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風で描くまちづくり 立川町の「風車村構想」 |
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山形県立川町企画開発課 風車村推進係長 |
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阿部金彦 |
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立川町は全国でも有数の強風地帯として知られている。とくに春から秋にかけて吹く東南東の強風「清川ダシ」は、岡山県那岐山麓で吹く「広戸風」、四国山地を越えて吹き下ろす愛媛県伊予三島市付近の「やまじ風」と並び日本三大悪風といわれ、町の主幹産業である農作物に被害を与えたり、大火の原因になったりして、人びとからは恐ろしいもの、厄介なものとして敬遠されてきた。
立川町では、この悪風を逆手にとり、町おこしに利用しようと、昭和五十五年から小型風車による農業(温室ハウス利用など)への利用や、科学技術庁が実施した風力発電実用化の実験事業の受け入れなどに取り組んだ。そして、ふるさと創生事業をきっかけに、町民のアイデアから風をキーワードにした「立川町風車村構想」が生まれたのである。
強風を地球に優しいエネルギーとして活用し、環境問題への小さな行動とPRを図ること。風を多面的にとらえ、風にこだわった地域づくりを図ること。町おこしのために心に風をおこすこと。この三点をコンセプトに総合的に地域づくりを進めている。
風車村のシンボルとして最初に導入したのは、アメリカ製の大型風車(百キロワット×三基)、高さ二十五メートル、羽根三枚の直径が十八メートルの本格的な発電用風車で、風車村の周辺施設で利用するほか、夜間は風車をライトアップし町のシンボルとしている。また、使っても余る場合は電力会社に買い取ってもらうシステムにより、風車を効率よく運転する先進的な方法を採用している。
風をみつめ、風を理解する体験施設としてオープンしたのが「ウインドーム立川」、風車コントロールルーム、風の資料室、多目的アリーナ、軽食喫茶、売店があり、展望塔からは風車村周辺が見渡せるほか、三六〇度のパノラマが広がり、庄内平野や最上川、遠く鳥海山、月山も一望できる。
また、風車で発電された電気で充電した子供バッテリーカー広場や、木製遊具広場、天体観測施設を持つ自然実習館など、楽しみながら風や自然に触れ合うことができるのが風車村の魅力であり、年間四万五千人を超える人が訪れている。
風を利用した地域づくりは、施設整備のみならず、ユニークなイベントの開催などにより、地域の新しい活性化事例として全国に情報発信され、それを陰で支える地域づくりグループの人材育成へと広がりをみせている。
風とぴあ事業は平成六年度から開催され、風をテーマに地域活性化を進めている全国十二の市町村による「第一回全国風サミット」。世界的に活躍している造形作家、新宮晋氏の風で動く作品の野外展覧会「風のサーカス」。風車村周辺をイルミネーションなどでライトアップする「風と光のページェント」、音楽家や劇団など文化的な事業を実施する「風と音のページェント」、風のもつ魅力とその姿を知ってもらうための「風の学校」など多彩に開催されている。
風とぴあ事業は「立川魁塾」「ミズウインディネットワーク」など、若者や女性の地域おこしグループが主体となって開催しており、小さな町からでも全国に情報発信できるのだという自信にもなり、町の活性化にもつながっている。
風の町づくりが順調に進んできた立川町に、また追い風が吹き始めた。風サミットが縁で、風力発電による売電事業を行う民間会社(株式会社山形風力発電研究所)が、平成八年一月からデンマーク製出力四百キロワットの風車二基を設置し、本格的な発電事業を開始、順調な実績を上げている。
町では、これまで取り組んできた町のシンボル、町おこし的発想から前進し、二酸化炭素の削減をはじめとする地球温暖化問題への対応と、風車による地域振興をさらに進めるために、通産省の支援を受けて「立川町新エネルギー導入計画」を策定した。計画の中心となるのが集合形風力発電所(ウインドファーム)で、最上川沿いの田園を中心に二十〜三十基の風車を設置する計画。二〇〇〇年には現在の立川町の年間消費電力量、約二千二百万キロワットに匹敵する発電が可能となる。
立川町が全国に呼び掛け設立準備を進めていた「風力発電推進市町村全国協議会」が七月下旬に結成された。地域おこしだけでなく、温暖化など地球規模の環境問題を新たな念頭におき、欧米に比べ立ち後れている国内の風力発電の開発、普及を促進する狙い。
設立総会には、風サミットに参加している市町村やこれから風力発電に取り組もうとする全国十八市町村が参加、結集を固めた。二酸化炭素排出による地球温暖化対策や、再生可能なエネルギー開発への論議が世界的に高まるなかで、エネルギー消費大国にふさわしい風力発電の振興施策を導入するよう政府に働きかける陳情活動をはじめ、研修や今年十月に愛媛県肱川町で開かれる「第三回全国風サミット」の後援を予定している。
悪風を発想の逆転で利用し、地域に根ざした新しい風土や文化を創造しようという挑戦。立川町総合計画のテーマ「だれもが住んでみたくなるまち」に向け、風が未来を描くまちづくりである。
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