地域経済基盤強化のための
取り組みについて

自治大臣官房企画室

 自治省においては、地域経済の振興の観点から特定不況地域対策を主眼として、昭和五十三年度からの特定不況地域振興総合対策に始まって、累次の地域経済対策を展開してきたところである。現在は平成六年度より地域経済基盤強化対策を推進してきているが、同対策が平成八年度限りであるため、今後の地域経済対策のあり方を探ることを主たる目的として、平成八年八月に「地域経済対策調査研究委員会」を設置した。
 このたび、同委員会の中間報告が取りまとめられたため、その骨子を紹介するものである。

中間報告

1 地域経済の現況、依然として苦しい地域の存在

 わが国の景気は、平成五年に底を打って以来、三年にわたり足踏みを繰り返しつつも緩やかな回復を辿っているが、実感なき景気回復ということがいわれている。これは、今回の企業収益の回復過程が、縮小均衡的な収益確保に支えられていることが理由として考えられる。また、いわゆる「日本的経済システム」に支えられた高度成長・経済発展が行き詰まりつつあり、企業は世界規模の競争を勝ち抜くため、積極的な国際展開を進めている。昨年の極端な円高を契機とする企業の海外移転は、円高が修正しても止めどなく続いており、一度海外に流出した生産機能は円安になっても戻らないという履歴現象(ヒステリシス)が発生する可能性もある。
 地方の経済を工場立地の面からみると、地方圏の工場立地件数は、とくに都市部の地価が高騰した昭和六十二年以降大幅に増加し、地方圏への工場移転も大きく増加した。このような工場等の地方分散の動きは、地方圏における就業環境の整備や、地方経済の成長そのものに大きく寄与してきた。
 しかしながら、趨勢的な円高や、それに伴う製品輸入の拡大により、わが国産業の能力増強投資の減退が生じているとともに、従来、地方圏の強味であった立地条件においてコスト競争力を有する東アジア諸国の台頭に伴い、企業が国境を越えた最適立地を求める結果、地方圏における産業の空洞化が急速に進展していると考えられる。実際に、今回の景気後退過程において地方圏の立地件数は大都市圏以上に激減している。
 そればかりではなく、製造業のみならず、鉱業、農業、漁業などにおいても輸入代替・生産機能の流出が起こっているし、国内観光が相対的に伸び悩む一方で、海外旅行者数は、引き続き高い伸び率を保っており、国内観光地の衰退が指摘されている。
 また、厳しい雇用情勢はそのまま地方圏にも当てはまり、失業率は各地域とも一様に上昇を続けており、とくに、これまで比較的低位に止まっていた北陸地域なども上昇傾向にあり、懸念材料となっている。
 一方、都道府県等においては、これまで企業に対する制度融資や技術開発に対する助成措置が講じられたり、研究開発型の企業の立地や企業に対する支援のための産業振興策が講じられてきた。また昨今は、地方公共団体の新産業育成に対する姿勢の積極化がうかがえる。しかしながら、これらの政策を実施し成果を得るためには、そもそもその地域にある程度の経営資源・既存産業の集積や、一定のインフラが存在している必要があるが、現実にはこのような要件を兼ね備えておらず、立派な施設や施策を使いこなせない地域も数多く存在する。また、これらの地域ではいまだに人口の減少が続き、若年層の流出や急激な高齢化、農林水産業の不振など厳しい事態に直面しているのが現実である。こうした地域では、そもそも内発型の産業を育成するだけの基盤を有しておらず、産業振興のためには、旧来同様に外からの工場等の誘致など、外部活力の導入に頼らざるを得ない面がある。

2 地域経済基盤強化対策の継続の必要性、方向

 前章で述べたような状況の下で、活力ある安定的な地域経済基盤を確立し、地域社会の発展を図ることは、地方公共団体にとってますます重要な課題となっている。したがって、引き続き地方公共団体を中心とする経済振興策の推進を支援していくことは必要であり、現行の地域経済基盤強化対策の成果を踏まえつつ、新たな地域経済基盤強化のための対策を図ることが求められる。

3 今後の地域経済基盤強化対策のあり方

 現行対策の課題を勘案し、具体的には以下のような方向性を検討することが必要である。
1 企業、金融機関、商工団体、農協、地域の大学等の研究機関、NPO(民間非営利組織)等地域の各種団体の幅広い参加、役割分担を図り、相互に有機的に連携し、計画遂行の効率を高める。支援対象についても、製造業に偏ることなく、地域に活力を与えるサービス産業など、幅広く支援・育成すべきである。

2 計画過程で中心的な役割を担う地方公共団体は、総務・企画、産業振興部門といった内部相互の調整を図り、「縦割り」の弊害からの脱却を図る。

3 都道府県は、各市町村の施策を地域の実情に合ったものとし、相乗効果を生むように総合調整・コーディネートを図る。

4 国も地方公共団体の各種施策がより効果的に推進されるように、従来からの指導、助言といったサポート機能を一層充実させていく。


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