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40 静岡県中川根町
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特産品販売所「四季の里」代表・藤森文江さん 自然化粧品でまちおこし 季節の野菜からヘチマ化粧品まで |
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全国に二千人の固定客
東海道本線の金谷駅から大井川鉄道に乗り換え、茶畑の鮮やかな緑と大井川の豊かな流れを眺めながら、列車に揺られることおよそ一時間、静岡県の中川根町にある、特産品販売所「四季の里」を訪ねた。
今回お話をうかがった代表の藤森文江さんたちメンバーはすべて女性。「四季の里」は常設店設立以来、女性だけのグループにより運営されている。
毎日新聞の「毎日農業記録賞・奨励賞受賞」「女性だけの企業組合設立、県内第一号」など、マスコミに取り上げられる機会も多い。
新聞報道などで注目されているのは、ヘチマを利用した自然化粧品の宅配による全国販売の成功である。現在、固定客は全国で二千人を超えるという。
当地域活性化センターでも一九九七年三月に発刊した『地域産品データブック』でヘチマ化粧品「ニートリィ」を取り上げている。
黒字経営を続ける常設店
自然化粧品の全国販売で評判となる女性グループの常設店と聞き、取材前に頭に浮かんだのは、外見的には比較的新しく、内装の展示スペースにもゆとりがあるが、逆にその分閑散とした印象を与える、というような建物であった。
ところが、「四季の里」には、このような想像がいずれも当てはまらなかった。まず、建物はもともとあった施設を借りたもので、決して新しくはない。内部も商店街の個人商店といった趣に近く、季節の野菜やまんじゅうや民芸品やらが、ところ狭しと並んでいる。
最も想像と違ったのが、人の出入りが非常に多いという点。野菜や餅を選ぶ客、座敷にあがり、今買った手打ちソバを食べる孫とおばあさん。
決して込み合っている、窮屈であるといった感じは受けないが、活気があり、自然にお客が回転していく。しかもそれが途切れない。「今日はまだひまなほう」とは藤森さん。
取材をしていた数時間、客足が途絶えないのには正直いって驚いた。
立地条件や店のたたずまい、平日の午後、という状況からは、むしろそれは何か異様な光景にすら思えた。
藤森さん自身、視察の人びとからよくいわれるというとおり「ここは明らかに何かが違う」。
近くに、競合する店がないからかというとそうではない。現在では八割が静岡市や浜松市など、外からの客であるという。
「四季の里」がこのように安定した経営を続けられるのは、はたしてなぜなのだろうか。
はじまりは朝市活動
設立の経緯をうかがうと、その歩みが着実なのに感心させられる。何かの問題を解決することが、逆にひとつ上の段階へ進むことになる。
そもそもは、農協婦人部の朝市活動が母体。これを七年間続けたという。
この活動を受け、八六年(昭和六十一年)、国道三六二号線沿いに常設店「四季の里」をオープン。評判になったぶん税金の問題が生じ、翌八七年には有限会社「ふれあい」を設立し、会社組織化。九六年にはヘチマを利用した自然化粧品の本格的な事業展開に向け、企業組合「ニートリィ」を旗揚げ。
藤森さんの肩書きも正確には、「有限会社ふれあい取締役」である。
しかしながら、地元では「ふれあい」でも「ニートリィ」でもなく、「四季の里」として広く知られている。
現地を訪れて強く感じることは、ヘチマ化粧品もまた「四季の里」の活動の中のあくまで一部である、ということである。
決して、自然志向のはやりに乗って自然化粧品がたまたま当たった、という図式ではない。
藤森さんらのグループの中にある「何か」がヘチマ化粧品での成功を生み出したし、常設店の黒字経営にもつながっているのである。
地域づくりは外貨づくりから
藤森さんへの講演依頼も多く、全国からの視察も絶えない。質問もよく受けるというが、こういう商品を作れば売れる、といった話はしない。「それは、その土地の特産物でその土地の人の口にあったものを作ればいい。そうではなく、大事なのは人とのかかわり合い方や仲間づくりといった、もっと根本的な問題。そこを時間をかけてお話しするんです」。
また、こうも語る。
「地域興しはね、“外貨”を稼がなきゃ駄目ってよくいうんですよ。隣の町であっても外貨ですからね」。そうすれば地元の業者ともトラブルにならないし、みんなが潤う。
内部のスタッフにはこう諭す。
「お金のことを言うのをはしたないことのように思う人がいるけども、決してそんなことはないんです」。働いたぶんをちゃんと評価するのは当然のこと。そこを曖昧にすると不満が少しずつ積もる。「だからうちは時給でなく、分給です」。
月一回の定例会では、みんなに何でもいいたいことをいってもらうという。しかしその時間も、仕事として給料を払うからみんな真剣。ありがちな長話しや愚痴にはならない。
日常の仕事は、ソバを打つ人、餅を作る人など、それぞれがそれぞれの判断で動く。「あまり相談もないんです。みんな、ばりばりばりばり自分の思うことをやっちゃって」と、藤森さんはむしろ嬉しそうに話す。メンバーそれぞれがいろいろな経験を通じてたくましくなり、成長していることも強調される。
女性のやる気と工夫を最大限に引き出すいくつかの「仕組み」が、「四季の里」成功の秘密と感じたがいかがだろうか。
藤森さんはこんな耳の痛いこともおっしゃっていた。
「行政がからんだようなところ(施設)は、百歩行っちゃってから(そこからスタートして)、だんだんだんだん下がって、二歩三歩となっちゃう。だから後で閑古鳥が鳴いている」。
現在「四季の里」にも移転、新築の計画がある。お茶の産地としては店先でゆっくりお茶を飲んでもらうスペースがほしい。またトイレもきれいにしたい。
県と町からの補助も、ほぼ決まっているという。二〇〇〇年、完成予定。
また、着実な一歩である。
結果的に取材前に想像したような、外見的に新しい施設となる。しかし、そこには、全く意味の違う、確かな手応えのようなものを感じる。
また、活気のある店になることだけは間違いないだろう。