全国急傾斜地サミット
デカップリングなどの措置を

徳島県山城町企画課長

蔵下一豊

十五町村が参加

 急傾斜地域における二十一世紀のまちづくり方策の探求、活性化の展望を狙って、徳島県山城町が全国の類似自治体に呼びかけ「急傾斜地を生きる」をテーマに、「第一回全国急傾斜地サミット&セミナー」を平成八年十一月、六県十五の町村が参加して開催した。
 山城町は南は高知県、西は愛媛県に接する四国のほぼ中央に位置し、四国山脈による急しゅんな山地が広がる山間渓谷地帯の過疎の町。面積は一三一・五七平方キロで森林が八五%を占め、約二千戸の民家はほとんどが非常に険しい山肌にしがみつくように点在し、そこに約六千人の住民が生活する。本町の産業は、社会、経済情勢の著しい変動により農林業の衰退、後継者不足、高齢化が進行する中で、急傾斜地を生かしたゼンマイ、茶、シイタケなどの生産出荷、特産物の商品化を図っている。また、林業は間伐促進とログハウスなどの建築、集成材や木工製品などの開発生産を推進している。

地元だけでは解決困難

 本町には、塩塚高原に遊具などを備えた休養休憩研修施設、ゴルフ場、清流吉野川の船下りと渓谷大歩危、小歩危峡には年間約百万人の観光客がある。さらに、平成八年十一月にオープンした観光拠点施設、石の博物館・観光情報館「ラピス大歩危」を新しい名所として整備、地元雇用の創出を図りながら、二十一世紀に向けた町の活性化を図る考えである。
 吉野川とその支流沿いに集落が広がり、山また山の急傾斜地で私たちの祖先は生きる宿命を担ってきた。
 これからも、この地を離れることなく、若者の流出による過疎化、急速に進む高齢化、後継者不足などによる地域産業の衰退、日々失われていく伝統的な個性(風俗、生活様式、景観)など社会的、経済的、文化的にも非常に厳しい環境の中を生き続けなければならない。
 とくに、急傾斜地町村が直面している課題は、基幹産業である農林業は荒廃の一途をたどり、国土保全の機能の低下が懸念されるに至っており、地元の努力だけでは解決が難しいところまできている。同じ悩みを持つ町村が打開策を探り、急傾斜地の特性を生かした二十一世紀のまちづくりを共に考える場として、山城町類似市町村の地方自治体にネットワーク化への参加を呼びかけた。それは国指定の振興山村地域、過疎地域、特定農山村地域、傾斜地が二十度以上の急傾斜地面積が総面積の半分以上を占め、そこに居住地域を有する地方自治体である。

農林業抜きの発展なし

 第一日目は、サミットに先駆けて急傾斜地域における農林業の現地視察を実施、なかでも傾斜度が三十度の急しゅんなゼンマイ園を見て、視察参加者たちは「まさにこれが急傾斜地を生かした産業だ」と驚いた。
 石の博物館見学、大歩危の船下り観光体験で、スリルと渓谷美に堪能していただき、夜の歓迎レセプションでも地元関係者との交流を深めた。
 第二日目午前の「急傾斜地サミット」では、参加町村のほとんどが、基幹産業の農林業振興抜きに発展は考えられず、苦悩している報告があった。しかし、農林業をはじめ観光資源を生かして活性化している成功事例、第三セクター会社設立による農林業振興に貢献している事例、都会の小学生を一年間預かる山村留学制度で人口増に取り組む事例、などの報告もあった。
 午後の活性化セミナーには町民三百五十人が参加、山城町でワサビ栽培を手掛ける岡田正子氏、宮崎県綾町で有機農業の指導に当たる横尾三典氏から事例体験発表があった。

外部支援など不足

 また、鈴鹿医療科学技術大学の宮川金二郎教授が「急傾斜地山村活性化の諸条件」、愛媛大学の村尾行一教授が「これからは山林経済の時代」と題して記念講演を行った。
 このあと、共同宣言を採択、次回開催地の検討を進めることを確認して閉会した。


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