地域活性化フォーラム/地域づくり団体全国研修交流会

地域活性化フォーラム
Iターンで地域活性化
新しい人と共同で新たなまちづくり

 (財)地域活性化センターは二月十五日、地方自治法施行五十周年を記念して、東京・新橋のヤクルトホールで自治省などの後援により、「『地域活性化フォーラム』Iターンで地域を拓く!」と題し、パネルディスカッションを開催。Iターン希望者、県、市町村関係者ら約四百人が参加した。
 地域の過疎化が進む一方で、都会では全く未知の土地で新しいライフスタイルを求めるIターン希望者が最近増えている。しかし、都市部と過疎地での価値観の違いから生じる摩擦や住宅など社会基盤整備の遅れのため、Iターン者の定着は必ずしも進んでいないのが実情だ。
 このため、今回のフォーラムではIターンによる地域活性化の可能性を探ると共に、受け入れ側の課題と解決策などについて、事例を紹介しながら、パネリストの論議を通して、参加者が共に考えることにした。
 フォーラムの主なテーマは(1)地方の吸引力(魅力)と脱都会指向の動き(2)「交流」……定住交流と非定住交流、文化・風土交流(3)Iターン者と受け入れ側とのギャップと喜び(4)受け入れる自治体の対応すべき課題(5)新たな人間関係の構築―の五つ。
 フォーラムにはジャーナリスト・勝部領樹氏をコーディネーターに、パネリストとして作家・俵萠子氏、早稲田大学教育学部教授・宮口とし廸氏、(財)池田屋事務局長・谷端淳一郎氏、前福島県棚倉町長・藤田満寿恵氏の計五氏が出席した。
 (財)地域活性化センターの吉田弘正理事長が主催者を代表して、「今年は地方自治法施行五十年目にあたる。地方分権時代を迎え、住民と行政一体化による活力とゆとりのあるまちづくりが求められている。Iターンの持つ意義を一緒に考えたい」とあいさつ。

地方の魅力、脱、都会の動き

 まず勝部氏がフォーラム第一のテーマ「地方の吸引力と脱都会指向の動き」について、各氏に意見を求めた。
 自らも富山市に住み、地方暮らしを実践する宮口氏は、まずIターンの定義について「人生の方向を自分で大きく転換する、という意味を含んでいる」と述べたうえで「積極的意志によるIターンが望ましい」として二人の“脱都会組”の例を挙げた。
 一人は沖縄の久米島に嫁いだ女性。旅行中、島の自然に感動。地元の男性と結婚し、四人の子の親としてたくましく生活。もう一人は、大学の薬学部出身で、「バイオ産業との取り組みは農村で」と過疎の村で頑張っている。
 また、大阪の民間会社から福井県の武生市、池田町と役所への転職を重ねた谷端氏は、体験を通じたIターン論を展開。同氏によると、池田町に転職後、(財)池田屋の事務局長として、職員採用にあたりUターン、Iターン者を積極的に採用し“新しい血”を導入した。その結果、次々と新しいアイデアが生まれ、いまでは年商三億円を上げ、町の活性化に大いに貢献している。
 また全国唯一の女性町長だった藤田氏は就任後、「棚倉町は気候もおだやかだが、人間もおだやか過ぎる」と考え、刺激を与えるため、国や県などからどんどん借金し、リゾート・スポーツプラザ「ルネサンス棚倉」を造った。この積極策が実り、近隣町村で唯一人口増の自治体である。

特技を持ってIターン

 「Iターンと受け入れ側のギャップ」について。まずIターン希望者に対して、俵、谷端両氏は「特技を何かひとつでよいから持っていると、地域に入りやすい」とアドバイス。宮口氏は「人間嫌いでは地域に溶け込めない」と「積極的な地域とのかかわりの重要性」を強調した。
 受け入れ側の心構えについて同氏は「新しい職場にIターン者を迎える場合、給与内容、休暇などをあいまいにしないことが大切」と助言。
 共通の意識について谷端氏は「両者の関係は『そっ啄(たく)』と同じ」と語る。ニワトリの卵がかえるとき、ヒナは殻の中から突っ突き、母ドリも殻をかみ破る。「新しいものを生む互いの意志と努力」の必要性を説く。

