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21世紀の地域づくりへの提言
自信持ち、地域づくりに対応を
問われる真の自主・自立

自治大臣官房総務審議官

嶋津 昭

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合言葉は「地方自治・新時代」

 一九九七年は、地方自治法が施行されて五十周年の記念すべき年である。言い換えれば、新しい地方自治の理念に基づく地域づくりの五十周年でもある。
 自治省では、白川前自治大臣の提唱で、地方自治関係者の「合言葉」(キーワード)を創ることとし、このほど、「地方自治・新時代」と「自治が拓く新世紀」の二つを決めた。この機会に「地方自治・新時代」と地域づくりを考えてみたい。
 橋本総理大臣は、昨年十一月の国会の施政方針演説の中で、「変革と創造」をキーワードに六つの改革を基本政策として発表した。財政構造改革と行政改革を基本に置き、経済、金融システム、社会保障、教育の改革を並行して進めていくという大変意欲的なものである。
 これからの「地域づくり」に対して、この六つの改革は大きな影響を持つことになろう。とりわけ、財政構造改革と行政改革の中での地方分権の推進が地域づくりに対して、大きなインパクトを与えることは間違いない。
 財政構造改革については、去る六月の閣議で、二〇〇三年度までの財政健全化目標の達成と今世紀中の三年間を「集中改革期間」とする、一切聖域のない歳出の抑制を決定した。
 地域づくりへの直接の影響は、公共投資基本計画の縮減、とくに平成十年度以降公共投資予算が毎年引き下げられ、併せて地方財政の抑制により地方単独事業が抑えられ、結果として地域づくりに大幅なスローダウンをもたらすことに不安が集まっている。

市町村の行財政基盤を強化を

 しかし、私は必ずしもそう考える必要はないと思っている。なぜなら、第一に公共投資予算は先進国中ずば抜けて第一位の水準にあり、生活関連重点化枠の活用などで重点的な配分が行われることにより、地域への大きな影響は回避できると考えられるからである。
 第二に、現在地域づくり、まちづくりのための投資的経費のウエートは、大幅に地方単独事業にシフトしており(平成九年度で公共事業一〇・九兆円に対し、地方単独二〇・一兆円。地財計画ベース)、なおかつ、地財計画ベースに対して地方単独事業の実行ベースでの財政需要にやや余裕があることも指摘できよう。
 平成十年度以降もそれぞれの地域において、地域づくりの政策的課題に重点的、計画的に対応し得る財源は確実に維持されると考えてよいだろう。それぞれの地域は何よりも生活関連基盤整備の充実と地域経済を支える機能を考え、的確に地域づくりに対応することが望まれる。
 次に、地方分権の推進と地域づくりへのインパクトについてである。平成十年度以降、地方分権は政府レベルでの地方分権推進計画が策定されるなど大きな動きが予想される。
 また、これに並行して地方分権の推進の成果を上げるため、市町村の行財政基盤の強化を図ることが求められよう。
 自主的な市町村合併の推進、広域行政の充実など地方行革の積極的な推進、地域における人材の確保のための人づくりなどが大きな課題となる。このような流れに即応した地域づくりが今後とくに期待される。

重くなる地方公共団体の役割

 さらに、地方分権の推進に伴い、都市計画や地域計画のプロセスでの地方公共団体の役割が格段と重くなる。このことは、地域自身の責任による地域づくりが行われることを意味し、地域づくりに関して「結果責任」が問われることになる。この分権の流れをうまくつかんで、具体的に地域づくりに活かしていくことがポイントとなるであろう。
 先般、白川前自治大臣のお伴をして欧州五カ国を駆け足で巡る機会を得た。モスクワでは、いたる所で「モスクワ850」の標語に出くわした。一一四七年にドルゴルーキー侯がクレムリン付近に砦を築いたモスクワ建都から八百五十年ということらしい。
 ロシア正教寺院、博物館、銅像などを今秋の祭典に合わせて一斉に修復している。中には、モスクワ川中州のピヨートル一世の大モニュメントのように、ややアナクロニズム的で、しっくりしない新しい建造物もある。
 新体制のロシアは、ヨーロッパの都市と肩を並べるつもりで、ロマノフ王朝時代以前の歴史を踏まえ、いま八百五十年のモスクワ建都をふり返って、新しいロシアの首都づくりに立ち上がろうとしている。
 ウィーンでは、シューベルト生誕二百年を記念するイベントが開かれている。ヨーロッパ各都市と比較して、遜色のない歴史と文化を持っているわが国の地域づくりに当たっても、このような歴史的、文化的な資産を有効に活用することが重要なことはいうまでもない。

求められる外国人への心配り

 その場合、ヨーロッパの都市に学ぶべき点は、常に外国人の視線を意識して、外国人にも分かりやすい標識表示がされていることであろう。わが国の地域づくりに当たっても、このような心配りが求められよう。
 この欧州出張の際、印象が一番深かったのは、ポーランドのワルシャワの復興ぶりであった。大戦による廃墟から立ち上がり、ソビエト崩壊による体制の変換を経て、首都としてのまちづくりの途上にある。
 そのメーンストリートであるノウィスウィト通り(Nowy Swiat Street)は、ワルシャワ復興の象徴として見事である。完全に修復された十八〜十九世紀の建物が両側に立ち並び、バスとタクシーの乗り入れだけに規制された二車線の車道(通常の二車線幅より広い車道をとり、わざと車線を蛇行させている)を挟んで、両端に車道と同じ幅の広い歩道が設けられた街路が数キロメートル続いている。
 この歩道は、ショッピングだけでなく、テラスともなり、社交、談らんの空間ともなっている。案内してくれたポーランドの人によると、この道は、昔は王宮から郊外の離宮へ至る王様の道であった。
 しかし、いまはワルシャワ市民の憩いの道になったという。私が「立派な道ですね」と誉めたところ、遠慮がちに「ここだけですから」といわれた。
 いま、地域づくりの課題としてわが国でも、中心市街地の活性化が大きく取り上げられようとしているが、私どもの目指す地域づくりのモデルをここに見た感じがした。

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