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特集 新エネルギー
「海水」を利用した環境に優しい地域熱供給
―エネルギー利用効率高く、環境保全性にも優れる

四国電力(株)営業推進本部営業部
都市エネルギーグループ 溝口善則

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 四国電力(株)は、瀬戸の都・高松二十一世紀の城「新玉藻城」づくりを基本コンセプトに、高松港やJR高松駅を中心とするウオーターフロントで、香川県と高松市が開発を進めているサンポート高松地区への地域熱供給を行っている。玉藻城とは旧高松城の別名で全国的にも珍しい海水を使った水城である。このため、サンポート高松地区では「海」を活かすことが街づくりのコンセプトの一つとなっているが、当社では「海水」を利用した地域熱供給システムを採用し新たな街づくりに貢献している。
 供給区域面積は約十四ヘクタールで、平成十三年四月から全日空ホテルクレメント高松、高松港旅客ターミナルビルへ、昨年四月からは四国一の高さを誇る高松シンボルタワーへの熱供給を開始した。

熱供給システムの特徴
 サンポート高松地区地域熱供給のシステムは、エネルギー効率の高い大型ヒートポンプなどと割安な夜間電力が利用できる蓄熱槽を組み合わせた「ヒートポンプ蓄熱システム」を採用している。冷房用に五度の冷水を、暖房用に四九度の温水を作り供給している。さらには、海水を未利用エネルギーとして活用していることが大きな特徴である。大気と比べ、夏は冷たく、冬は温かい海水の特性を温度差エネルギーとして活用し、ヒートポンプなどの運転効率を高めるもので、海水は最も冷暖房を使用する期間に最も効果を発揮する理想的な熱源と言える。
 ヒートポンプなどはすべて電動式で、冷房暖房兼用のヒートポンプ400USRT二台、800USRT一台、冷房専用のターボ冷凍機1800USRT一台を設置している。
 蓄熱槽は床下に設けた冷水専用の平型蓄熱槽千三百立方メートル、壁面に設けた冷水と温水を切りかえて使用する縦型蓄熱槽千八百立方メートルの計三千百立方メートルの容量がある。

海水の利用
 海水は、すべてのヒートポンプやターボ冷凍機の熱源水として利用する。海水を熱源とした地域熱供給事業は福岡市の「シーサイドももち地区」、大阪市の「コスモスクエア地区」に続いて全国で三例目、海水のみを熱源とする事業としては初めてとなる。
 高松市は元来、年間降水量が少ない地域であるが、特に今夏は高松市を含め多くの地域で渇水に見舞われている。しかし、サンポート高松地区地域熱供給は、一般的な空調で利用される水の蒸発時の吸熱を利用するクーリングタワーを使わない節水型プラントであるため、熱供給に心配はない。
 海水を利用するための特徴的な設備としては以下のものがある。
▽海水配管
 高松港五千トンバースの付け根、水深約八mから海水を取水し、熱供給プラント内で熱交換後、再び高松港へ放水するため長さ約四百メートルの配管を直埋設している。腐食に強い高密度ポリエチレン材を採用し、ヒートポンプが増設されても充分な量の海水が取水できるよう、内径は九百ミリとしている。
▽海水取水ポンプ
 景観のため取水口側に海水取水ポンプを設けることができないため、熱供給プラント内に設置した。海水で腐食しないようステンレス材の渦巻きポンプを採用、現在は定格七百四十立方メートル/時を四台設置している。回転数のインバータ制御を行い、ヒートポンプの負荷に応じた海水量を取水している。
▽海水オートストレーナ
 取水口前面には五センチ角のネットを張って大きなゴミやクラゲの進入を防止しているが、ネットでは防止できない小さなゴミや海草を海水取水ポンプや海水熱交換器に流入させないため、自動逆洗機能付きのストレーナ(ゴミ取り装置)を設置した。ビニール袋はひも状になって取水口前面のネットを通過するらしく、ストレーナに絡みつき逆洗では除去できないため、定期的に海水を抜き点検口より手作業で取り除いている。
▽海水熱交換器
 ヒートポンプへ海水を直接入れないために、海水とヒートポンプ冷却水との熱交換を行う海水熱交換器を設置した。多数の薄い金属のプレートを重ね、海水が流れる部分とヒートポンプ冷却水が流れる部分を交互につくり、熱交換を行うプレート型を採用し、プレートは腐食に強いチタン製とした。
▽真空ポンプ
 海水取水ポンプまでの配管の一部が干潮時の水位より高くなるので、安定したサイフォン効果を確保する目的で海水取水管内にたまる気体を除去する真空ポンプを設置した。

CO60%削減 
 平成十六年度における地域熱供給の導入効果(各建物が個別に冷暖房を行う場合との比較)は、当社試算では約四○%の省エネ(原油換算で年間一千キロリットル)、約六○%のCO削減、年間約三万トンの節水を見込んでいる。
 サンポート高松地区における「海」を活かした街づくりの一環で、高松港旅客ターミナルビルのカナル(水路)やJR高松駅前広場の海水池に、当プラントより熱交換をする前の海水を供給している。海水池の水位は高松港の水位と連動されており、干潮時には砂浜が現れる。また、クロダイやフグが泳いでいる姿を見ることができる。

おわりに
 現在、サンポート高松地区では、高松市内に分散している国の出先機関を集約する目的で、高松シンボルタワー西側に国の合同庁舎A棟が平成十八年秋の完成に向け建設中であり、この建物にも熱供給を予定している。
 今後、当社としては安定供給とシステムの効率的な運用に努めるとともに、建物建設計画に合わせて順次設備増強工事を行っていくこととしている。
 地域熱供給は、エネルギー利用効率が高く、環境保全性にも優れることから、当社では引き続き地域熱供給を通じて地域社会に貢献したいと考えている。

平成17年9月 特集 新エネルギー
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