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長崎県有川町
5ゾーン連携へ、マリンタウン計画
体験型観光漁業も推進

有川町農林水産課水産振興係主査

原佳秀

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課題は資源減少、高齢化

 有川町は五島列島の北部に位置し、入り組んだ海岸線に砂浜や小島が点在する自然景観は、西海国立公園の一部に指定されている。長崎市や佐世保市から高速船で約九十分、人口八千弱の町である。
 江戸時代初期には、紀州から伝えられた捕鯨技術が網取り法として開花し、有川鯨組による沿岸捕鯨が営まれた。回遊鯨が減って近海捕鯨の減少後も、南氷洋など遠洋捕鯨船団の人材供給基地として、多くの捕鯨マンを輩出してきた。現在は捕鯨に代わって、沿岸漁業が基幹産業となっている。
 本町では、大型・小型の定置網をはじめ刺し網、はえなわ、採貝藻、一本釣りなどが営まれ、平成七年度の総生産高は四千九百トン、十二億三千六百万円となっている。漁獲量の大部分は定置網漁業によるものであるが、漁業をとりまく環境は年々厳しさを増し、水産資源の減少や魚価の低迷、輸入水産物の増大、さらには就業者の高齢化や後継者不足などによる漁村活力の減退が大きな課題となっている。

合併で県有数の漁協に

 このような現状を踏まえ、四年度に(財)東京水産振興会による「地域水産業活性化診断事業」が実施され、本町水産業の活性化方策や実践課題などが提示、具体化された。漁村漁業活性化のためには、基盤となる漁業経営体質の強化が不可欠で、五年度からは町内六漁協の合併が積極的に進められた。この結果、九年四月、組合員一千五百五十八人を擁する県内でも有数の新漁協が発足した。
 本町の主要施策に有川港マリンタウンプロジェクトがある。この計画では、(1)ウオーターフロントシンボルゾーン(地域の玄関口として中心地を象徴するにぎわいの空間)を中核に(2)水産基地ゾーン(漁業の基地として機能の充実を図る空間)、(3)港湾物流ゾーン(地域を支える港湾物流空間)、(4)スポーツ・レクリエーションゾーン(豊かな自然と既存施設の集積を活かした空間)、(5)シーサイド・リゾートゾーン(恵まれた自然を活用した広域滞在型のリゾート空間)を設定し、各ゾーンが有機的に連携し、相互補完する総合的な空間形成を目指している。
 水産基地ゾーンには、水産関連施設の集約化が図られ、九年度からは冷凍・冷蔵施設や水産物加工処理施設の建設が始まり、水産業活性化のけん引力となる施設群が整備されることとなる。

つくり、育てる漁業へ

 本町は定置網中心の「獲る漁業」主体の地域ではあるが、近年の水産資源の減少からつくり、育てる漁業への変換と、その対応を図っていく必要がある。とくにアワビ、サザエなどの漁獲量は年々減少していることから、昭和五十九年に町営の幼稚仔育成施設を整備し、アワビを中心とした中間育成、放流事業を実施してきた。
 県の栽培漁業センターからクロアワビの稚貝を購入し、殻長三十ミリの大きさまで中間育成ののち、放流を実施。約六〜七年で十五から十七センチ、重さ六百グラム程度までに成長する。しかし、昭和六十一年から平成七年の十年間で、四十六万個の放流を実施したものの、漁獲量の減少は続いている。
 主に乱獲や密漁に伴う親貝(母貝)の激減、磯焼けによるえさとなる海藻の減少、タコなどの外敵によるものと思われ、資源保護・増殖上の課題となっている。それには漁業者による資源管理の認識が重要なことから、漁業フォーラムや各種研修会の開催を積極的に実施している。

「アワビの里」の機能拡充

 有川港マリンタウンプロジェクトでは、栽培漁業センターを水質環境に優れた頭島地区に移転し、アワビの里として機能の拡充を図った。これにより、これまでの中間育成施設に加えて、種苗生産施設や稚貝の保育場も整備し、アワビの採卵から放流サイズ三十ミリまで、約二十万個が生産できる体制となった。
 生産種苗は、従来のクロアワビのほか、メガイアワビ、エゾアワビにも取り組み、資源の増大に努めている。とりわけ、エゾアワビは「ひとくちアワビ」として、安価でグルメ観光客にも好評なことから、ふるさとの味覚として、町の名産品「有川うどん」とともに宣伝・販売しようという計画も生まれている。
 さらに将来的には、育苗可能な有用魚種の調査研究にも着手し、つくり、育てる漁業の推進に努めていきたいと考えている。また、栽培漁業センター周辺の豊かな自然環境を活用した、白浜地区野営場等臨海休養施設も併設している。キャンプ場、芝生広場、ビジターセンターなどを備えた施設は、石づくりの頭島教会とともに、観光資源としても利用されている。
 これからの水産業は、海洋レクリエーションとのかかわりが一層強まっていくことが予想される。このため、体験型観光漁業の推進とともに、捕鯨資料館の建設を計画している。


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