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兵庫県佐用町 星都づくり協議会 プランづくりや事業展開 自らプロデューサーで |
三月中旬から四月中旬にかけて、ヘール・ボップ彗星が地球に最接近した。尾をたなびかせた美しい彗星の姿がよく見えるようにと、兵庫県佐用町の「星都づくり協議会」は、まちの明かりを落とすよう呼びかける「ライトダウンキャンペーン」を展開した。
佐用町への便は思いのほかよかった。新幹線を姫路駅で乗り換え、姫新線で約一時間。あいにくの雨模様だったが、田植えを待つ田園と小高い山の連なりを眺めながら列車に揺られていると、ほどなく佐用駅に到着した。
岡山県との県境に位置するそのまちには、九千人の人口に比して賑やかな商店街が駅の南側に続いていた。鄙(ひな)びた食堂で昼食をすませ、町役場に赴いた。
町役場の企画振興室で、「星都づくり協議会」事務局の江見秀樹さん、代表者の下野嘉信さんにお話をうかがった。
佐用町は、昭和六十三年に環境庁が実施した「スターウオッチング・星空の街コンテスト」において、全国の百七自治体とともに「星空の街」に選定された。さらに、平成元年の「ふるさと創生資金」を活用して、「星空の街づくり」に取り組むことになった。
星都づくり協議会(通称:星仲間)は、佐用町が推し進める「星の都づくり」を主体的に進めていくために集まった有志のスタッフの手により二年に旗揚げされた。町民自身がプロデューサーとなって、いろいろなプランづくりや事業の展開などを手掛けている。
同協議会結成を契機に、同年には町が「星の都宣言」を行い、県立西はりま天文台公園が同町の大撫山頂にオープン。「星の都」のメーン施設として、世界屈指の六十センチフォーク反射式望遠鏡や太陽望遠鏡を備えており、県内外から年間十万人以上の入場者が訪れている。
星都づくり協議会の会員たちは、「星の都づくり」関連事業にさまざまな形でかかわってきた。あるときはアイデアを出し、あるいは委員会で発言し、またイベントのスタッフとなって、まちづくりを支援してきた。「星を見る人の集まりだと思われがちだが、この協議会はまちづくりに関することは何でもやろうというグループ。会員もとにかく佐用町を応援したいと集まってきた人ばかり」と下野さん。
まちの案内看板や説明看板を整備する「星の都サイン整備事業」、広く国内外から作品を募集する「星の都絵本大賞」には、企画段階から携わった。大気などの環境保全意識の高揚と意見交換を行った「星空の街・あおぞらの街全国大会」には、スタッフとして参加した。
さらに、星の都として誇れる特産品を開発するアイデアコンクール、星の都づくりフォーラム、キラキラマラソン大会、景観整備、緑化推進事業など、「星の都」をキーワードにまち全体で行われた各種事業で、会員たちは中心的な役割を果たしてきた。
現在、同協議会の会員は二十九人。うち六人が女性。職種は自営業、公務員、会社員、農業など多彩で、二十歳から六十歳代まで、世代を超えたグループコミュニケーションの場となっている。
とにかく、自分で応募して会員となった人たちがほとんどなので、抜群の機動力・行動力・企画力を誇っている。会議でも常に活発な意見交換が行われ、まちづくりに対するアイデアも豊富に出てくる。「思いついたらすぐに実行に移せるのが、この会のいいところ」と江見さんも話す。
ふだんの主な活動は、情報ネットワーキング部会と山紫水明プロジェクト部会の二つに分かれて行われている。
情報ネットワーキング部会は、佐用町で行われているさまざまなまちづくり活動を支援するため、ミニコミ紙『スタータイムズ』を編集・発行しているほか、フォーラムの開催などを行っている。昨年も町の文化祭に「インターネット体験コーナー」を出展し、町民が気軽にインターネットを体験できるブースを設けて、なかなかの好評だった。『スタータイムズ』では、お正月に別冊として佐用町の方言カルタを作成し、配布したりもしている。
山紫水明プロジェクト部会では、まちの自然を楽しみながら再発見し保全や活用を図っていこうと、ハイキングなどのイベント開催や自然保護活動などを行っている。一昨年は佐用高校の先生を講師に、小学生対象の水生生物調査を実施。昨年は、兵庫県自然保護協会と一緒に実施したオオサンショウウオ・ウオッチング、町の音楽ホールである「スピカホール」周辺への葉ボタンの植栽、ペットボトルを利用したロケットづくり講習会と発射大会などの催しを実施した。
全員参加の催しとしては、毎年元旦に初日の出を見る会を行い、地元の大撫山中腹に朝五時に集まって、たき火を囲み甘酒で交流を深めている。また、毎年五月には町内を流れる佐用川の護岸に地元の子供たちと一緒に、思い思いの絵を描く壁画づくり作業を実施。さらにクリスマスには川沿いに約三百本のろうそくを並べて、夜の川辺を照らすクリスマスキャンドルサービスを行うなど、ユニークな催しがたくさんある。
ともかく、まちのお手伝いができると思ったら、すぐに行動に移せる柔軟性が、この会にはある。町がこの五月にオートキャンプ場をオープンさせた際も、キャンプ場周辺の倒木の整理作業を手伝いに行ったりしている。
今後はキャンプ場周辺を歩き回って、町北部に位置する日名倉山域のネイチャーマップを手作りしたいと意気盛んだ。「会員たちがそれぞれの趣味や特技を活かして、また新しいグループを作り、それぞれのグループとのネットワークが広がっていけば」という下野さん。
取材当日は厚い雨雲に覆われて、星空観察もままならなかった。その代わり、星空に負けないほど輝いている人たちと、出会うことができた。
星都づくり協議会プロフィール
●設立年=平成2年1月
●設立主体=市町村
●運営主体=自主的組織
●代表者=下野嘉信(公務員)
●会員数=29人(男23人、女6人)
●事務局連絡先=兵庫県佐用郡佐用町佐用26−1−1佐用町企画振興室内 TEL:0790-82-0664