aozora.GIF kawa.GIF

../gif/syokuobi.gif


tensen.gif

高知県中土佐町
公務員意識捨て、カツオの町PR
山陰・瀬戸内中心に年十五回

中土佐町地域振興課課長

田上正司

tensen.gif

漫画誌で長期間連載

 わがまち「土佐の鰹国・中土佐町」は高知県のほぼ中央部に位置し、太平洋を前面にした人口約七千八百の農業、漁業を主な産業とする過疎の町である。農業はハウスによるイチゴ、ミョウガ、ナスなどに加え花き栽培などが盛んである。
 一方、漁業は古くから「カツオ」が盛んで、数年前には漫画誌で「土佐の一本釣り」として長期間連載された。これらがきっかけで、わが町も「土佐のかつお一本釣りの町」「活きた魚の町」「黒潮本陣の町」などと県内外に知られるところとなった。
 現在、カツオ漁船は大型船(七〇〜一〇〇トン)が四隻、小型船(五〜二〇トン)が十四隻と減ってはきたが、いぜん漁業の中心であることに変わりはない。大型船は三月初め黒潮を追って南太平洋へと出港していく。帰港するのは秋深い十一月半ばである。
 小型船は一泊から三、四泊の漁だが、いずれも陸上と違い、「板子一枚底は地獄」の大海原で厳しい戦いを繰り広げる。カツオは太平洋を、そして黒潮を代表する大衆魚で、土佐のサカナでもある。

カツオを主人公に

 食べごろは「目に青葉、山ほととぎす、初鰹」と読まれた四〜五月の上(のぼ)りカツオと、九月下旬から十一月にかけての戻(もど)りカツオの時期とがある。
 よく知られた「タタキ」料理を紹介すると、1.生(なま)のカツオを三枚におろし、2.身の部分の胸骨を取り除くため、二枚の身をさらに二つにおろし、四つの節にする、3.その節に軽く塩をふりかけ、4.わら火に表面だけがこげる程度に焼く。そして、5.その節がまだ熱いところで、刺し身の要領で多少厚目に切る、6.そのうえにニンニクのスライスとネギのみじん切りをふりかけ、7.特製のしょう油のタレをかける、8.軽く手でその上をたたくと、でき上がり。そう難しくはないので、一度お試しください。
 最近は冷凍技術などが改良されてはきたが、カツオのタタキは生(なま)で新鮮なものには勝てない。このカツオをわが町では、まちおこしの「主人公」とした。生やタタキ(真空パック)を全国どこへでも注文に応じてお届けできる「かつおくん」となった次第である。
 かつて、ふるさと創生資金をいただいたとき、わが町では「純金かつお」を製作した。これをきっかけに、「かつお祭」を毎年五月に実施している。以前は漁業祭のような催しだったが、いまはカツオのほかは売らない、食べない、すべて「かつお・カツオ・鰹」の祭りである。

イメージソングもつくる

 当日は盛りだくさんのイベントを用意し、町外の人びとも多く訪れ、楽しんでくださる。また、全国にさきがけ「かつお料理コンテスト」を行った。多くの人が応募し、料理にすばらしい腕を披露「こりゃーいけるねー。こんな食べ方もあるのか」と、本当に驚いた人もいた。
 そして、「鰹の国中土佐町」の「イメージソングづくり」を計画した。財政力のない町にとって、ソフトでのPRがまず必要と考えたからである。これにも全国から四百通余りの予想以上の応募をいただいた。カツオの町にぴったりのすばらしいイメージソングが生まれたことは当然である。そのうえ、当町出身の歌手が誕生したのも、大きな収穫だった。
 次は「かつおのタタキ」による実演販売をかねたまちおこしの広告塔づくりである。商工会、役場、鮮魚商にお願いし、チームづくりをした。カツオの販売とPRを兼ねたこの作戦には、まず体力と商売心がなくてはできない。われわれは公務員の意識をまず捨てることから始めた。
 三年前から作戦を開始し、島根、鳥取の山陰地方、岡山、香川の瀬戸内海地方が中心である。山陰へのルートは現在、高知から米子まで高速道がつながり、時間短縮となったが、まだまだ中土佐町まではかなり時間がかかる。イベントの場所、時間などによっては午前一時ごろ、市場に水揚げされたカツオをトラックに積み込み現地に向かう。

「黒潮本陣・工房」にぎわう

 イベント会場でカツオをさばき、わらに火がつくと、たくさんの人の輪ができる。このあたりから「鰹の国・高知県中土佐町」の売り込み作戦が始まる。この作戦は現在、年間に十五回程度だが、各会場とも歓迎していただき、町のPR、まちおこしへとつながっている。
 この作戦は公務員の枠からはみ出した、いわゆる「かつおバカ」がいないとできない。そして、結果としてまちおこしには、ハード面での受け皿づくりが必要になってくる。
 町財政はきびしい状況ではあるが、新鮮なカツオのタタキ、活きたサカナが食べられる交流施設「鰹の国の湯宿・黒潮本陣」を平成八年十二月、タタキ、干物づくりなどが体験できる「黒潮工房」を九年一月にそれぞれ建設した。お陰でこれら施設は大変なにぎわいをみせている。宿泊客は十カ月で一万人を突破、当初見込みの倍以上となっている。
 とくに工房は体験のほか、地場産品の製造販売はもちろん、カツオの一本釣り、定置網などの観光漁業も行っている。
 現在、それぞれの施設とも利用が順調で、今後とも期待できそうである。交流人口の拡大、まちおこしなどを考えるとき、一番大切なのは「人と人とを結ぶ、心と心の交流」ではないでしょうか。
 わが「鰹の国・中土佐町」を訪れた方々が、「もう一度来たい」といっていただける「まちおこし」をしていきたい、と考えている。

●前ページへ戻る

●1月号の目次へ