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21世紀の地域づくりへの提言 「都市を科学し、計画する」が重要 自らの創意と責任、自立の精神で |
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静岡県浜松市長 |
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栗原 勝 |
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昭和二十二年五月三日、日本国憲法と時を同じくして、地方自治法が施行されました。そこにうたわれた地方自治制度の三つの原則、すなわち、住民の権利の拡充、地方公共団体の自主性、自立性の強化および行政運営の能率化とその公正の確保は、住民にとって、また地方行政の運営に携わるものにとって、新たな時代の幕開けを予感させるものであったことは、想像に難くありません。
それから半世紀、わが国が焦土から立ち上がり、戦後復興、三十年代の高度経済成長を経て、先進諸国と肩を並べる豊かな国へと発展し、またこれと軌を一にして、都市も成長、発展してきました。
しかし、二十一世紀を間近に控えたいま、国も地方も大きな転機を迎えています。社会経済活動の国際的な広がり、自然との共生、少子・高齢化、あるいはマルチメディア社会の到来など、わが国をとりまく社会経済情勢の変化は、同時に地方行政の運営に大きな変革を迫るものです。
このため、来る世紀が夢と希望を抱いて迎えることができるよう、それぞれの都市、それぞれの地域で、懸命な取り組みが進められています。そして、健康福祉都市、学術文化都市、あるいは情報交流都市など、独自の政策のもとで地域の将来像が描かれています。
人間尊重の理念で
しかし、目標とする都市像は異なっていても、基本的なところ、いわば地域づくりにおいて必ず認識しておかなければならないことがあります。
それは都市政策における人間尊重の理念、都市経営における科学する心ではないかと考えます。二十一世紀への地域づくりにはさまざまな課題があり、これを克服していかなくてはなりませんが、どのような地域づくりにあっても共通することではないかと思います。
都市は、人びとが住み、働き、憩う場として、また、多くの人、モノ、情報が集まり、そこから新たな文化や産業が生まれていく場として、長い歴史の中で営々と築き上げられてきたものです。また、このことは、自治体の規模や形態、よって立つ歴史・伝統の違いはあっても、普遍的なものであり、人間活動の所産が都市を形成し、また発展させていくものです。
つまり、都市づくりの主人公、地域発展をけん引するのは、一人ひとりの住民であり、いつの時代にあっても人間尊重が地域づくりの基本といえます。とりわけ、人びとの価値観が多様化し、個性や感性がより重視される時代を迎えて、なお一層こうした考えのもとに地域づくりを進めていくことが必要になっています。
また、主体的なボランティア活動やNGO、NPO活動の取り組みにみられるように、社会とのかかわりのさまざまな場面において、活発な活動が展開されつつあり、これらの市民活動と行政との連携が、いきいきとした地域づくり、明るい地域社会の形成につながるものと考えます。
科学的、効率的経営を
一方、都市経営においては、これまで以上に科学的で、効率的な経営を心がけていかなくてはなりません。
都市づくりの基本は、その地域の歴史、伝統、自然、風土、環境、文化、産業などの地域資源を把握し、それらを有効に活用することにあります。
とくに、人口をはじめ水資源、土地利用、地質、エネルギーといった基礎調査は、計画的・体系的な行政運営の指針となる総合計画をはじめ、都市計画のマスタープラン策定にきわめて重要であり、これらの基礎データはその都市の貴重な財産ともなるものです。
時代とともに技術が進歩し、都市計画などの手法が大きく変わろうとも、こうした基礎的なデータを集積し、地域資源を分析する、いわば地域の頭脳で考えたまちづくりが実践されなければ、地域活力の創出はもとより、住民が求める都市像を実現することはできないと考えます。
したがって、今後ますます「都市を科学し、プランニングする」視点が重要になるものと思われますし、またこうした科学的思考を重ねていくことが、新たな時代のトレンドをいち早くとらえ、情報通信技術を活用した利便性の高い行政サービスシステムの構築、あるいは自らの地域特性を踏まえたまちづくり制度や地域社会システムの開発などに役立っていくと思います。
「集権・画一」から「多様・分権」へ
二十一世紀を控えて、地域における行政需要は今後ますます増大し、また質的にも多様化、高度化するものと予測され、分権化時代の到来ともあいまって、地域社会の発展、より豊かな住民生活の実現を担う地方自治体の役割は重いものがあります。
自分のことを自身の責任で解決できることが、都市自治の基本であるように、それぞれの都市、そして地域が、自らの創意と責任、自主・自立の精神で、ことにあたることが地方分権の時代における基本です。そして、このことは半世紀前制定された地方自治の精神であります。時代は、「集権と画一」から「多様と分権」へと新たな地方自治の時代を迎えています。そしてまた、都市が相互に個性を発揮し、連携・補完しあいながら交流を通じて一体的発展を目指す、共生・交流の時代へ移行しています。言い換えれば、住民に身近な行政がより大きな役割を果たす時代でもあります。
地方自治法施行五十年を機に、私たち行政運営に携わるものは、いま一度地方自治の原点に立ち、地域の視点で、地域の手によって、より豊かで快適な社会、人間が尊重されるまちづくりを進めていかなくてはなりません。
そして、将来展望に立って産業や文化を発展させ、二十一世紀への新たな都市を創造し、次代に引き継いでいくのが私たちに課せられた使命であります。
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