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宮崎県南郷町
南の故郷ならいいことまってます
住んでも訪れてもよいまちづくり

南郷町企画課係長

渡辺文明

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南郷町定住促進対策構想の策定

 昭和五十八年の一万四千人をピークに減少してきた人口問題や、これに伴う地域活力の減退に対処するため、平成五年、町民や転出入者に対する意識調査などを実施し、この結果を踏まえながら、「南郷町定住促進対策構想」を策定した。この構想の基本理念は、地域総ぐるみで地域が抱える課題を克服しつつ、「南郷町に住んで本当によかったと町民一人ひとりが実感できるまちづくり」を推進することである。また、基本理念の具現化を図るため、ハード・ソフト両面にわたる三十五の定住促進対策事業(まちづくりのガイドライン)を定めた。さらに、これらの事業のうち速効性のあるものを政策として実施するため、基本となる「南郷町ふるさと定住促進条例」を制定した。
 この条例では、永住を前提として住民登録をし、五年以上町内に居住する町民に対して規則や要領で定める定住奨励事業を行うことを定めている。

定住奨励事業の概要

一、定住就業奨励金=十五歳以上五十歳未満のUターン者、Iターン者および新卒者が、南郷町民となり一年以内に就業した場合、五万円から三十万円の奨励金を交付する。
二、結婚祝金=結婚して引き続き町内に居住する者で、夫婦のいずれかが町外者であった場合は十万円、どちらも町内者であった場合は五万円の祝金を交付する。
三、出産祝金=第三子以降一人につき五万円の祝金を交付する。
四、技術等研修奨励金=自営業などを営む者が、技術の改善や新しい技術の修得などを目標に研修をする場合、研修先や研修日程に応じて奨励金を交付する。
五、まちづくりアイデア奨励金=まちづくりのためのアイデアや思い入れの提案者のうち、実現可能で南郷町の活力アップにつながる提案をした者に、「優秀奨励金三万円」「努力奨励金一万円」を交付する。
 定住奨励事業を広く周知するため、町の広報紙に繰り返し特集記事を掲載するとともに、ポスターやパンフレットを町内外に配布してPRに努めた。とくに、南郷町ふるさとづくりキャンペーンでは、「南の故郷ならいいことまってます」というテーマのもと、町の鳥「キジ」のイメージキャラクター「ハートくん」をイベントはもちろんのこと、TV、新聞などの広報媒体に登場させた結果、奨励事業に対する意識のかん養やふるさと南郷に対するイメージアップを図ることができた。
 一方、毎月開催される奨励金交付式では、毎回、崎村利正町長ら町三役と被交付者との懇談を行い、定住に関するさまざまな意見や要望を聴取し、定住奨励事業にフィードバックさせながら事業内容や施策の充実強化に努めている。

定住奨励事業の実績

 平成六年四月から施行したこの奨励事業は、平成六年度は百二十一件(交付額千百三十三万七千円)、平成七年度は九十六件(交付額七百九十五万円)、平成八年度は九十三件(八百三十五万円)の実績を上げている。このうち、UJIターン(定住就業奨励金)は、平成六年度以降の三年間でそれぞれ六十四件、三十六件、四十五件で、当初目標の五十件にほぼ近い数字を達成している。
 これらの成果は、定住奨励事業を実施した平成六年以降、それまで漸減傾向にあった人口が、この三年間一万二千六百人前後で安定推移していることからもうかがえる。

UJIターン者の声

 奨励金交付式の懇談会で次のような感想や意見を聴取した。
「定住奨励事業のパンフレットを見ているうちに、無性に南郷へ帰りたい気持ち(衝動)を覚えた。帰ってきて心身ともにホッとしている自分に気付き、生まれ育った所はやっぱり落ち着くことを実感している。実家は農業なので、これから両親の教えを受けながら地に足の着いた農業従事者として頑張りたいと思う。いただいた奨励金は当面の生活費として活用させていただく」。また、「南郷に来て、皆さんから親切にしてもらい感謝している。魚も新鮮なうえに安く、何かにつけて便利なこの町が大変気に入っている。奨励金は引っ越し費用に使わせてもらう」という評価の一方、「アパートが少なく、住むところを見つけるのにとても苦労した。また、働く場所もあまりないので困っている」とか「子供をもう一人ほしいけど、保育料が高いことや保育時間が限られているためになかなか踏み切れない」などの貴重な提言や要望があり、今後の施策立案や事業の展開に役立てることにしている。

今後の事業展開方針

 現在展開している奨励事業は、あくまでも定住促進対策構想のほんの一部の事業であり、人口の定着と増加を図るための切り口にすぎない。このほかにも、平成九年度事業として、低価格の定住促進用宅地の分譲やインターネットを活用した就職情報案内など、きめ細かい事業を総合的・一体的に推進することにしている。
 いずれにしても定住促進対策とは、「住んでも訪れてもよいまちづくり」を目指すものであり、ふるさと南郷に対する「愛情・熱意・行動力」を基盤にして、したたかに、かつたくましく取り組んでいきたい。

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