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神奈川県逗子市
青い海とみどり豊かな平和都市を
市民主体でまちづくり条例つくる

逗子市都市計画課主任

広田雄一

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 逗子市は、神奈川県の南東部、鎌倉市と葉山町の間、三浦半島の付け根に位置し、西は相模湾に臨み、残りの三方は山で囲まれた自然環境豊かな都市である。東京に比べ温暖な気候に加え、風光明媚(び)な土地とあって、明治初期に保養・避暑地として別荘が建ち始め、昭和四十年代からは首都圏の住宅供給都市として急速に発展してきたが、近年は人口五万八千人前後とほぼ横ばいで、六十五歳以上の人口が二〇%を超えるまちとなっている。

都市宣言

 本市では、昭和四十九年に市制二十周年を迎えたのを機に、議員発議により都市宣言を制定した。

 <青い海とみどり豊かな平和都市>
「私たち逗子市民は、青い海とみどり豊かな自然を愛し、輝く太陽のもと明るい平和なまちづくりにまい進することを宣言します。」

 本市は首都近郊の住宅都市として、自然環境に恵まれた静かなまちだが、軍港をもつ隣接の横須賀市とともに米軍基地を有するまちでもある。この都市宣言には、豊かな自然環境と調和し、基地のない平和なまちを求める市民の願いが込められている。
 米軍接収地の全面返還は、長年の努力にもかかわらず残念ながら実現していない。昭和五十七年に持ち上がった米軍家族住宅建設問題は、十年以上にもわたり、条件付き受け入れ派と反対派で市を二分する問題となった。結局、平成六年に本市要望への対応も含む国・県・市の合意が行われ、米軍家族住宅は完成した。
 今後も基地のないまちを目指して、粘り強い運動を行っていくが、接収地には現在、米軍家族約三千三百人が暮らしており、過去の経緯はともかくとして、市民と米軍家族がよき隣人として暮らせるよう、スポーツなどを通じて、親善交流を進めている。

良好な住環境の保全

 みどり豊かな住宅都市である逗子において、良好な住環境の保全は重要な課題となっており、とくに近年において市内各所で進行する開発やマンションの建設などに関しては、良い住環境の保全を求める市民と、開発事業者との間で紛争が絶えず生じている。
 本市では、建築物の高さ制限を含んだ「逗子市開発指導要綱」(以下、「指導要綱」という)による開発指導を昭和四十五年から行ってきた。さらに、平成四年には、「逗子市の良好な都市環境をつくる条例」を制定した。
 これは、環境影響評価などの手続きを定め、自然環境の保全について適正な配慮がなされることを開発事業者に求めるものである。
 市は、八年に指導要綱の高さ制限の緩和を行った。これは規制緩和の流れの中で、国からの指導要綱の行き過ぎ是正指導への対応によるものであった。
 ところが、これを契機に海岸沿いの閑静な住宅街を中心に、開発やマンション建築が多数行われるようになった。その結果、住環境の悪化に反対する議会陳情が市民から多数提出され、議会はこれらの陳情のほとんどを了承した。
 これらの結果を踏まえ、市は十一年、海岸沿いの地域について、指導要綱の高さ制限を以前の基準に戻すこととした。
 指導要綱の見直しは行われたが、要綱によるまちづくりは、法的規範力のない行政指導である。また、行政手続きの透明性や公平性の確保が要請されるとともに、地方の自立が一層求められていた。
 そこで、より良いまちづくりの仕組みや手続きなどを定めたまちづくりに関する総合的な条例の制定を、市民主体で目指すことになった。
 十二年六月に設置された「逗子市まちづくり条例市民検討協議会」は、市民委員十二人、学識経験者三人という市民主体の構成で、条例の骨子・骨格の検討を白紙の状態から開始した。協議会主体の四回の市民説明会などを経て、市民による条例づくりの機運は盛り上がっていった。
 十三年十月には、条例素案の報告書が協議会から市長に提出された。市長はこれを尊重し、市議会に条例案を提案した。市民の運動もあり、条例は制定され、平成十四年七月から施行された。


条例の特徴

 同条例の第一の特徴は、「まちづくり基本計画」を策定し、計画的なまちづくりを推進することを規定したことである。市は市民の積極的な参加と参画のもと十分な意見反映措置を講じながら「まちづくり基本計画」を策定することとし、計画の位置付けと実効性を高めるため、最終的に議会の議決を経ることとした。
 第二の特徴は、市民の主体的なまちづくりへの取り組みを市が支援し、市民と市が連携して、まちづくりを進めるため、条例版の地区計画といえる「地区まちづくり計画」と、「まちづくり基本計画」の内容を補完・発展させる「テーマ型まちづくり計画」の仕組みを設けたことである。
 第三は、これまでの開発指導要綱の内容を条例化したことである。事業者が条例に定められた手続きを行うことなく開発事業を行った場合には、命令や罰則の対象となる。
 また、開発事業に伴う紛争に対応した公聴会を開催し、開発事業に対する賛否の意見を市長および議会が公表する仕組みをつくった。これは、その開発事業に対する市としての姿勢を明確に示すとともに、市の総意に基づいた指導を行うためである。

基本計画策定へ

「まちづくり基本計画」の策定へ向けて、市民参加・参画、意見反映の方法や市民と行政の役割分担などの検討のため、十四年八月「準備研究会」を設置した。来年度からは基本計画の策定作業に入ることになった。幅広い市民の参加・参画により、市民によるまちづくり計画ができると確信している。
「地区まちづくり計画」については、その活動の中心となる「地区まちづくり協議会」への人的、財政的支援の仕組みがあるので、地区の住民にPRを図っていきたい。制度の積極的活用によるすぐれたまちづくりが期待される。
 開発事業の手続きに関しては、住民の反対運動により、既に公聴会が開催された案件もある。環境保全と財産権の問題で厳しい判断を求められるケースが多いが、市民の願いである、本市の都市宣言「青い海、みどり豊かな平和都市」の理念を踏まえ、環境と調和したまちづくりを進めていきたいと考えている。


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