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広島県高宮町
未来空間の形成、共に目指す
清流の里、全町公園化、家族村で活性化

高宮町企画課係長

小田 忠

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●高齢化、人口減続く

 「地域に快適に住む」ことの実現に向け、また、整備された農村空間がこれからの「未来の定住空間」であることを信じ、自らが参画し地域ビジョンを描きながら行動しているのが、高宮町の住民自治組織「地域振興会」。高宮町は広島県の北部に位置し、林野が八割近く占める中山間地の町で、人口は四千六百六十八人。減少率は鈍化しているものの、依然、減少傾向にあり、高齢化率も三割を超えている。

●まちづくりの中心、八つの振興会

 昭和四十七年広島県北部を襲った大水害で、川根地区は、家屋や田畑の流失など甚大な被害を被った。水害からの復興と克服のため、住民有志数人が「川根振興会」を組織。地域活性化に向け生活産業、教育福祉、地域文化など広範で積極的な自治活動を展開した。「自らの地域は自らの手で」、こうした川根振興協議会の活動に誘引される形で、住民総参加の八つの地域振興会が次々と誕生した。
 町は、「振興会」をまちづくりの中心に位置づけ、八つの振興会との対話の場を確保し、住民活動の活性化を図るため「地域振興懇談会」の開催を提案した。
 この懇談会により行政と、住民の役割、地域の課題・展望などが明らかにされ、地域の要望や計画が直接施策に反映されるシステムが形成された。
 地域振興会は、地域福祉、教育・文化から環境保全活動に至るまで実に幅広い領域にわたっている。

●「家族村構想」策定

 懇談会などによる住民との地域の将来展望について協議を重ねた。その結果、地域の活性化と新たな農業の創造と育成を軸に、自然や農村景観などの地域特性を活性化の資源として生かし、新しい産業と雇用の創出を「都市との交流」によって確立するため、昭和六十三年に「高宮虹の家族村構想」を策定した。
 町の基幹産業である農業を「アグリビジネス」と位置付け、交流によって「人の流れ」を起こし、地域産業の活性化から「地域経済の活力」へ発展的に展開することが狙い。このため、核として農村型レジャー施設が民間活力の導入によって整備された。初年度には約七十万人の来場者があり、このことが住民の自信となり、町が大きく変貌していくきっかけとなった。

●全町公園化

 さらに、各地域振興会にそれぞれ地域資源を活用した個性ある事業の提言を求め、これからの農村は「美しくなければ生き残れない」をテーマに、「全町公園化構想」を策定した。
 振興会ごとに地域特性を生かした拠点施設を整備し、ネットワークによる相乗効果を図り、農村サービス業と農業を一体化した就労システムの形成と、高宮町におけるグリーンツーリズムの構想を目指している。
 振興会の提案により設置された各拠点施設は、施設規模や色彩・デザイン、事業用地確保協力に至るまで積極的な地域住民のかかわりにより、「地域の財産」として位置付けられ自主的な管理運営が行われている。

●清流の里

 川根振興協議会では、清流などの自然環境と農村景観を守り育むことで活性化を図ろうと、「清流の里構想」を策定し、中学校跡地に交流拠点施設「エコミュージアム川根」を建設した。管理運営は振興会を中心とした組織が行い、自然生態学習会や農業体験ツアーなどを開催し、地元の食材にこだわった田舎料理が好評だ。また、志部府親交会は広葉樹林と竹林を生かした里山公園を提案し、建設された公園を活用し、竹製の食器作りや羽釜炊飯、季節に合わせて田植え、稲刈り、きのこ狩りなどの体験イベント「森の家族の一日」を開催して多くの家族連れが訪れている。町の中心に位置する上佐一心会は魅力的で賑わいのあるタウンセンターの形成を提言し、住宅団地、ショッピングセンター、文化ホール、図書館などの機能集約整備が進められている。
 地域活力の再構築には、「交流」から「定住空間の形成」への移行が求められ、「訪れる人」を「やわらかく受け入れる」地域社会の形成や、地域個性を活用した産業育成による所得の確保、雇用の場の創出といった生活・産業基盤の整備、また、農業農村の他面的機能の積極的な情報発信などが緊急の課題となっている。
 自らが参加し、自らの生活舞台を高めようとする住民運動と共に的確な地域ビジョンを構築し、これを成長させることで、確かな明日への展望は開けるものと確信する。


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