第六回一九九六 スターキャンプグラウンズ
富士山麓に約一万人が参集
星と太陽と大地の休日

ふるさと往来クラブ代表幹事

古川 猛

 スターキャンプグラウンズは三菱自動車工業の特別協賛で七月二十七日から三日間、静岡県富士宮市の朝霧高原パノラマフィールドで開催され、参加希望者四千九百七十七組のうち、抽選で選ばれた九百八十五組、九千四百人の親子が参加した。

日本のシンボル富士山からメッセージ

 この大会は今年で第六回となった。都市と農山漁村の交流を基調に、「自然と対話すると地球のことが見えてくる」を当初から求めてきた。この間、あの町、この村の名物やアウトドアシーンに触れることができた。そして、ついにアウトドアの頂点に立つ「ニッポン一の富士山でスターキャンプを」という夢を実現することができた。
 しかし、「富士山を世界遺産に」といわれており、この超景勝地ではたしてオートキャンプができるのか。クルマ千台、一万人が来場というのはいかにも難問。早速、白熱した議論が事務局で展開された。もちろん、地元の富士宮市や静岡県、そして県内の自然保護団体などにも出向き、アドバイスも受け、議論の素材とした。結局は、世界に誇る日本のシンボル富士山から、環境保全、人と自然との共生を訴えることにし、本年度のテーマを「Good Outing Life もっと毎日が自然生活」に決定した。実行委員会の会長には(財)日本野鳥の会の副会長塚本洋三氏が就任した。 
 同氏からは、「古くから日本人に愛されてきた地で、キャンパーとそこに暮らす人びとや野生生物とのつきあい方を学習してほしい。そうした学習の場をスターキャンプが提供できれば幸い」そのひと言がキメ手となって、たとえば、フィールドウオッチングスクールでは富士山の麓に生息する野鳥、昆虫、植物、鉱物を観察、顕微鏡ではミクロの世界をのぞけるようなメニューを用意。参加者は生命の不思議を体感し、環境保護の必要性を改めて認識した。
 フライフィッシングスクール、ルアーフィッシングスクールでは釣りの技術にとどまらず、水辺でのルール&マナーから、水生昆虫について学べるプログラムづくりにトライ。会場隣の広大なアリーナを利用したパラグライダースクールも富士山の自然の大切さを認識してもらった。受講者が殺到し大好評、「初体験なので不安でしたが、うまく浮きあがりました。空からの朝霧高原の眺めは最高。富士の景観は大切にしなければとつくづく感じた」と、参加したサラリーマンの父子が語ってくれた。
 結果として、これまでの都市と農山漁村の交流とはひと味違ったヨーロッパ型のグリーン・ツーリズムの一端を獲得できた。地元にとっては、景観、環境ビジネスを考える契機になったと確信している。

神秘的な富士の美

 話は相前後するが、初日のオープニングセレモニーでは、富士宮市の伝統芸能「人穴富士浅間太鼓」を披露。大人にまじって子供たちの豪快なバチさばきに感動した。この日のために夏休みを返上して練習に励んだという。つづいて、「宮おどり」では来場者も参加し大勢での盛大な踊りが朝霧高原の夜を盛りあげた。富士宮市出身で「富士山ふるさと展示室」の社会教育指導員を務める渡井正二さんのトークも参加者をクギづけにした。「いまは美しい富士山も昔は“火の神の山”として語り伝えられていた」という話に聞き入り、遠い昔、火をふき上げていたころの富士の神秘的で雄大な姿に思いをめぐらせた。
 神秘的といえば話題の百武裕司氏を招いてのお話も最高だった。あいにく会場は朝霧ならぬ夜霧に包まれ、満点の星空とはいかなかったが、地球の生命、宇宙の生命を語る木内鶴彦氏との“かけあいトーク”には参加者も聞き入っていた。

