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奈良県西吉野村 村おこしの起爆剤、一万五千トン生産 「柿色づくと、医者青くなる」 |
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西吉野村企画財政課係長 |
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山本修二 |
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私たちの西吉野村は、丘陵を赤く染め上げる村としては生産量日本一の柿、南北朝時代に南朝三帝(後村上、長慶、後亀山天皇)が過ごされたころから栽培されていた梅、国営総合農地開発事業とともに急速に広まったハウス柿、キウイフルーツなど、みずみずしい果実がたわわに実る果樹地帯である。
そして、有名な吉野美林の一角にあり、優良材を産出し続けた森林地帯でもある。この美林は、第五十回カンヌ国際映画祭で新人監督賞に輝いた河瀬直美監督の映画『萌の朱雀(すざく)』の舞台にもなり、一躍注目されたところでもある。
この魅力あふれる本村は、奈良県の西端に位置し、約四千五百の村民は特産である「柿」を食文化と考え、その生産活動は村おこしの起爆剤になっている。
本村における柿生産の歴史をたどると、大正末期までさかのぼり、このころ「換金樹木作物」として植え付けが開始され、現在生産されている柿は「富有柿」「平核無」「刀根」という種類で、なかでも生産量の多い「富有柿」は昭和初期から普及し始めている。
博物館の入場者五万突破
四十九年には国営総合農地開発事業がスタートし、それまで開墾困難とされていた荒れ山や急峻地も開発され、一大果樹生産団地が誕生した。このような環境で、手塩にかけて柿づくりにいそしむ農家の人たちの愛情に応えるように、毎年良質の柿が生産されている。生産量は年一万三千〜一万五千トンである。
平成六年、県果樹振興センター内にオープンした「柿博物館」は、柿の形をしたユニークな施設で、ゲーム感覚で柿を知る「クイズキット」や、パソコンで柿の情報を検索できる「柿ものしりブック」など、楽しく柿を理解できると、早くも入場者は五万を突破した。
この「柿」を食文化として論じる前に、データをみると、学術名は「Diospyros Kaki」で、「神々の食べ物」という意味があるという。世界で約百九十種あり、日本以外では中国、ブラジル、韓国、チリ、イスラエル、台湾、アメリカ、イタリア、ニュージーランド、オーストラリアなど多くの国で生産されている。
世界中で食されているだけではなく、切手の図柄にもなっており、果実中にはビタミンC、Aが多く含まれ、ビタミンCはレモンの十倍。「柿が色づくと、医者が青くなる」ということわざがあるほどの健康食品である。このほか、柿のタンニンや色素にも医学的に裏付けられた栄養分がある。
癒しの時代にぴったり
西吉野村を中心とした地域では、初夏の新緑がまぶしいころになると、塩サバを寿司にのせ、柿の葉に包み、押し寿司にする習慣がある。これは、生鮮魚の入手しにくい山間地域での生活の知恵かもしれないが、保存にも効果を発揮していることから、やはり柿の薬効のためと考えられている。
このほかにも柿は、丸ごと活用できる健康食品といってもいい。柿博物館の資料によれば、葉、皮、種、根などにも薬効があるといわれ、中国では止血に葉が利用され、「食べる薬」といわれる。これをみると、昨今の「癒(いや)し」を求める時代風潮に、ぴったりの果物ではないだろうか。それはまた、われわれ日本人の心の中に、郷愁を誘う果物である、といっていいかもしれない。
いま、本村ではCIを念頭においた「西吉野村イメージ戦略」を展開している。これは日本一の柿産地をPRするとともに、素晴らしい資源とともに村に住む人たちのアイデンティティの確立を目指すもので、「柿」「活気」と「ラッキー」を意図したマスコットキャラクター「カッキー」がビジュアル媒体の中心として、村おこしに活躍している。
「柿づくし料理」に人気
村が柿色に輝く先般、村のビッグイベントとして、すっかりおなじみになった「カッキーフェスタ'97」が開催された。約三千の入場者を数え、村内外の人たちが交流した。柿畑のど真ん中にある会場は終始歓声に包まれ、大いに賑わった。また、十カ国から外国人もみえ、国際色豊かな交流の場ともなった。
さらに会場では、JA西吉野女性会のメンバーによる「柿の創作料理」柿パイ、柿カレー、柿入りむしパンなどの展示があり、「こんな逸品料理ができるのか!」とのため息と、新たなチャレンジとしての食材「柿」活用に拍手が送られた。
また、村営の宿泊施設「にしよしの荘」では、この時期に特別に用意される柿の天ぷら、なます、シャーベットなど「柿づくし料理」を出し、人気を博している。こんな本村の「柿」は地域文化として、また食文化として着実にはぐくまれ、村づくりの主役になろうとしている。
国のまほろば奈良…西吉野村から柿という「神々の食べもの」をもっともっと食べていただくことを願うとともに、これからも「緑と柿のふる里─西吉野村」の食文化を全国に発信したい、と燃えているところである。
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