全職員の広報マン化

 「自治体の対応」では、谷端氏は(1)風通しが良く(2)時代の変化に対応できる(3)主体性を持った―地域づくりを提唱。それには「新卒だけでなく社会人も含めたUターン、Iターン者の積極的受け入れが欠かせない」と強調。
 宮口氏は「過疎地で、離村し廃屋を手放さない人が多い。Iターン希望者が廃屋を利用しやすくするために行政が介入してほしい」と要望。また、「役所を訪れた人に、地域のことを話せない職員がいる。職員は担当に関係なく、“全員広報マン”であるべきだ」とも提言した。
 俵氏は「転職情報誌やインターネットの活用が若者に受け入れられるのではないか。Iターン希望者の意見をもっと積極的に聞くことも大切」と述べた。

共同で新たな町

 最後に「新たな人間関係の構築」では藤田氏は「子供には夢、人生には生きがい」をモットーに生涯学習センターの設立を計画。谷端氏は「田舎は町にとって父母の存在。希望者は自然体で戻ればいい」。俵氏は、「都会の落ちこぼれではなく、何かひとつ特技を身につけてからIターンすべき」とそれぞれ助言した。
 宮口氏が「過疎と言われて三十年。父母(田舎)は老いた。実現性の少ない『人口増構想』はやめて、新しい人との共同作業により、『新たな町』の建設が大切だ。結果としての総人口の増減に一喜一憂するのは愚」と締めくくった。

地域づくり団体全国研修交流会
富士山と陽いずる駿河の国から、いま発信
第6回静岡大会開催

研修交流課副参事

高橋知之

 地域づくり団体全国協議会としずおか未来づくりネットワークが主催する「第六回地域づくり団体全国研修交流会〜富士山と陽いずる駿河の国から、いま発信」が、二月十四・十五の両日、静岡県焼津市など二市二町で、全国各地の地域づくり団体、都道府県協議会関係者などを集めて開催された。
 基調テーマは「自分らしく生きたい・それぞれの地域づくり」。全国的にみても地域に根差した独自の地域づくり活動を行っている静岡県での開催とあって、初日の会場となった焼津市文化センターは、約七百人の参加者でにぎわった。会場内には静岡県内の地域づくり団体や自治体の展示・即売スペースも設けられ、県外からの参加者を楽しませた。

地域密着・利害調整・国際的視点がキーワード

 午後一時から始まった第一部では、まず地域づくり団体全国協議会伊藤善市会長の代理で、副会長の蓼沼朗寿(財)地域活性化センター常務理事が主催者としてあいさつ。来賓の嶋津昭自治大臣官房総務審議官、吉田弘正(財)地域活性化センター理事長の祝辞に続き、静岡大学人文学部教授の小桜義明氏が基調講演を行った。
 講演のテーマは「転換期の地域づくりと官・民の役割分担」。静岡未来づくりネットワークの代表幹事でもある小桜氏は、「静岡のような中規模の都市こそ、まるごと地域を考えるのにちょうどいいスケールだ」と発言。「これからの地域づくりは、地域に密着し、利害関係を調整しながら、同時に国際的なネットワークを築いていく必要がある」と強調し、「行政の側も住民の自助努力と創意工夫のあるところに投資をすべきだ」と話した。