酪農体験、竹細工体験など地元との交流も

 富士山麓には開拓農家が点在し、集落を形成し、オーストリアのチロルの村のように農業と観光の両立をめざし、新しい交流を模索しているようにみえた。その一助になればと、今年五月にオープンした富士ミルクランドへシャトルバスを運行。地元の酪農家の指導で乳しぼりやチーズづくりを体験した。最初は恐る恐る、乳しぼりを体験していたが、「帰りにもういちど」という子供にスタッフも大感激。
 地域の特産品づくりや地域の活性化に貢献、活躍している「ときめき女性」たちも出展(店)した。朝霧高原の牧場主の女性たちは、それぞれの家庭で昔から受け継がれている手づくりのミルクパンを商品化し、当日は試食販売となった。作り方を実演しながらの販売はマーケティングの実習にもなった。「食べるお茶」「水だし煎茶」など異色の特産品を出展(店)した女性たちもいた。自信作をズラリと並べた「ときめき女性」たちのひとり、インストラクター役の佐々木寿子さんは、「こういった全国から人が集まるイベントで披露するのは初めてなんです。私たちのミルクパンをオイシイっていわれるとウレシイですね。またこんな機会があれば出展(店)したいですね」とコメント。
 例年好評のネイチャーマーケット(ふるさと交流広場)では、富士宮農業協同組合、富士開拓農業共同組合、富士宮市商工会議所だけでなく、山梨県側の富士山周辺の町村で構成する「山梨県峡南広域行政組合」、さらには、このスターキャンプの開催を契機に発足した福島県常葉町・川内村を中心として周辺十一町村の「中通り、浜通り(阿武隈圏域)圏 都市と農山漁村の交流を推進する会」、新潟県央の分水町を中心とした、若手の町おこし、村おこしのリーダーたちによる出展(店)が目を引き、このフェスティバルが全国区になったことを実感させられた。
 地元の各団体は朝霧高原の牛乳、チーズ、バターなどの酪農製品やジャガイモ、タマネギ、ニンジンといった高原野菜、そしてキノコ類などを販売し、参加者のアウトドアクッキングの食材となった。参加者アンケートでも九五・五%がネイチャーマーケットが役に立ったと回答、食材の購入平均額は三千三百円という結果は過去最高で、主催者としてはウレシイかぎりだ。
 富士宮市の隣、芝川町からは「竹細工体験コーナー」を特設、竹細工で町おこしを展開している名人たちが子供たちにナイフの使い方、竹笛のつくり方などを指導。

公式ガイドブックおよび広報紙の発行

 公式ガイドブックでは、会場周辺の自然保護、環境維持を強く訴え、かつ、地元との交流を目的にネイチャーマーケット(ふるさと交流広場)での食材購入を明記した。
 また、実行委員会事務局が編集・発行した広報紙『コロンブス』では、広域による交流を編集方針に富士宮市をはじめ、周辺市町村のアウトドア施設や地域振興施設を徹底ガイドしている。 
 地元で活躍する町おこし、村おこしの達人にもズームインしてみた。さらに、二泊三日のスターキャンプが終了しても地元に滞在してほしいという願いをこめて、七月二十七日から八月六日をスターキャンプウィークとし、「思い出スナップコンテスト」を実施。後援していただいている五省庁からは、アウトドアによる地域の活性化に伴う諸問題、とくに、環境保全、オートキャンパーのルール&マナーについて強くご提言いただき一文を掲載した。
 第七回を迎える来年は、来場者と地元とのいっそうの交流、地元を中心とした広域交流、環境保護、自然と人との共生という趣旨をさらに徹底させていくつもりである。
 スターキャンプ開催のためには最低三十〜五十ヘクタールの用地が必要。遊休地や牧場跡地など。情報は事務局(ふるさと往来クラブ内)までお問い合わせください。

ふるさと往来クラブ
〒101 東京都千代田区神田神保町3-13-8 神三ビル4F
TEL 03-3263-7819 FAX 03-3237-7469

 
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