(財)地域活性化センター
ヨーロッパ視察団
住民が生き甲斐を感じるまちづくり
(財)地域活性化センター総務課長
高村知孝
(財)地域活性化センターの平成九年度欧州視察調査団A班は、伊東義弘振興部長を団長に、十月十三日から十二日間、欧州における「住民が生き甲斐を感じるまちづくり」をテーマに、イギリスの園芸治療園、スウェーデンの高齢者共同住宅、ドイツの市民農園、フランスの子供都市について、各施設の方々と意見交換を行った。
リーディング園芸治療園
イギリス
園芸療法とは、植物あるいは植物に関連するもろもろの活動を通して、身体、心、精神の向上を促し、かつ鍛える療法である。
植物あるいは園芸活動は、障害や障害をもった状態を改善し、障害者が環境に適応し、社会復帰を促すための治療やリハビリの有効な手段である。
リーディングの郊外にあるHT(ホーティカルチュラル・セラピー)は一九八九年に開設され、現在九年目を迎えている。
HTは六人のセラピストにより運営されており、一日に十二人の障害者の治療にあたっている。過去八年間に治療を施した障害者は約八十人となっており、かなりの成果が上がっているとのことであった。
高齢者共同住宅
スウェーデン
自分たちの住宅は自分たちの手で─一九八七年、子育てが終わった四十五歳から八十七歳の人たちにより、自分たちのまちづくりのための会がスタートした。
会では市営住宅の建設において「共同施設を」と四十三戸の住宅について、自分たちの手で考え、自分たちで運営することとし、二年後の八九年に公社の承認を得た。住宅については、それから四年後に完成し、現在五十五人四十三世帯が住んでいる。住宅のタイプは、一ルーム(三十七〜四十七平方メートル)から三ルーム(六十四〜七十六平方メートル)となっている。家賃については、共同施設の分も含まれている。住民は食事づくりや清掃等を共同で行わなければならないが、会そのものに誇りをもっている。
市民農園
ドイツ
ラスタット市の市域面積の四%(約三百ヘクタール)が緑地であり、そのうちの二十八ヘクタールが市民小菜園(クラインガルテン)である。
ラスタット市のクラインガルテンは五カ所に八百区画整備され、組合により運営されている。
したがって市民はクラインガルテンを借りるためには、組合に入会し、許可を受けなければならない。しかし、現在、組合員は千二百人いるが、三分の一が借りるために待機しているとのことである。
クラインガルテン(一区画三百平方メートル)を借りた場合は、その敷地内に十六平方メートル以内の小屋を建て、周囲と調和した形で美しく維持管理する義務が発生する。その義務を怠ると、返すこととなる。三分の一の方を待機させ需要を大きくすることによって、借りたほうの義務の履行を促しているのが現状である。
クラインガルテンの歴史は中世の城郭都市にさかのぼるといわれており、城壁の内外に小庭園が作られ、市民の休養や果実・野菜の自給の用にあてられた。そして一八六四年、外科医のシュレーバー博士によって組合が創設されたのがはじまりとされている。
ラ・ヴィレット子供都市
フランス
パリの中心から二十分のヴィレット公園(五十五ヘクタール)内にある科学産業都市は、世界で最も大きく、世界有数の革新さを誇れる科学技術普及施設である。
施設のできる前、そこには六千頭の牛が同時に入れる屠殺場があったが、そこを再開発することによって現在の科学産業都市が生まれた。
今回は、その中の子供都市を調査した。子供都市は三歳から十二歳までを対象とした施設で、科学と技術への関心をもたせながら、遊びと発見を見いださせることを目的につくられた。また、子供都市は、教員、教育モニター、学生のための研修の場としても利用されている。
以上、視察調査の概略を述べたが、ヨーロッパの歴史、文化、伝統の違いがまざまざと目に焼き付いた。今回の調査結果を今後のまちづくりの参考としていきたい。
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