nagare.GIF yuyake.GIF


(財)地域活性化センター
ヨーロッパ視察団
日仏自治体交流セミナーに参加
友好親善から実質的価値へ

(財)地域活性化センターコンサルタント業務課長

下田善太郎

多様な形態に分化へ

 今年は、「フランスにおける日本年」として、日仏相互理解の諸行事が行われている。
 この「日本年」にちなみ、十一月六〜七日、リュクサンブール宮殿で、「自治体国際化協会」と「フランス都市連合」との共催による「日仏自治体交流・協力促進セミナー」が、約二百人の日仏自治体関係者の参加を得て開催された。
 現在、日仏間で姉妹提携している自治体は四十一団体を数える。このほかにも新たに交流を望む自治体もある。このような中、同セミナーでは、日仏交流の意義、今後の交流促進に向けての課題などが討議された。
 具体的には、1.日仏自治体レベルの交流は相互理解に大きく貢献してきたこと。2.一部の交流で思惑のずれもあったこと。3.身近な交流・住民レベルの交流を実現させる必要があること。4.日仏の協調・協力関係の促進は国際社会でも大きな意義を持つこと。5.今後の課題として、友好親善型交流から実質的価値を生む交流も進めるべきであり、日仏が協同して第三国への協力を行うという視点も重要になってくる─などである。
 同セミナーを通じて、地方レベルでの国際交流の重要性、さらに今後の国際交流は、必然的に多様な形態と分野に分化・進展していくであろうことを認識させられた。

文化、産業、技術の混合

 ソフィア・アンティポリスは、南仏コートダジュールの国際都市、カンヌとニースの中間、バルボンヌ地方の丘陵地帯に位置する。一九六〇年まで造園・園芸が主産業であったが、現在では世界的にも注目を集めるリサーチパークの先進的役割を担っている。
 その成功の要因は、コートダジュールという魅力的な地域資源と切り離せない。恵まれた気候風土。世界的な観光保養地としての知名度。観光産業で培われた国際感覚。年間七百万人が利用するニース国際空港に近く、欧州の主要都市と数時間で結べる優位性。
 この地に三十年前、IBMが進出してから、世界の先端技術産業が相次いで進出。現在、二千三百ヘクタールの広大な敷地に約千二百社、一万六千人が働く。「当ポリスは、情報技術のあらゆる分野で、望むものはすべて用意できる」と自信ありげな説明を受ける。
 ここの特徴は、世界各地から進出した人びとによるさまざまな文化、産業、技術の混合である。そして、快適な住環境づくり、文化的刺激の場の提供、研究者相互の交流会の開催などが周到に準備され、人間的価値、開放的精神、協調心がコミュニティの土台となっている。
 今後の課題は、環境工学などの研究開発型企業の重点的な誘致。そのため、二〇一〇年までに敷地面積を倍に拡張する計画である。可能性にあふれたビジネスと技術的創造性の一大センターに、残念ながら日本企業の進出は一社に止まっている。言葉、習慣も障害になっているようだが、国際化に対応した日本のあり方が問われているように感じられた。

若い世代から国際交流を

 ローテンブルグ市は、人口一万一千五百人、城壁に囲まれた典型的なドイツ中世都市である。世界中から年間二百万人もの観光客が訪れる。われわれは、ライヒシュタット公立高校を訪ね、交換留学生の状況を通じて、草の根の国際交流を視察した。
 当校では、米国、ハンガリー、フランスとの間で年間六十人の留学生を交換。校長によると、「制度の目的は、若い世代からの体験を通じた外国文化の理解、平和を守る精神の涵養」という。州から旅費に若干の助成がある以外は、留学経費は基本的に自己負担である。
 この後、市庁舎に招かれ、市長の歓迎挨拶、伝統的な歓迎行事の後、市の姉妹交流協会と交流の理念について質疑を行った。協会の規則第二章には、1.第一に、若い世代を交流させること。2.市民も一体となって交流を深めることがうたわれている。現在、フランスのアティスモンをはじめ十一の都市と交流を進めており、その中には、町並み保存で目的を同じくする愛媛県内子町も含まれている。
 われわれの訪問は、地元紙にも取り上げられ、大きな関心と歓迎を持って迎えられたが、中世「帝国自由都市」の歴史が脈打つ中で、真の草の根交流が行われていることがうかがわれた。

ボランティアが支える交流

 最後に、われわれ一行は、イギリスの「地方自治国際協会」(LGIB)と日英の国際交流について意見交換の機会を持った。日本とイギリスとの姉妹都市提携数は、一九九六年までにわずか十件にすぎず、他の先進国と比べても極めて少ない。
 この状況は、イギリスにおける国際交流の進め方が大きくかかわっている。すなわち、公式な姉妹提携、それ以外の交流(リンク)ともにボランティアが主体になっていることである。個人的な交流の広がりが「リンク」となり、場合によっては自治体の承認によって姉妹提携に発展する。行政としては交流の側面的支援を行うのが一般的である。これは、多くの場合自治体が主体となるわが国の国際交流と大きく異なる。
 しかし、イギリスにおいてもここ一〜二年国際交流が多様化している。異文化・言語の理解などを通じ国際意識を高めることは、海外企業の誘致、住民の定着という競争のうえで、国際的に開かれているという評価につながる。このため、自治体がボランティアと一体となってリンクしたり、専門職員の配置、姉妹提携の音頭をとる場合も出ている。
 日本との交流の可能性は、欧州以外の地域でみると大きいと聞く。国民性、自治制度の仕組みは異なっても、国際化はいずれの国においても避けて通れないことを示している。




●1月号の目次へ