| 特集 地域通貨 住民有志と行政が協働して エコマネーを導入 −ゴミ減量化など環境保全と高齢者サービスを推進 |
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特定非営利活動法人くりやまコミュニティネットワーク |
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「地域通貨クリン」の取り組みは、一九九九年の夏に始まった。きっかけは「エコマネー」を提唱していた加藤敏春氏の講演を東京在住の栗山町出身者の会である、「東京栗山会」会長が聞いたことがきっかけとなった。「東京栗山会」会長と川口栗山町長が同級生であったことで、町長が職員に早速取り組むよう指示し、その指示を受けたのが私の友人(高校・大学の同級生)であった。 昔からあった習慣「手間換え」 町長の指示を受けた友人は、加藤氏に栗山町でのエコマネー講演会を依頼し、開催する運びとなった。加藤氏の講演会に出席していた高齢者が、講演終了後に「加藤さんの話は『手間換え』の話だ」と言ったことを受け、講演会参加者の理解は大いに深まった。「手間換え」とは、農作業などで互いに助け合う労働交換の仕組みであり、北海道では昔からあった習慣だった。 また、栗山町は「まちという名の家族」を合言葉に、子供から高齢者まで安心して暮らせるまちづくりに積極的に取り組んできたベースがあった。町立の介護福祉学校をはじめとして、商店街は歩道をバリアフリー化するなど、栗山町は町挙げて福祉の町を目指していたことが、エコマネーに取り組む大きな要素になったといえる。 講演会後の同年九月末、行政職員四人と民間有志二十人が一緒になり、「くりやまエコマネー研究会」がスタートし、地域通貨導入の話し合いが始まった。当初は、エコマネーを実践している地域も少なく、とにかく実験をすることで何かが分かるのではないか、という思いで実験準備に取り掛かり、通貨の名前を栗山の「クリ」と「クリーン」を合わせて「クリン」とした。 参加者説明会用のビデオを作成し、通貨を印刷、サービスメニューを作った。初めてのことばかりだったが、私たち自身が試験流通の準備を通して、エコマネーをつくり上げたのだと思う。 三年半に延べ二十三ヵ月の試験流通 二〇〇〇年二、三月の二ヵ月間に第一次試験流通を開始。その後同年九月から十一月の三ヵ月にわたる第二次試験流通を経て、二〇〇一年九月から二〇〇二年三月までの第三次試験流通(最終実験)を行ってきた。この三年六ヵ月の中で、延べ二十三ヵ月の試験流通を実施することは大変だったが、得たものは膨大な財産となっている。 第一次試験流通の課題は、直接サービスの依頼を電話でするということが問題となった。参加者は、栗山町に住んでいる人とはいえ、初めて会う人にサービスを直接依頼するのは、とてもしにくいことだった。試験流通に参加した人は、何かをしてあげたい人ばかりであり、サービスを依頼する人がいなかったことで循環できなかった。 また、クリンを20、000クリン配ったことは、二ヵ月の期間に二十回のサービスを受けることができることをしてしまったことに後で気付く結果となった。期間中、参加者同士のコミュニケーションを促進するため、「エコマネーフェスティバル」を開催し、顔見知りになる機会をつくることも行った。 常時循環する仕組みが課題 同じ年の秋に行われた第二次試験流通は、第一次試験流通の反省材料を踏まえ行われた。研究会の体制を三委員会から「いきいき推進部会」「さわやか環境部会」「ふれあい地域部会」「きらきら子ども部会」「ささえあい福祉部会」の五部会に変更し、各部会がテーマごとに検討して、常に循環する仕組みの検討に入った。この中でも、地域部会のコーディネーターの検討と、環境部会のエコポイント導入が大きな成果だった。 コーディネーターは一次の試験流通の課題解決であり、直接サービスの依頼をせず、コーディネーターに依頼し、サービスの提供者を探す仕組みであり、第三次の試験流通につながる試みであった。 エコポイントは、買い物時にレジ袋を使わないと一ポイントを協賛店から参加者がもらい、一〇ポイント貯めると1、000クリンと交換できる仕組みであり、地元スーパーや量販店七店が積極的に協力してくれた。 参加者増でメニュー表作成に苦労 さらにこの試みは副産物をもたらした。それは高齢者にとって、クリンを得るのは難しい状況にあった。なぜなら、高齢者はサービス登録の項目が少なく、提供するサービス、チャンスが少ない。しかし半面、使用する機会が多いので、クリンの消費(支払い)につながり、循環の改善に寄与したのである。 もう一つの課題はメニュー表の作成にあった。第一次の参加者は二百五十六人、第二次参加者は五百五十三人。参加者が倍になったことで、メニュー表の作成に多くの時間を費やす結果となった。もちろん、検索の仕方、できることだけではなくしてもらいたいことを載せたり、住所別に調べたり、個人別に調べることができるようにした。このため、結果的に第二次のメニュー表は六百六十三ページにもわたる内容になってしまった。 エコマネー支援ソフト導入でサービスを効率化 これらのことを踏まえ、第三次試験流通ではさらなる工夫を試みた。メニュー表作成にかかる膨大な労力と紙の消費を避けるため、いつでも参加でき、メニューの登録・削除が自由にできるエコマネー支援ソフトを導入して、パソコンの使える人は直接アクセスし、パソコンの使えない人にはセンターコーディネーターを配置した。 これにより、直接電話しにくいといったことも解消され、サービスのマッチングがより精度の高いものとなった。また、サービス交換の記録も一切いらなくなり、より参加しやすい仕組みとなった。エコポイントも進化し、商店街などの五十八店舗が新たに参加し、レジ袋が不要な時にポイントがもらえるのと同時に、エコマーク商品の購入の際にももらえるようにした。また、協賛店は一ポイントにつき二円を運営団体に寄付してくれることになり、環境活動の取り組みに充てることとした。 本年四月に、特定非営利活動法人くりやまコミュニティネットワークとしての活動を開始したが、もちろん地域通貨クリンの活動も継続している。NPOとしてはまだまだ、ヨチヨチ歩きであることは言うまでもなく、運営に関して苦慮しているのが実体である。しかしながら、クリンの活動を継続させるためにも、ニーズを把握し、アイデアを出し合い、形に換え、事業化して運営できるような、新たな仲間づくりから始めたいと考えている。 地域を変えていきたいという強い意志と、それをサポートする行政が、本来の意味での協働の関係を築き上げていかなければ、地域通貨の成功はあり得ないと考えている。協働を模索することこそが、今後の大きな課題であるのかもしれない。 |
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