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岡山県建部町
方言を軸にした行事・活動を展開
生活の中にお国言葉を生かす |
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建部町文化センター副館長
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矢内和子
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建部町は、岡山県のほぼ中央に位置し、JR津山線・国道五三号・国道四八四号などの交通にも恵まれ、県内各地からのアプローチは抜群である。また町の中心部を一級河川「旭川」が南下しており、「釣と桜と温泉の町」をキャッチフレーズにした、人口七千人余りの自然豊かな町である。「建部」の地名は、古代日本武尊の御名代の地「たけるべ」によると伝えられ、備前と美作の国境を流れる旭川を上り下りする高瀬舟の川港として、また岡山と津山を結ぶ津山往来の宿場町としても栄えた町である。
「岡山弁の町・建部」を宣言
建部町では、長い間の懸案であった文化センターが平成十一年開館し、新しい文化の収集・発信の場を受け持つことになった。センターの運営に当たっては、広く町民・有識者の意見を聞き、また、町民による事業運営委員会、ホールボランティア「焔」、「センター友の会」などの協力を仰いでいる。
その中の有識者の会で、センターの方向付けなどを協議している際、岡山弁研究で著名な青山融氏から「今、お国言葉が次第に失われつつあるが、お国言葉を大切にし、守っていくことが必要ではないか。建部町文化センターの活動の中に、岡山弁を軸にした行事・活動を取り入れてはどうか」との提案があり、町長以下、参加者全員の賛同を得たのである。
幸い町民の中にも、岡山弁研究家や岡山弁の語り部もいて、この人たちを中心に実行委員会が結成され、第一回「岡山弁はええもんじゃ」大会が、十二年に開催された。さらに、十二月の町議会では、岡山弁による質問戦などで「岡山弁の町・建部」が話題に上り、趣旨が承認された。
これを受け十三年一月一日、町民による二〇〇〇年を祝うミレニアムイベントの会場で、町長が「岡山弁の町・建部」を町内外に宣言したのである。
| | <宣言文>
建部町は、古くは備前と美作との国境で、人や物が行き交う宿場町として栄え、歴史と共に親しみある方言が伝えられてきました。しかしながら、社会の変遷と共に、身近な方言が失われつつあります。方言は、人と人との結びつきを深め、それぞれの地域文化を認め合うものとして、改めてその大切さが問いかけられております。今、私達は広く岡山の方言を掘りおこし、継承していかなければなりません。
ここに、方言を通して人々の交流とふれあいを深め、そして我が町の発展を願い「岡山弁の町・建部」を宣言します。
平成13年1月1日 岡山県御津郡建部町 |
方言を生活の中に生かす
文字のまだ普及していない古代から、その地方地方の言葉は、その地域の人びとの生活を支え、文化を伝える重要な手段であった。それは現代においても同じことである。たとえば、共通語といわれる言葉(さすがに最近では標準語という言い方は少なくなった)は、公的な文書やあいさつの中では使われるが、身近な会話・世間話・喜び・悲しみなど本当の心を伝える言葉としては、その地方地方の方言のほうが数段勝っている。
国の時代から地方の時代、物の時代から文化の時代と言われている現在、方言を見直し、大切にし、生活の中に生かし活用していこう、それが地域の活性化にもつながるのではないか。岡山県の中心部に位置する建部町から始めようというのである。
幅広い年齢層が参加
前出の有識者会議で方向付けられた第一回「岡山弁はええもんじゃ」大会の成功が、「岡山弁の町・建部」宣言となり、第二回・第三回の「岡山弁はええもんじゃ」大会と発展していったのであるが、宣言の趣旨を生かすための取り組みの方針として、次のようなことが挙げられる。
・岡山弁(方言)の情報を集め、資料としても残せるようにする。
・岡山弁を学ぶ。前述の青山氏が講師。
・老若男女を問わず参加でき、意見の発表・交換ができるようにする。
・町の内外を問わず、広い地域の人びとの参加を求め、岡山弁への理解を深めてもらう。
・町の行事、町内の団体などにも岡山弁の使用に協力を求める。
これらについて若干具体例を挙げて説明してみよう。
・岡山弁の情報集めについては、全国から九百二十四通の応募があり、その一部は大会の記念品の手ぬぐいに印刷して参加者などに配布した。
・岡山弁を学ぶ方法として、「岡山弁はええもんじゃ」大会当日、岡山弁講座を開き、青山氏の適切な指導により効果を上げている。
・年齢層の参加については、実行委員会、町広報紙での呼び掛けなどで公募し、岡山弁劇「診療所物語」「水戸黄門」「ヘーテク島(ハイテク島)の桃太郎」への老若男女による参加熱演。地元建部中学校生徒による岡山弁、共通語の対比パフォーマンスなど幅広い年齢層の参加が実現している。
・広域的な参加としては、岡山市の山陽学園短期大学学生による岡山弁影絵劇、玉野警察署所属の交通指導員二人(女性姉妹)による抱腹絶倒の交通安全指導寸劇。その他笠岡市、阿波村、加茂川町御北中学校生徒などの参加を得た。
・そのほか大会当日、岡山弁のクイズを解きながら町内を歩くウォークラリー、センター会場での岡山弁を当てるクイズなども行っている。
・町、商工会の看板にも「おいでんせえー(いらっしゃいませ)」、「お食べんせえ(おあがりください)」、町民有志による「犬の糞を取ってけえられーよう」「また、来てちょうでえよ」といった幟(のぼり)や看板なども見られるようになった。
・出演者を除く、毎回のイベントへの参加者は四百人前後で、町内外遠くは茨城県からも参加があり、関係者一同感激している。また、成人式、町の式典などのあいさつの一部に「うちらことば」(仲間言葉、岡山弁)を入れて、和やかな雰囲気がつくられたり、岡山弁の書道展なども試みられた。
NHKが桃太郎寸劇を放送
方言(お国言葉)に取り組んでいる自治体は全国各地にあるのではないかと思う。建部町はまだ始めて三年そこそこである。その三年の実績が認められたのか、NHKが十五年二月に県内対象ではあるが、FM放送で桃太郎をテーマにした岡山弁での寸劇を取り上げることになった。
こうした活動は「継続は力」という言葉があるように、地道に続けるほかにない。また、こうした行事に老若男女が参加して、お互いの情熱・気持ちを交換し、高め上げていくことが大切である。
方言を見直し、生活に生かした地域づくりは、建部町だけではなく、全県の、全国規模の問題でもある。そうした意味で全国での活動の情報交換が必要であり、交流を強く望みたい。
