|
|
|
|
|
静岡県下田市 下田にぎわい社中 黒船帆船大航海 歴史に着目した活動 東海道四〇〇年祭に夢託す |
|
|
|
二十一世紀まであとわずか。「下田にぎわい社中」のメンバーは、いま、だれよりも新しい世紀の始まりを心待ちにしている。
二〇〇一年は「東海道宿駅制度」が開設されてからちょうど四百周年にあたる。この記念すべき年に東海道を温故知新の目で見直し、未来に向けた地域づくりと交流のメッセージを国内外に向けて発信しようと静岡県が企画したのが、「東海道四〇〇年祭」だ。そして、下田にぎわい社中もこのイベントを地域の活性化につなげるため、積極的にかかわっていこうとしている。
下田にぎわい社中誕生のきっかけは平成三年にさかのぼる。この年、下田市でまちづくりを主題とするシンポジウムが開かれた。
これを受けて、下田青年会議所の現役・OB有志・一般参加者によって下田の抱えている課題と解決策を模索する集団「下田にぎわい社中研究会」が発足した。研究の過程でメンバーは自分たちの問題意識は、決して目新しいものではなく、昔から指摘されてはいたが実行に移されていなかったことに気づいた。
六年、同研究会は発展的に解消され、より具体的な活動を実践する地域振興推進組織として下田にぎわい社中が発足したのだった(注・「社中」とは「同じ結社の仲間」などを指す)。
開国の歴史に誇り
彼らは、下田の歴史を再認識し、まちの「誇り」として育てていくことが地域活性化の「仕掛け」になると考えた。そこで、注目したのが初代米国総領事タウンゼント・ハリスと下田との縁。
いまから百三十八年前、下田に米国領事館の開設を認めた江戸幕府は、ハリスら米国側と下田奉行ら日本側の会食を催した。当時としては破格の豪華料理だったと伝えられている。
下田にぎわい社中は下田市史に収録されたメニューからその料理「ハリスの御膳」を再現し、六年下田市で行われた「黒船祭」などに発表。弁当風にアレンジした「ハリス弁当」も売り出し、好評を博した。
次の企画を練っていたところ、もたらされたニュースが、静岡県が二〇〇一年に「東海道四〇〇年祭」を開催するというものだった。
これは東海道を代表とする陸、川、海の街道の交流が育んだ歴史文化を見直し、まちづくりの起爆剤とするためのイベントだ。県は、同祭実行委員会などで県民の意見を採り入れながら具体的な企画を立てていくという。
「それならわれわれも声をあげていこう」となった。「東海道四〇〇年祭」の子細を検討していく中で、「海」を舞台としたイベント計画が彼らを引きつけた。下田こそ海の舞台にうってつけの場所だ! そして、これをきっかけに下田を元気にしたい!
下田は海の東海道
江戸時代の交通は、陸路に比べ海上交通がはるかに重要だった。徳川家康が一六〇一年に東海道宿駅制度を創設してから下田は海上交通の治安維持の関所として、海難防止の風待ち港として、また、遠路の旅の疲れをいやす休息の場として、数百年にわたり関西と江戸を結ぶ「海の東海道」において重要な役割を果たしてきた。
その後の下田はペリー艦隊の来航、下田条約の締結、鎖国の夢を打ち破った開国の場として広く知られるようになり、現在も歴史の舞台となった史跡が市の貴重な観光資源となっている。
下田にぎわい社中は、この下田の歴史に再び光をあて世界に紹介することを目指して、七年と九年、県にひとつの企画案を提出した。ペリーの日本遠征大航海を現代に再現しようというものだ。
その企画書「夢海道黒船帆船大航海」をみてみよう。ペリーの黒船を模して、県民を乗せた帆船を二〇〇〇年九月に下田市の姉妹都市の米国・ニューポート(ペリーの出生地)から出航させる。帆船は大西洋から南アフリカ経由でインド洋を経て九カ月後の二〇〇一年下田港に入港する。
ニューポート市では出航記念事業として日本や静岡県の観光や食文化、伝統芸能などを紹介する「ジャパンフェスタ二〇〇〇」を開催するほか、寄港地のケープタウンやシンガポール、マカオ・香港、上海などで交流事業を行い、航海中も洋上研修を行う。
これからも地域に提言
また、下田入港記念事業では「黒船開国博覧会」として寄港地の文化や産業を紹介するワールドフェスティバルや日米時代交流シンポジウム、帆船フェスティバル、ペリー杯海洋レースなどを計画。入港後の事業として県内外の港を回る海の東海道航海などを行い、最終的には下田市の「開国のまちづくり」を支援していく。
この計画はあくまで下田にぎわい社中が静岡県に提案したものであり、これがそのまま実現する保証はない。壮大な計画のためこのまま実現させることは難しいかもしれない。しかし、一部でも彼らの意見を採り入れてほしいものだ。なぜならこの企画からは郷土の歴史を通したまちづくりへの情熱を感じることができるからだ。
代表の楠山俊介氏はいう。「いままで『夢海道黒船帆船大航海』の企画立案に精力を傾けてきたが、今後はこのプランの実現とともに組織の拡大強化を図って、下田の活性化のためにさまざまな提言をしていきたい」と。
これからも下田にぎわい社中はその行動力から各方面より注目を集めそうだ。
下田にぎわい社中プロフィール
●設立年=平成六年四月
●運営主体=自主的組織
●代表者=楠山俊介
●会員数=二十五人(男二十四人、女一人)
●事務局連絡先=〒四一五静岡県下田市吉佐美五五二 楠山歯科医院
TEL 〇五五八-二三-一六七八