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地方自治五十年と地域づくり

愛媛県知事

伊賀貞雪

 今年は、地方自治法が制定されてから、ちょうど五十周年という大きな節目の年を迎えたわけである。
 私事で大変恐縮であるが、私は戦後、復員して間もなく愛媛県に奉職し、以来、一貫して地方自治の仕事に携わってきたので、私にとって、この半世紀は人生のすべてでもあると思っている。
 この間、地方自治に関するキーワードを思い起こしてみると、「町村合併」「過疎・過密」「公害」「三割自治」「地方の時代」「ふるさと創生」「東京一極集中」「多極分散」そして「地方分権」を挙げることができるのではないかと思うが、私自身、時代の流れを振り返り、誠に感慨無量のものがある。
 とくに、今日の「地方分権」は、私どもが地方自治の究極の目標として取り組んできた、古くて新しい課題である。
 古い歴史をひもとけば、明治憲法制定以前の明治十年に、福沢諭吉先生が、国権を「中央政権」と「地方自治権」に分けることを提唱されてから、すでに百二十年の歳月が流れている。
 私は、地方分権のポイントは地方への権限委譲、必要十分な財源の確保、地方自治体自らによる受け皿づくりの三つが重要であると考えているが、この実現を基に、それぞれの地方が自然や歴史、文化といった個性や特性を活かしながら、独自の魅力ある地域づくりを進めていくことが大切だと思っている。
 本県では、再来年、愛媛県の今治と広島県の尾道を結ぶ西瀬戸自動車道今尾ルートが全通することになっている。
 「瀬戸内しまなみ海道」という愛称のとおり、この今尾ルートは、瀬戸内海の島々を、さまざまな形の十本の橋で結ぶルートである。
 その中には、世界で初めての三連つり橋となる来島大橋や、世界一の斜張橋となる多々羅大橋など、バラエティに富んでいる。
 このルートは、私どもが関係府県と共同で進めている太平洋新国土軸と従来の西日本国土軸とを結び、本州と四国をつなぐ重要な地域連携軸であると同時に、伊予水軍の歴史とロマン、そして多島美を誇る芸予諸島を陸路で結び、生活文化の振興に寄与する地域福祉橋として、また、日本一のサイクリング・ロードを併設し、自転車や徒歩で瀬戸内海を横断できる観光レクリエーション橋として、他のルートにない特性を有しており、内外から大きな期待が寄せられている。
 愛媛・広島両県で、このルートの完成記念イベントを盛大に開催することにしているが、これを持続しながら、県内全域で、今尾ルート全通の効果を活かした地域づくりに取り組み、地域の活性化につなげていきたいと考えている。
 愛媛県が発足してから百二十年余りになるが、戦後五十年の新しい基盤づくりをもとに、愛媛はこれから大きな飛躍の時を迎えようとしている。





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