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地球温暖化と自治体
パーク&ライドなどTDMで交通渋滞緩和
−市民が参画し納得できる計画づくり |
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神奈川県鎌倉市
鎌倉市都市整備部交通政策課 交通計画担当 服部基己
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都心から電車で約一時間。古の都の雰囲気を醸し出す鎌倉駅周辺の地域(以下「鎌倉地域」という)には、毎年千五百万人前後の観光客が訪れる。
このうちマイカーを利用する観光客は、全体の二割程度となっているが、鎌倉幕府開府から八百余年が経過した今なお当時の道路網を使っているこの地域では、土曜・休日ともなると幹線道路は渋滞し、この混雑を避けようとする自動車が細街路に入り込むなど、地域住民の生活環境や観光客の歩行環境に多大な影響を与えている。
こうした状況の中、歴史的遺産を数多く有する鎌倉地域においては、交通混雑の抜本的な解決策である道路整備を長期的展望のもとに進めていかなければならない。
そこで市は、長期計画の道路整備と並行し、短期的な解決策として、TDM(Transportaion Demand Management =交通需要管理)施策の導入に関する取り組みを進めており、その先駆けとして、平成十三年秋から「七里ガ浜パーク&レールライド」「由比ガ浜パーク&ライド」「鎌倉フリー環境手形」という三つの施策を実施している。
来訪者の九割以上が再利用と回答
パーク&ライドとは、混雑する地域の外縁部にある駐車場にマイカーを停め(パーク)、公共交通に乗り換えて(ライド)混雑する地域の中心部へ移動してもらい、交通量を抑制しようとするシステムである。
市では、鎌倉地域の西方約四キロメートルにある七里ガ浜の民間駐車場を活用し、徒歩約二分の江ノ電七里ヶ浜駅から電車に乗り換える「七里ガ浜パーク&レールライド」と、鎌倉地域の南の玄関口に位置する県営由比ガ浜駐車場を活用し、そこからシャトルバスに乗り換える「由比ガ浜パーク&ライド」を実施し、駐車料金と公共交通の一日乗降フリー切符とを廉価にパッケージ販売することで利用促進を図っている。
パーク&ライドとは対照的に、出発地から公共交通を利用してもらうための施策が、「鎌倉フリー環境手形」という切符の販売である。この切符は、鎌倉地域内に点在する観光ポイントへ廉価に、かつ円滑に移動できるよう、鎌倉駅を起点とする地域内の主な路線バスと電車を一日自由に乗り継ぐことができる。
加えて、これらのシステムには、この取り組みに賛同する寺社、美術館、商店などの協力を得て、拝観料・入館料・飲食代の割引などさまざまなサービスも付加されている。
今年一月から三月にかけて行った利用者アンケート調査では、全ての施策において、九割以上の方が「再来訪時には、また利用する」と回答しており、今後、施策の内容をより広くPRすることで、利用者の増加が期待できるものと考えている。
市民参画の研究会が推進力に
これらの施策が実現した背景には、平成七年に発足した、市民参画による「鎌倉地域交通計画研究会」(以下「研究会」という)の存在が、大きな推進力になった。
この研究会は、市の呼び掛けによって集まった自治町内会、商工会の代表者、公募市民、事業者、関係行政機関、学識経験者などで構成され、鎌倉地域の交通環境改善に向けた地区交通計画を策定する目的で、市が設置したものである。
研究会では、発足当初から活発な議論が行われ、約十カ月間にわたって十五回の会議を開催し、平成八年、パーク&ライドなどのTDMを中心とした「二十の施策」からなる「鎌倉地域の地区交通計画に関する提言」を市に提出し、市は、この提言に沿って施策導入に向けた取り組みを進めることにした。
なお、研究会の活動は、提言を提出したことで一つの区切りを迎えたが、市民が中心となって地区交通計画を推し進めることが望ましいという市の判断から、研究会委員の了承を得て、その活動が継続されることとなり、施策の実現に向けた取り組み方針や後述する社会実験実施に関する計画の策定にかかわるなど、多岐にわたって積極的な市政への参加が行われた。その後、平成十三年「鎌倉地域の地区交通計画に関する提言・その2」をまとめ、二十の施策の今後の方向性を示すことで、六年間の活動を終えることになった。
状況に応じ社会実験を実施
三つの施策が実現したもう一つの大きな理由として、社会実験の実施が挙げられる。社会実験とは、その地域に影響を与える可能性が高い新しい施策の導入に先立ち、実際の地域において、場所と期間を限定し、施策を試行(実験)することである。これにより、施策の効果や課題を検証するとともに、施策を改善しながら実現に向けた取り組みを進めることが可能となる。
本市の場合、平成八年、十年、十一年と三度にわたって社会実験を行い、@自動車から公共交通への転換の可能性の検証A自動車から公共交通へ転換する施策の基礎データの収集B利用者ニーズに応じたシステム内容の確立と、その時々に応じて目的をステップアップさせ、最終的なシステム形態を作り上げた。
TMAの立ち上げも検討
現在実施されている三つの施策は、いずれも実施主体は事業者であり、市の主な役割としては、@広範囲にわたる施策のPR活動A利用者ニーズ把握のための調査及び評価B施策の運用にかかる関係機関との調整などとなっている。
一般的に、行政が関与して施策を継続する場合、補助金などによってランニングコストを負担することもあるが、恒久的に施策を継続しようとした場合、行政負担に頼らない施策を展開していくことが望ましいと考えられる。
将来的には、事業者、市民、商業者などが中心となり、さまざまな視点に立って施策をコーディネートするTMA(Transportation
Management Association =交通管理組合)の立ち上げも検討していく必要がある。
現在市では、前研究会に代わる組織として「鎌倉市交通政策研究会」を平成十四年十一月に発足させ、鎌倉地域における地区交通計画のみならず、国のオムニバスタウン構想に基づく「鎌倉市オムニバスタウン計画」の中期計画の策定や、全市的な交通体系のあり方を示す「鎌倉市交通マスタープラン」の改定などについても議論を重ねている。
地域の交通環境を改善するために自動車交通量を減らそうとした場合、自動車利用者には少なからず不利益が生じることとなる。このことを理解してもらうためには、まず、自動車利用者でもある市民が納得できる計画を策定する必要があり、そのためには計画策定段階から、市民の積極的な参加を促すことが最も重要である。
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平成15年7月 特集 地球温暖化と自治体
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