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新潟県十日町市
全国に先駆けて克雪都市宣言
雪まつり、冬の日本海最大のイベントに

十日町市克雪利雪対策室長補佐

山田真一

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 十日町市は、新潟県の南部に位置し、雄大な信濃川の河岸段丘と、四季折々の豊かな自然に恵まれた中魚沼地域の中心都市として、織物と農業を基幹産業に発展してきた。
 十日町市を囲む中魚沼地方は、昔は「妻有(つまり)」と呼ばれ、麻織物(越後縮)の栄えたところである。雪の中で半年を過ごさなければならなかった人びとの知恵と忍耐が、この織物を生み出し、この技術(わざ)と伝統が今日の十日町織物に受け継がれている。また、農業も盛んで、この地で収穫されるコシヒカリは魚沼産コシヒカリと呼ばれ、おいしい米として絶大な人気を誇っている。
 交通網は、信濃川に沿って南北にJR飯山線と国道一一七号、東西に二五二号、二五三号が走り、平成九年には、JR上越新幹線越後湯沢駅から十日町市を経由し、日本海側のJR信越本線、北陸本線を最短距離で結ぶ「ほくほく線」が開通している。

市民を震撼させた56豪雪

 大正七年に積雪観測を開始して以来、過去四番目、戦後では初めての大雪を記録した56異常豪雪は、市民生活に多大な影響を及ぼした。雪また雪の毎日は、最高積雪深が市街地で三メートル七十七センチ、山間地では五メートル十センチにも達し、除雪をしても瞬く間に、雪の山が築かれる状態であった。
 市民はただ黙々とスコップやスノーダンプを手に、雪を取り除く作業に追われる毎日で、肉体的にも精神的にも疲労の限界に達するほどの記録的な大雪を体験した。
 この56異常豪雪の貴重な経験を生かそうと、昭和五十六年九月、十日町市は全国に先駆けて「克雪都市宣言」を行った。
「克雪はふるさとを愛することからはじまる」を合言葉に、明るく住みよい雪にうち克(か)つ都市づくりへ向けて、市民と市の決意を表したものである。長い間、雪に悩まされてきた十日町市は、この宣言をバネに、闘雪から克雪、利雪、親雪へとチャレンジをはじめ、流雪溝網の整備、克雪住宅融資制度の創設、地下水利用適正化に関する条例制定など、克雪を市の重要課題として取り組むことになった。
 同年十月には全国でも初めての「全国雪シンポジウム」「克雪利雪技術全国博覧会」を開催し、雪に取り組んでいる全国の自治体をはじめ、研究機関や民間業者などが多数集まり、克雪対策について意見を交換した。同十二月には「克雪フェア」を開催し、克雪に対する市民の意識づくりを進めた。

雪処理に関する条例

 克雪都市宣言と併せ、市と市民が互いに協力し、市民ぐるみで効率的な雪処理を行い、住みよい雪国を築くことを目的とした「雪処理に関する条例」(全九条)を制定した。以下はその概要である。
 町内会など地域の自治組織を通じ、お互いに協力し合い、自主的な除雪対策を実施することや、冬期間の安全かつ円滑な道路確保を図るため、市民は(1)除雪道路にはみだりに雪を捨てないこと、またやむを得ず雪を出す場合は、道路脇に積み上げるなど適切な措置をとる(2)車両を運転する場合、水のはね上げ防止など歩行者の支障にならないよう十分注意する(3)通勤などの自家用車使用に対しては、自粛に努める(四条)。河川、流雪溝、用水路などに排雪する場合、水上がりなどの事故を引き起こさないよう十分注意する(五条)。住宅、車庫、へい、その他これらに類するものを建築しようとする場合は、道路除雪の障害とならないよう雪に対して十分配慮するとともに、その屋根雪などの処理についても、第三者の障害とならないよう十分配慮する(六条)。資源の有効利用については、地下水などの資源は有効であることを認識し、常に無駄を省き、有効利用に努めなければならないこと(七条)など、市と市民との協力のもとに雪処理が効率的に実施され、克雪対策が推進されることを条例で明記した。

克雪タウン計画

 当市は、道路除雪はもとより屋根雪処理に対しても比較的早くから取り組んできた。
 昭和五十八年には、全国初の市単独事業による融雪および耐雪住宅に対する低利融資制度を発足させ、六十年には集団的な克雪住宅化を目的とする「克雪住宅モデル地区」を選定し、個人住宅への補助金制度の導入など、新しい克雪都市づくりの施策を充実させた。
 また、市役所の車庫を利用し九種類の「屋根融雪実験システム」を設置し、融雪状況・燃料消費量などのデータを収集、屋根融雪に関する情報提供を実施した(屋根融雪実験システムは平成十一年度で終了)。その後、平成四年に新設された旧建設省の「克雪住宅共同整備事業」(現克雪住宅集団的整備事業)にいち早く取り組み、また五年に開始された新潟県の「克雪住宅普及促進事業」(現克雪住宅協調整備事業)についても積極的に導入を図ってきた。十三年度末現在の克雪住宅戸数(融雪住宅、耐雪住宅、落雪住宅合わせて)は、三千五百戸(克雪化率二七%)となっている。
 また、十二年三月には、市民の代表と学識経験者および庁内の各分野の担当者からなる住宅マスタープラン策定委員会を組織した。十日町市の特性に応じた住宅政策を即地的、計画的、総合的に推進するための基本計画を策定し、住宅や街並みの将来ビジョンの実現に向かい、雪国住宅の推進を行っている。

新エネルギービジョン

 当市の特徴を活かした独創的で、利雪・親雪に対する取り組みの代表とされるものが、十日町雪まつりである。雪国の冬の生活は雪に埋もれた暗い生活から、雪を敵視せず、雪に親しむことを話し合い、昭和二十五年二月に住民総参加によるささやかなレクリエーションとして始められた雪まつりが、今日の「十日町雪まつり」に発展した。今回で五十四回目を迎える雪まつりは二月十四日から十六日まで開かれる。伝統産業である織物と地域の特徴である雪を結びつけたイベントとして、日本海側を代表する冬の大イベントに成長し、毎年、全国から大勢の観光客が訪れる。
 このほか雪を活用した事業は、冬期間の雪を保存して夏季のイベントなどへの利用、雪の冷熱を利用した冷房や冷蔵施設など、民間や産業分野での取り組みが始まっている。
 市では本年度、地域の特性を踏まえた地域新エネルギービジョンを策定する。当地域の特徴である雪を地域の資源として活用が図られるよう、事業化調査を進めるとともに、産官学民との連携を強化し、雪を活用したまちづくりを推進していきたいと考えている。


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