長野県上田市
おんなしょうぐみ
地域のプライド、発展に不可欠
「介護保険」など勉強へ
文化中心に多彩な活動
東京から長野新幹線「あさま」に乗って約七十分、昨年の開通で一挙に東京に近くなった感のあるまち「上田市」、戦国武将真田氏の本拠として知られる歴史のある城下町である。駅を降りると、真田幸村公の像が出迎えてくれる。この地で活躍する地域づくり団体の「おんなしょうぐみ」に、お邪魔した。
「おんなしょう」はいわゆる「女衆」とは違い、上田地方の方言で、女性を親しみを込めて呼ぶ二人称である。土地の人は奥さんのことを「うちのおんなしょうが」というふうに使う。女性中心の団体の名前として、代表の瀧塚照子さん(六六)は即座にこの名称が浮かんだそうである。瀧塚さんは土地の人ではなく、愛知県の半田生まれで東京育ち、ご主人の転勤に伴い、上田に移り住んできた人である。ご主人の死をきっかけに、この地で何ができるかを考え始めたという。
「おんなしょうぐみ」は文化活動を中心に、講演会、コンサート開催“手(て)づくなもの展”など多彩な活動を行っている。現在メンバーは二十八人、男性を含め開放的な雰囲気をもつ会である。
会費を徴収した活動は閉鎖的になるし、会員だけでなく広く一般の人にも参加してもらいたいとの考えから、会費は徴収していない。ただし講演会、コンサートなどでは会場費相当の参加費だけをいただいている、という。したがって、会にはいつも余剰資金がなく、手伝いの人も手弁当での参加となっている。
できることから実践
上田市は古い慣習が色濃く残っている地域で、会の運営がこれまでうまくいってきたのも瀧塚さんが基本的には「よそもの」であり、従来の上下関係に縛られなかったためではないか、と思われる。あまり広いまちではないから地元の人であれば、氏素性がたいてい分かってしまっている。そこで同郷の人であれば、「なんであの人が」「あの人より私のほうが」という意識がどうしても出てきてしまうが、「よそもの」であるが故に、これらの関係に縛られることなく、活動ができたのだという。
また、活動に当たっては、女性の立場から男性にできないことを心掛けてきた。「男と女は決して同等ではない」「男が、女が、という前に人間として何ができるか」という考えから、プラス思考で今何ができるかを考え、できることから実践してきている。
「男と女は車の両輪で、それぞれがうまく回って、初めてまっすぐに進むことができる」。こういった考えに基づいているから、その活動は女性を前面に出しているわけでなく、男性と一緒に考えていく活動が中心となっている。
報酬は笑顔と感謝
活動のスタートは「聡風堂」。「ここに集まる凡人が聡明になれるお堂」の意で、ここで毎月一回講演を行い、「上田の文化・歴史」を勉強することから始まり現在の活動に至っている。
“手づくなもの展”は年二回「押し花のポストカード」「七宝焼」「陶芸作品」「パッチワーク」といった手作り品を展示即売する会である。余暇を利用して作った品物を売るのだが、決して利益を目的としたものではない。自分の技術が人に認められる喜び、また同じ趣味を持つ人同士が出会う場所として、会を追うごとに盛況になり、いまでは一日に二百人ものお客さんが訪れるほどの規模となっている。
落語独演会、シャンソンの夕べなど文化活動も、それぞれ年一回開いている。東京では三千円する会を千円程度で開き、一人でも多くの人に聞いてもらいたいという。
会の運営資金は基本的に使い切りが原則、報酬は会に来てくれた人の笑顔と感謝の気持ちだけである。しかし、これらの報酬がなによりにもまして貴重である、という。
シルバーにも活躍の場
無理をしない、無理強いをしない活動を今後も続けていきたいという。これから考えているのは「介護保険」に関する勉強会。従来の活動を継続しつつ、時代に合ったテーマを取り上げ、徐々にではあるが、活動に広がりを持たしている。
また、将来的にシルバー世代には活躍の場所を与えたいという。定年になった人たちは知恵を多くため込んでいるうえに、比較的時間が自由になる人が多い。これらのすばらしい財産が、有効に使われないままになっているのがもったいない。シルバーセンターなどに登録することで、年長者が生き生きと働いている姿をみせることが、子供にも良い影響を及ぼし、ひいては地域にプライドをもたらす。今後、地域が発展していくうえで、これらのことは欠かすことのできない重要なことであろう。
代表の瀧塚さんは、個人的にも病院のインフォメーションボランティアとして、活動している。患者の不満、家族の不安を受け止めて病院側に伝える仕事である。ここでも共通しているのが、人の笑顔が何よりという考えである。こういった考えが広がっていく上田のまちの将来が楽しみである。
おんなしょうぐみプロフィール
●設立=平成五年二月
●設立運営主体=自主的組織
●代表者=瀧塚照子(主婦)
●会員数=二十八人(男三人、女二十五人)
●事務局=長野県上田市大手二-四-二 瀧塚照子 TEL〇二六六-二四-七二二四
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