一人、気を吐いているともいえるが、ここに至るまでの道のりは決して平坦なものではなかった。

まちづくりは中世ヨーロッパ風

 同商店街は駅前に位置することから人の流れが多く、近隣商店街と比較すると、有利な立地条件にある。とはいえ、東横線を利用すると、東西とも二十分で渋谷、横浜という一大商業集積地に達することができるうえ、隣接駅の武蔵小杉、日吉も地域の主要な商業集積地であるというように、厳しい地域間競争にもさらされている。
「漫然としていては衰退するだけ」危機感を強めた同商店街は、昭和六十年に「元住吉をよくする会」を発足させ、まちづくりについて研究を進めた。その結果、たどり着いたのが中世ヨーロッパをモチーフとしたまちづくりだった。ロマンチックで趣のあるまちを演出することによって消費者を魅了し、消費の流出を引き止めようというものである。
 この構想に基づき、ハード面の整備が組合事業として開始された。アスファルト敷きだった街路が赤御影石の石畳に生まれ変わり、街路灯もヨーロッパ調のしゃれたデザインのものに一新された。電線・電柱も地中化され、それまでのごみごみした印象をすっきりしたものに変えた。また、先にも触れたが、商店街の中央部のコミュニティセンターも建設され、買い物客や市民の憩いの場が生まれた。
 こうしたハード面の整備の結果、モトスミ・ブレーメン通り商店街は周辺地域も含めてユニークな外観をもった商店街として、人びとの間で広く認知されることに成功した。

大イベント「ブレーメン音楽祭」

 また、ハード面の整備完了後、同商店街はドイツ・ブレーメン市のロイド・パサージュ商店街と友好協定を結んだ。そして、これを機に、商店街の名をそれまでの「元住吉西口商店会」から「モトスミ・ブレーメン通り商店街」と変更、メーンロードも「ブレーメン通り」と命名し、商店街イメージの一層の向上を図った。
 このようにモトスミ・ブレーメン通り商店街は、ハード面の整備によって特色ある商店街へと脱皮することに成功したわけだが、同商店街を一層特徴づけているのは充実したソフト事業の展開である。紙幅の関係ですべてを紹介することができないので、ここではその中でもユニークなものを二つ取り上げることとする。
 さて、「ブレーメン」という街の名から直ちに連想するのは、グリム童話で有名なブレーメンの音楽隊。同商店街ではこれにちなんで、平成元年から「ブレーメン音楽祭」を実施している。これは県内の優れたマーチングバンド約二十団体、千五百人を一堂に集め、商店街や周辺地域を行進するというものである。本年度は八回目を迎えるが、毎回約五万人の観客を集めることからも分かるように、いまでは商店街の枠を超えた地域の大きなイベントとして、市民の間に広く定着するまでになっている。
 また、近年、世界的に環境保護が大きな課題となっているが、同商店街も早くからこの問題に取り組んできた。同商店街はロイド・パサージュ商店街と交流に努めているが、代表団が同地を訪問した際、商店街が環境問題に積極的に取り組んでいることに深い感銘を受けた。

環境問題で国際シンポも

 そこで、同地で実際に使用されているエコバッグを輸入し、資源の浪費や環境破壊をもたらす過剰包装を慎む運動を展開した。さらに、こうした啓発活動が実を結び、七年には「商店街が取り組む環境問題」というテーマで、国際シンポジウムを開催するまでになり、大きな反響を呼んだ。
 現在、多くの商店街でソフト事業の一環として、いろいろなイベントが実施されている。しかし、それらは商店街の販売促進そのものしか狙っていないものが多々あるように見受けられる。これに対し、モトスミ・ブレーメン通り商店街の場合はやや趣きを異にする。自らの直接的利益というよりも、地域全体への貢献ということを主眼としているからである。
 モトスミ・ブレーメン通り商店街がよって立つところは「地域とともに歩み、地域に貢献する商店街」ということである。目先の利益にとらわれない、地に足のついた地道な努力の積み重ねが結局は消費者の心をとらえ、強い支持が得られるという考えである。
 いま、多くの商店街でその再生・活性化に向け、試行錯誤が繰り返されている。地域の特性に応じて、その対応策はさまざまなものとなるだろうが、モトスミ・ブレーメン通りの姿勢はひとつのヒントとなるのではないだろうか。

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