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「福島県女性経営者プラザ」会長・小口潔子さん 社長業に強くなりたい― 女性だけの経営者団体スタート |
福島民報社の「福島大百科事典」によると、福島県は女傑の産地でもある。戊辰戦争に敗れ、「会津振興の基本は子女の教育にあり」と全国に先駆け幼稚園を開設した海老名りん。私財を投げうち済生会病院を設立した瓜生岩子。同戦争で娘子軍(女白虎隊)を結団、「もののふの猛き心にくらぶればかずにも入らぬ我が身ながらも」の辞世の句を残し殉死した中野竹子。会津藩家老の娘で十二歳のとき、わが国最初の女子留学生(五人)となり渡米。後に大山巌元帥夫人となった大山捨松。そして最近では全国初の女性町長として地域活性化に取り組んだ藤田満寿恵前棚倉町長−など。
こうした女傑の里に新たな女傑集団が生まれた。団体の名は福島県女性経営者プラザ。会設立の動機について初代会長の小口潔子さん(五四)は「社長業に強くなりたい」との思いから、と語ってくれた。
同プラザは、女性経営者および起業家を目指す女性の支援や、資質の向上、自己研さんを重ね個々の経営の発展と女性経営者の立場から情報発信できるネットワークを確立する―ことを狙いに、平成八年七月設立された。「女性だけの、女性による、女性のためになる」組織だ。
具体的な主な事業は(1)資質向上のための研修交流(2)起業家の育成(3)自治体などへの政策提言(4)新分野開拓など経営の新課題に対する調査研究―など。福島県中小企業団体中央会内に事務局を置き、同団体を通じ県からの助成と会費で運営している。
会員は四十八人。職種も農機具販売、旅館などサービス業、印刷業、企画サービス業、スーパー、学校経営と多岐にわたる。
会員の約半数は夫に先立たれ、突然、経営を引き継いだ。素人ゆえのとまどい、金融機関との融資の交渉など男性社会の中での孤立感は深まる一方だ。
「何とかしなくては」と気ばかりあせる。こうした共通の悩みを抱える女性経営者たちが、平成七年十一月一堂に会する機会を得た。
県中小企業団体中央会が毎年、県の委託を受け実施している「県技術市場交流プラザ事業」で、はじめて女性経営者だけを対象に経営や金融関係の研究会を開いた。
事業終了後、参加した小口さんらが中心となり、「女性だけの暴業種交流の機会を、このまま終わらせるのはもったいない」とグループ結成を働きかけ、県女性経営者プラザの誕生となった。
昨年七月設立以来、「社長業とは何だ」「社長業に強くなろう」などのテーマで、ベテランの男性経営者を講師に招き講演会を開き、意見交換した。この中で、講師から「女性経営者が融資などの面で差別されていると考えるのは間違い。経営者としての資質や信用に問題があるから」と厳しく指摘された。
また、同じ女性グループの「協同組合浅草おかみさん会」の富永照子会長を招いて今年一月実施した講演、「女性経営者のあり方」は大変刺激になった。新幹線の始発終着駅が上野から東京になったことで、「東京の過疎地域化」に危機感を持ったおかみさんたちが、「欽ちゃん劇場」「ニューオリンズジャズフェスティバル」、二階だてバスの運行など次々とまちおこしの企画を実行、大きな成果を上げたから。早速、実地に学ぼうと二月、同プラザメンバー十六人が浅草を訪れ研修交流を行った。また、昨年十二月には県中小企業団体中央会に参加した男性経営者グループとの交流会も持った。
同プラザのメンバーは、積極的な対外活動により、経営者として次第に自覚を持つようになった。しかしながら、社会機構がまだまだ男性中心で、どの団体、組織でも上部にいけばいくほど女性は皆無。このため、小口さんは「行政をはじめもっと率先して、女性の登用を考えてほしい」と苦言を呈す。
小口さん自身は、旅館四季彩一力(福島県郡山市)のおかみさんから十一年前経営者に。立教大学同級生で最愛の夫光一氏が亡くなったため。以来、関連会社も含め百人の従業員の生活が華奢なからだにのしかかった。昭和天皇、皇后も宿泊された老舗を守るというプレッシャーもあった。もともと実家が東京で、チョコレート製造業。サービス業とは縁がなかった。まさに断崖絶壁のピンチ。
しかし、「苦労はなかった」とサラリと言ってのける。「スタッフに恵まれ、子供も大学生で子育ての心配もなかったし」と。三年前、新館(五階建て)を完成、年商も倍の十数億円に。従業員や関係者は小口さんのことを「アイデア好きで、前向き。垣根を飛び越え懐に入ってくる人」と印象を語る。経営を引き継いだとき、心に決めたことは二つ。「あのおかみなら大丈夫」と思ってもらうこと。もうひとつは「お客さんが『また来たい』と思う旅館にすること」。旅館を続けて思うことは「無限の出会いの歓(よろこ)び」だと言う。
小口さんは経営者であると同時に、県教育委員会委員、磐梯熱海旅館協同組合理事長など数多くの公職も兼ねる、超多忙だが「何事も楽しんでやるのが好き」とケロリ。
女性プラザの今後の課題は(1)会員を福島市と郡山市以外にも広げる(2)補助金団体を事業協同組合化する(3)女性経営者としてのノウハウの蓄積―など。
「仲良しクラブ、単なるボランティア団体ではなく、『女性経営者としての自立』を目標に、地域振興にも役立ちたい」と今後の抱負を語った。