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愛媛県明浜町 かっぱの恩返し伝説でまちおこし ストーリー性のあるイベントを開催 |
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明浜町企画調整課主査 |
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酒井吉水 |
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「明浜町」は愛媛県の西南部、豊後水道を隔てて九州を望む海岸地帯に位置する人口五千百人強の町である。典型的なリアス式海岸地帯で、「佐田岬半島宇和海県立自然公園」の中心部をなしている。町全体が南に面しているため年平均気温十八度と温暖で、温州ミカン、伊予柑、ポンカンなどの柑橘類栽培、宇和海の好漁場での一本釣りや船曳網でのチリメン魚、真珠、ハマチ、鯛などの養殖漁業が盛んである。
町では、若年人口の減少、高齢者人口増加という高齢化現象の進むなかで潜在的過疎化が急速に進行している。
また後継者の花嫁問題も町の将来に対する大きな課題となってきており、町を活性化させ、若者を定着させるため、町民が力を合わせたまちづくり運動を興していくことが、現在の社会情勢と照らし合わせて緊急の課題である。
そこで、「ふるさと創生事業」の一環として、町民参加のまちづくりを推進するため、昭和六十三年度に各種、各層の町民七十五人を構成委員とする「明浜町振興企画会」を結成。同年国土庁の「地方振興アドバイザー」三人の指導を受けて、「流通部会」「伝統工芸部会」「イベント部会」の三部会を設けて、地域活性化に向けた取り組みを検討した。
このうち「イベント部会」からは明浜町の暮らし良さや豊かさ、人情をアピールできるイベントの創造の提言が行われ、早速「シンボル事業企画会」が設置され、取り組みを始めた。
時期は真夏の海を舞台に、八月の第一土曜日とすることに決定、祭りの内容は、明浜町の特徴を出すために明浜町に伝わる伝説の主人公である「河童」「鯨」「蛸」のうちで、全国的にもネームバリューのある「河童」をキャラクターにして祭りを構成していくことに決定、祭りの名称も「かっぱMATURI」とした。
伝説のあらましを紹介してみよう。
四百年ほど昔、明浜町高山城主の宇都宮修理太夫正綱公は、夜半、城へ帰る途中、前に後にと邪魔をするものがあった。邪魔者はそのうち、正綱公の背中に飛び乗って下りようとしない。そこで、正綱公は背負ったまま、背中の主をぎゅっと締めつけた。主は痛さに泣き出して、「助けたまえ」と許しを請うた。よくよく見ると、なんと河童! 心優しい正綱公の許しを得て、河童はうれしそうに立ち去った。
翌朝、正綱公の門前にピンピンはねている大きな鯛が置かれていた。それから毎朝同じことが続いた。どうやら命を助けてもらったお礼にと、河童が持ってくるようだ。
あるとき、家来がせっかくの鯛を地面に置かず、掛けてもらおうとして、「鹿の角」を門前にしばりつけたところ、それ以来、ぱったりと鯛が置かれることはなくなった。河童は鹿の角が大嫌いだったのである。
それから幾年過ぎただろうか。土佐の長宗我部氏が西宇和郡三間町の岡本城を攻めにきた。正綱公は救援のために出陣したが、激しい戦いを繰り広げた末、支城で家来ともども討ち死にした。すると、その夜から毎晩、河童の悲しげな泣き声が聞こえ、人びとを悲しませたという。
正綱公のみしるしは、高山の「若宮神社」の大松の元に埋められ、やがてここに小さな祠が作られて、正綱公は「大松さま」とか、「若宮さま」と呼ばれるようになった。
時は移って明治時代。若宮神社の祠を建て替えるとき、珍しい河童のこま犬が据えられた。向かって左側の河童は鯛を抱いている。それ以降というもの高山の子供たちが海で泳いでも河童のおかげで、溺れるものはなかったという。
祭りは全町民が参加できるよう、町の主要な団体に共催依頼して、役割を分担し、観客はもちろん参加者全員が楽しめるイベントにしようと意気込んで始まった。祭りを継続していくために、ストーリー性をもたせて、かっぱ誕生〜結婚〜子供誕生と年々物語を展開しようと続けて、来年で十周年を迎えようとしている。
プログラムも初年は「歌謡祭」「地曳き網」「ハマチの一本釣り」「水上スキー」「映画祭」「花火」」「フォトコンテスト」などであったが、年々グレードアップして(それに伴い当然予算も増加)、「かっぱ踊り」「虹のなぎさ焼き」(新鮮魚介を浜辺で炭火で焼いて食べる)、「ビーチバレー」「ヨットレース」等々、手を変え、品を替えいろいろと趣向を変えてやってきた。
その間、問題もあった。観客が増えるにつれて、駐車場不足の問題。「祭りをやるから見にこいと宣伝しておいて、駐車場もないとは何事か」とか「こんなに暑いのにあんなに遠くまで歩かすのか」等々。アイデアの枯渇によるマンネリ化も深刻である。
それでも観客の皆さんが喜んで、楽しんで帰って、来年もまた来ようと思ってもらうように頑張ってやっていきたいと思っている。
いまでは、明浜町の夏の一大イベントとして内外に知れわたって、なくてはならないものとなっている。来年は、河童の国でどのようなエピソードが生まれてくるか。いまから楽しみにしておいてください。
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