先進事例を足がかりに分科会で積極的に意見交換

 続いて「それぞれの地域づくり」と題し、先進的な地域づくり団体の実践事例を紹介。全国と静岡県内の計十事例について、プロジェクトPOJ代表の花井孝氏の紹介でそれぞれの代表者が発表。
 国際交流を通じた青少年育成事業に取り組む「むつ国際交流協会」(青森県むつ市)、水にこだわった活動をしている「日本のどまんなか〈いびがわ〉ミズみずフェスタ実行委員会」(岐阜県揖斐川町)、島ぐるみの地域づくりを展開する「伊王島リゾート開発梶v(長崎県伊王島町)、男女が共生し豊かさが実感できる社会づくりを進める「石川県女性センター」(石川県金沢市)、千年先までの地域の在り方を研究した「今立町結い村基本構想研究会」(福井県今立町)、地域で活躍する異分野の人材をネットワーク化する「静岡地域学会」(静岡県静岡市)の六団体が全国的事例として紹介された。
 さらに静岡県内の事例として、公共空き地の活用法を考えた「踊り子の風」(河津町)、イベント、景観づくり、シンポジウムに取り組む「長泉ふぉーらむ」(長泉町)、城下町の特性を活かしたイベントを展開する「遠州横須賀倶楽部」(大須賀町)、生徒の中から先生を決めて得意分野を講義する「おもしろ人立『めだかの学校』」(引佐町)の四団体が発表した。
 この後、事例発表をもとにしてテーマごとに九会場に分かれて情報交換会が開催された。国際交流、環境、スポーツ、女性、地域個性、イベント、住民参加、歴史、交流の各テーマで分科会を行い、参加者たちの積極的な意見交換が行われた。また、大ホールでは「豊かな時代の地域づくり」と題してパネルディスカッションを開催。コーディネーターに日本経済新聞社論説委員の井上繁氏を招き、静岡型地域づくりのこれからの展望を、会場からの積極的な発言を交えて話し合った。

大会テーマにぴったりのミュージカル「夢」を上演

 第二部では、まず開催県として石川嘉延静岡県知事があいさつ。続いて、静岡県志太地域の二市二町で構成する志太ミュージカル「夢」が上演された。いつまでも夢を持ち続けて頑張っていこうというミュージカルの主題は、今回の大会のテーマ「自分らしく生きたい・それぞれの地域づくり」にまさにぴったりで、内容も素晴らしい出来栄えだった。ミュージカルを演じたミュージカルスクール生たちは、将来上演される第三回志太ミュージカルに出演予定の地元の若者たち。この公演のために半年前からオリジナルミュージカルに取り組んできた苦労が報われたひとときだった。
 この後、場所をホテルアンビア松風閣に移して交流会が行われた。会場の入口には交流アクセスデスクが設けられ、会いたい人と出会えるように工夫されていた。また、地酒コーナーも設けられ、おいしい酒も振る舞われた。
 会場のあちらこちらで名刺交換したり、談笑する光景が見られ、時間いっぱいまで大いに盛り上がった交流会となった。

二市二町での分散研修会も充実した内容

 二日目には、志太地域の焼津市、藤枝市、岡部町、大井川町の二市二町で分散研修会が行われた。
 私の参加した藤枝市では、藤枝まとい同好会の皆さんによるまとい練りの実演、民俗学者の八木洋行氏の講演「東海道と里山の豊かな出会い」、平均年齢八十歳というおばあちゃん劇団「ほのお」による寸劇「老いの旅路」が行われた。八木氏の講演では、明快な論理展開で藤枝の地場産業である桐ダンスや人形づくりなどが、実は茶畑を開墾したこととすべて因果関係があることが指摘された。また、寸劇「老いの旅路」は、老人の日常を笑いとペーソスで包みながら、老いること、ぼけること、死ぬこととは何なのかという問いを観客に自問させる、奥深い内容の作品だった。
 このほか、焼津市では観光汽船でクルージングしながら、天文科学館などの複合施設となるディスカバリーパーク(平成九年七月開館予定)の建設現場を見学、岡部町では玉露の里の見学とパネルディスカッション、大井川町では田沼街道周辺のウオーキングやイベントボランティア集団について考える意見交換会などが行われた。
 いずれにせよ、短い準備期間にもかかわらず内容の充実ぶりと手際のよさが際立った大会であった。





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