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地方振興と新しい価値観

日本電信電話株式会社常務取締役

マルチメディアビジネス開発部長

池田 茂

 間もなく迎える二十一世紀を前に、これまでの価値観が揺れている。社会全体にわたり、リストラ、ビッグバン、日本沈没、大災害、環境破壊…。これらは、いままでの経済・技術の進歩に対する反省かもしれない。その大きな流れの中に、デジタル技術に支えられたインターネットがあるように思える。
 現在のインターネットは「技術」からみれば、初級のレベル。その意味では、たかがインターネット、されどインターネットだ。このネットワークが、パソコンと結びつき、全体として、デジタルなネットワークシステムになっていることが、重要だ。誰もが、発信し、着信することが可能になった。
 このインパクトは強烈だ。なぜなら、このネットワークで行われることは、何でもありの世界で、既存の産業分類では、到底包みきれないものだ。すなわち、通信、郵便、放送、広告、出版、教育、ショッピング、バンキング…。まさに、際限がない。しかも、これは国の内外を問わない。
 この結果、これまで、長年にわたって社会全体を支えてきたシステムは、ガラガラと崩れ始めた。いままで、全く別の独立した産業と思われてきたものが、デジタル技術で、分解して処理してみると、ほとんど共通だとわかった。産業分野の崩壊、再編、融合が起こり、これが政治、行政、社会、教育…などあらゆるシステムの見直しに連動する。
 インターネットは、こうした大きな時代の変化に向けて、あらゆる分野に対し、徐々に徐々に、ボディーブローを打ち続けているように思える。そして、ある日突然、何か大きなパンチが打たれたとき、いまの世界は決定的な変化が起こる気がする。
 ところで、インターネットから何が生まれるのか。確かに、デジタルに支えられたインターネットは、既存のものを壊すことはできる。しかし、その後の新しい展望を示すことはできない。どう使いこなすのか、何の目的のために使うかは、新しく創造しなくてはならない。新しい創造には、コンセプトが要る。価値観が要る。壊して何を創造するのか、その価値観をどこに求めるのか。
 ズバリ言って、デジタルでないもの。つまり、歴史、文化、自然、伝統、人間、方言、特産、地域社会…といった要素だ。そのことは、人間が主体であり、生活が基本であり、自然との調和によるそれぞれの地域性を大切にするコンセプトだ。非画一性、特殊性、独自性…だ。換言すれば、アナログ。デジタルの良さを十分使いこなし、これを人間に対して貢献させるのに必要なのは、このアナログのコンセプトで、デジタルは確かにいまの社会を揺さぶっている。このままだと、パソコンに振り回され、英語に振り回され、クローン人間のようにロボットに振り回される可能性さえある。
 こうしたとき、地方振興を考えるというプロセスを通し、アナログ、しかも「大きなアナログ」を創造するという新しい価値観こそが、この地球、人類を救うことになると思う。





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