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愛知県十四山村
AMAKARA塾

二十一世紀、農業は最高のレジャーに
自分が輝けば地域も輝く


地域の特色にこだわる

 十四山村は名古屋市の西二十キロの近郊にあり、一面水田に囲まれた美しい農村である。この村に、土地柄を生かし、農業体験を通じて地域づくりを行っている「AMAKARA塾」(あまからじゅくと読む)がある。
「AMAKARA」という言葉を聞いて、なんと奇妙な名前だろうと思った。そして何をやっている団体なんだろう、と好奇心をかき立てられた。この名前には、甘辛問答をしながら、海部(あま)地方から情報を発信したいという思いが込められている。
 昭和六十三年にPTAなど団体活動の経験者数人が、夜な夜な酒を飲みながら、何か地域でできることはないかと話し合い、自然発生的にこの塾が生まれた。形式にこだわらず、小回りの利く伸び伸びとした活動を行い、地域の行き詰まりを打開したいという思いがあった。
 発足当初から一貫して、地域の特色である「農・土・川・水」にこだわって活動に取り組んできた。平成元年の「川あそびIN宝川」では、十四山村を流れる宝川に思いを寄せる人びとが集まり、屋形船を浮かべてリバーウオッチッングを行い、地域にある川の大切さを話し合った。
 二年の「田んぼIN十四山」では、都市近郊でありながら、水田に囲まれている環境を生かして、年間を通じてのコメづくり体験を行い都市と農村の交流を図った。三年「みのり共和国IN十四山」では、農作物は生きものであるということ、愛情の注ぎ方で農作物はさまざまな表情を見せることを体験、農作物とのコミュニケーションの大切さを味わった。

自然と共生の幸せも

 AMAKARA塾ではこのように毎年、地域にこだわったイベントを開催している。地域へのこだわりというのは、川・水へのこだわりであり、土・農業である。そしてイベントを通じて農村と都市の交流、自然との触れ合いなど、地域を素材にしながら地域づくりを図ることに成功している。
 現在は、六年から続く農作業体験イベント「いもの里IN十四山」を行っている。JA十四山、婦人会、子供会などの団体と協力し、いもの里IN十四山実行委員会を組織、その中でAMAKARA塾は各種団体をまとめるパイプの役割を担っている。
 この催しは、名古屋市など都市部からの参加者が、自然豊かな土地を利用して、農業体験すると共に、村の人びとと触れ合いながら、村の魅力を味わえるもの。一方、村民も自分の生まれた地域に誇りを持ち、農作業する喜びを再認識することができる。
 AMAKARA塾ではイベントを通じて自然と共生する幸せに気づいてもらいたいと考え、そんな暮らしの楽しみ方を、農業(アグリカルチャー)を創造的に遊ぶ(レクリエーション)という意味の造語「アグリエーション」と名付けている。
 近年、農業振興策のひとつとしてグリーンツーリズムが人気だが、このアグリエーションは都会から農村にでかけ農業体験する「グリーンツーリズム」とは性格が異なっている。グリーンツーリズムは余暇を使い農業体験を行うというもので、中心は農作業である。

家族的関係築く

 一方、「アグリエーション」は一歩踏み込んで、農業体験を行うだけでなく、自然と共生することで農業の意味、地域の意味、環境の意味、家族の意味、人間と生物の意味を改めて考えさせてくれるものだ。
 AMAKARA塾を見ていると、大切なのは立派な受け入れ施設を作ることではなく、自分たちでできることを、できる範囲で行うという気持ちなのだと教えてくれる。
「いもの里IN十四山」には、約五十家族二百人が参加している。転作田六十区画を農業体験の場として活用、一〜三家族で一区画五坪を使用し、年間を通じて季節ごとの野菜を栽培している
「いもの里IN十四山」という名前は、初めて農作業を行う人でも、ちゃんと「いも」を秋に収穫できることから名付けられている。農作業の際には区画ごとに「農作業アドバイザー」がついている。「農作業アドバイザー」は、それ以外に自宅でとれた野菜を参加者に送ったり、手紙でのやり取りをしたりする。
 お互いに顔の見える家族的な関係を築いているのである。土地だけを与えて、それっきりの農業イベントが多々ある中で、このように参加者と主催者がお互いに土を耕し、汗を流すという農業イベントはまれである。
 また、「いもの里IN十四山」は野菜栽培以外に、毎回さまざまなイベントを行っている。主だったものは、ジャンボ七夕笹飾り、オカリナコンサート、花火大会、すいか割り、ジャンボ芋煮会、ジャンボカボチャの重さ当てなど。季節ごとに特色あるイベントを行い、農業体験イベントというよりは、十四山村体験イベントといえる。

高齢者の生きがいにも

 農業に遊びを加えることで、「地域であそぶ」という十四山独自の空間と仲間を提供している。そこには自分たちも楽しむといういい意味で、アバウトな気風がAMAKARA塾にあるからであろう。参加者は一年間の農業体験とイベントを通じ、十四山村の美しさと自然の面白さ、大切さ、そして人との交流の素晴らしさを味わえる。
 一方、先ほど紹介した農作業アドバイザーには高齢者が多いが、このアドバイザーという役割を通じて、自分の能力や知恵が他人に役立つ喜びを感じ始め、高齢者の生きがいづくりに繋がっているという。
 楽しければ、それが生活の張りとなり、さらなる向上心も芽生えてくるのであろう。アドバイザーはみな輝いているという。高齢者が生き生きすれば、その地域全体が生き生きする。
 今後も、活動をより発展させていくために、村内の各種団体と協力してイベントなどに取り組んでいきたいと事務局の鯖戸さん。「自分が輝けば周りも輝く」AMAKARA塾の活動は、都市近郊の農村でのひとつのあり方を示唆しているのではないかと思える。
「二十一世紀には農業は最高のレジャーになる、十四山村をAMAKARA(海部から)クラインガルテンにしたい」と目を輝かせていた。
「自分が輝けば地域も輝く」そんな思いを胸に十四山村を後にした。

AMAKARA塾プロフィール

●設立年=平成元年二月
●設立主体=自主的組織
●運営主体=自主的組織
●代表者=伊藤正勝
●会員数=十二人
●事務局=愛知県海部郡十四山村大字
 西蜆一丁目四三 鯖戸善弘
TEL:〇五六七五-二-二〇六二




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