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21世紀の地域づくりへの提言 国際的に通用するまちづくりを 魅力あるデスティネーションの条件 |
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JTB会長 |
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松橋 功 |
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多少の紆余曲折はあるが、相変わらず、海外旅行の人気が続いている。この調子だと、早晩、二千万人時代がくるのはほぼ間違いないと思われる。
一方、国内旅行はその規模こそ海外に優に倍するが、海外旅行の人気に押されて、成長は停滞気味である。かたや、日本を訪れる外国人旅行者は、日本人海外旅行者の四分の一で、およそ四百万人。この面では、諸外国に大きく遅れをとっており、世界ランキングでなんと三十一位である。
日本人は海外へ。外国人は日本をバイパスする。日本の旅行業界にも「空洞化」現象が進んでいる、といわれるゆえんである。
これにはいくつかの背景が考えられる。
まず、日本の国内旅行は一般的に値段が高いという点。どうせ行くなら、“お値打ちもの”の海外旅行へ、となる。事実、そう指摘する消費者は非常に多い。
次に、日本はどこへ行っても混んでいるから厭だ、と国内旅行を敬遠し海外へ出かける消費者が非常に多いこともまた別の事実。海外にはゆとりがある。ゆとりとは自由度と選択肢だとすると、日本の旅行システム(旅館など)は窮屈過ぎる、とする海外志向派の意見もまた見逃せない。
さらに、非日常性という点では、海外が相当優位に立つ。旅行した実感がより充実して得られるというわけである。そしてさらに注目すべきは、国内のデスティネーション(旅行先)としての地域に魅力がなくなりつつある、という指摘である。
そのほか、諸外国向けの日本的魅力の情報発信が決定的に不足していることも、「空洞化」の要因のひとつに挙げられる。
「連泊」に耐えるところ
「空洞化」を解消するには、なお多くのエネルギーと時間が必要であるが、このうち、国内のデスティネーションとしての地域に魅力がなくなりつつあるという指摘は、地域づくりを考えるうえで極めて重要である。この場合、外国との比較を念頭に置きながらの地域づくりが必要である。
ところで、ツーリズムの立場から見た場合の魅力あるデスティネーションとはどういうイメージの地域なのか。あえて大くくりに整理してみると、以下の四つである。
ひとつは、連泊に耐えられるところかどうか、という点。一泊したけれど、さらにもう一泊してゆっくりしたい、一泊ではもったいない、と思わせるようなところ。それには、泊まるところがそれなりに快適であり、食事に変化があって選択性があり、見たいところ、見たいものが豊かで飽きさせない。
アウトドア愛好者にはそれなりの施設も整っていて健康的である。連泊したほうがより経済的な仕組みもできあがっている、等々である。これらの条件を満たす、たとえば日本の温泉地は、どのくらいあるか。
もちろん、外国とは一概に比較できないが、外国でにぎわっているところは、一様に一泊ではもったいないと思わせるところが圧倒的に多い。このことは地域づくりと大いに関係がある。
一日歩いても飽きない空間
二つ目は、その地域でぶらぶらできるかどうか、という視点。ボン・プロムナード、つまり、一日中ぶらぶら歩いていても退屈しない空間が、便利に、快適に、美しく存在するかどうか、である。
外国と比べれば、この条件を満たす地域が、ほとんどといっていいくらいに、一部の地域を除いて、日本にはない、といったらいい過ぎであろうか。高齢者時代を迎える日本。これからは歩く時代である。
歩きを楽しむ者にフレンドリーで、健康的に心地よく、楽しくぶらぶら歩けるまちづくりが、これからの地域づくりの大きな要になると思われる。
三つ目は、住んでよし訪ねてよし、という地域づくりである。このことは、そこに住んでいる地元の人が快適に生活できるまちがあってこそ、そこを訪ねる人も同様の快適さを享受できる、という意味である。
外部の人(たとえばツーリスト)だけを意識した地域づくりは、うまくいくはずがない。「近者悦、遠者来」という言葉があるが、まさにそれである。
世界に冠たる観光地ホノルルがいつになっても飽きられないのは、そこに住む人の、快適なホノルルづくりに賭ける強烈な気概と誇りとセンスがあるからである。
水と緑とり込もう
四つ目は、水と緑を上手にとり込んだ地域づくりである。このかけがえのない日本の自然資源を利用し、必要により美しく加工し、活用することによって潤いのあるまちづくりを目指すことである。
水を利用した地域づくりとしては、外国ではテキサス・サンアントニオのリバーウオークなどもよく引き合いに出されるが、日本でも最近ようやく盛んになりつつある。
九州のハウステンボス、オーシャンドーム、リバーシティ東京お台場周辺のウオーターフロント。大阪では道頓堀再開発、等々である。自治省が中心となって水にまつわる故郷の紹介に積極的なことも心強い。
最後に、以上の条件を満たす地域が、日本に最低五十ぐらいあれば、と思う。各県にひとつである。そうすれば、ツーリズムの立場からみても、日本全体として外国に伍して十分に競争力のある観光日本ができ上がると思われる。
魅力ある街並みの都会を称して、アメリカ人はストーリーシティなどという。その「でん」でいくと、ストーリータウン、ストーリーヴィレッジとなるが、要は、居ながらにして「さま」になっているまち、とでもいおうか。日本の地域づくりに求められているひとつの角度であるともいえる。
欧米のまちと比較して、日本の街並み景観が相当に遅れをとっていることは、だれしもが認めるところ。戦後の建国に街並み景観のことを考慮に入れる余裕などなかった、といえばそれまでだが、街並み景観は、しょせんはまちづくりの総合的な所産である。
もともと居ながらにして、などということはあり得ない。永い年月をかけた地域づくりの汗と知恵の結晶である。そういう意味では、日本のまちづくりはこれからが始まりといえる。それも国際的に通用するまちづくりである。
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