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27 福井県春江町

春江ゆり女性太鼓
「町をアピール」と結成
夢は「世界への飛躍よッ」

楽しく、明るく、ゆっくりと

 ドンドンドッ、ドンドンドッ「そーれ」「それ、それ、それッ」。ドドドン、ドドドン、ドドドッ「どっこい」「どっこい、どっこい、どっこいッ」―――。
 法被にねじり鉢巻き、いなせなおんなたちが力いっぱい打ち鳴らす太鼓の音。威勢のいい合いの手。やがて顔に赤みが……。額に汗が浮かぶ。音がおなかにどすん、どすんと響く。耳は張り裂けんばかりだ。しかし、すかっと心地よい。
 毎週水曜日の夜七〜九時、福井県春江町のB&G海洋センターで行われる「春江ゆり女性太鼓」の練習風景のひとコマだ。「三つ打ち」(右二つ、左一つと打つ。馬が走るときのような音)、「五分、五分」(左右同じ力)、「七、三」(右七分、左三分の力)など、基本の打ち方が繰り返される。
 建築業・山口具博さん(四〇)、会社員・増田博行さん(四〇)の熱心な指導で、ウデもめきめき上がってきた。レパートリーも徐々に増えている。「息吹」「二人ばやし」「祭り太鼓」「廻り太鼓」「越前勇み打ち」「女性そろえ打ち」などだ。
 女性太鼓のメンバーは全部で十一人(男性指導者は除く)。リーダーは坪内登美子さん(四八)だ。会社勤め、家事の傍ら太鼓に打ち込んでいる。音色に魅せられたのが入会の動機という。「楽しく、明るく、ゆっくりと」をモットーに、会の運営に当たっている。

町から太鼓のプレゼント

 女性太鼓は独身者が半数近くを占め、平均年齢三十六歳と「地域を支える女性パワー」に登場する女性グループとしては、比較的若い。米国アイダホ州出身で、英語教師のケイト・レイさん(二三)もその一人だ。
 「太鼓は日本独特のユニークなものと聞いていたので、ぜひやってみたかった」と入会の動機を語る。いまは念願かなって大満足。女性太鼓の新しい顔として、欠かせない存在となっている。
 「春江ゆり女性太鼓」は、平成四年夏、産声を上げた。「山なし、谷なし、川もなく、ただ田園のみが一面に広がる春江町に何か名物としてアピールできるものはないか」と思案の末のことだった。
 思案者はメンバーの一人で、演奏会で司会などを務める主婦の後藤詩津子さん(五三)。太鼓を昔やっていた人や、興味を持っている人たちに、かたっぱしから声を掛けた。予想どおり人は集まった。しかし、太鼓は一つしかなかったので、ドラム缶やタイヤをたたいての練習だった。
 それでも“おんな太鼓”ということで、「腕は未熟ながら、地域の人びとにかわいがられ、お祭り、結婚式などからお呼びが掛かるようになった」(公務員・立蔵綾子さん=二八)という。
 そんな活動が認められ、六年には町から太鼓をプレゼントされた。本格的な活動ができるようになったのである。立蔵さんは「年齢はちぐはぐなチームだが、それを超えて、みんな和気あいあいでやっています」という。

イベントに25回も出演

 記録をとり始めた七年八月から九年三月まで、女性太鼓は二十五回のイベントに出演した。「ユー・アイふくいオープニング式」「世界体操選手権スイス選手団歓迎会」「サミットin春野」「福井県車椅子ボーリング大会」などだ。
 「サミットin春野」の際は、高知県春野町に遠征した。頭に“春”の付く全国の町の首長会議が開かれたからだ。「福井県体育協会五十周年記念式」「全国アマ演劇大会アトラクション」にも出演。そのほか、町内のほとんどの「地区まつり」にもお呼ばれし、祭りの盛り上げにひと役かっている。
 坪内さんは語る。「あんなに楽しそうなら、わたしも一緒にやりたいという人がいっぱいいる。お金は一人毎月二千円徴集しているが、ご祝儀、町を通じて宝くじの助成もあるので、幸い、これまで心配したことはありません」

地域にさらに貢献へ

 女性太鼓が冠に「春江ゆり」をいただいているのは、春江町の町花がユリだから。町では現在、ユリの栽培を増やそうとしている。そして、特産のテッポウユリについては、ブランド化、差別化を推進中という。
 また、町では毎年秋に「ゆり創作展」を開催している。昨年は三十五都道府県から約八百九十点の応募があった。デザイン画デジタルアート、絵本、クレイ・クラフト手芸、漫画など何でもありだ。
 春江町には、新しい町のシンボル「ハートピア春江」もある。七年春に開館、ヨーロッパ風の重厚な建物だ。大、小ホール、図書館、和室、噴水公園などが調和よく配されている。総工事費は七十余億円だった。
 女性太鼓について、坪田儉治町長は「まだまだひよこですから」と謙そんするが、町幹部は「ハートピアという立派な施設もあることだし、いずれ、女性太鼓の世界大会など開きたいですネ」と抱負を語る。
 立蔵さんらももちろん、同じ思いだ。「春江町の顔として、将来は福井県内ばかりでなく、全国、いや世界へ飛躍したいッ」。そしてまた、坪内さんは「老人、心身障害者施設などでの演奏も積極的に行っていく」と今後、いま以上に地域社会に貢献することを強調。その言やよし!。筆者もまた、春江ゆり女性太鼓の全国、世界への飛躍の願いがかなえられることを祈るや切である。





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