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都市と農山漁村の共生・対流について |
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総務省自治行政局自治政策課
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都市と農山漁村とがそれぞれの特性を生かし、お互いの魅力を享受できるような共生・対流の関係を構築し、人・もの・情報が双方向で行き交うライフスタイルを実現することが、地域活性化の新たなアプローチとして注目されている。以下、その背景や各地の具体的な取り組みを紹介したい。
1.基本的な考え方
現在、全国各地において、生徒を対象とした自然体験学習や、一般向けの農林漁業体験、グリーン・ツーリズム、エコ・ツアーなどが実施され、また、「道の駅」などの交流施設を利用した地場産品の直売が行われるなど、さまざまな形で都市と農山漁村の交流活動が展開されている。
農山漁村の持つ豊かな自然や、空間的・時間的なゆとり、伝統文化などを生かした都市と農山漁村との交流は、都市住民にとっては、農山漁村での滞在生活を通じて心身のリフレッシュを図ることができること、また、農山漁村住民にとっては、農山漁村や農林漁業に対する都市住民の理解の増進、滞在客の受け入れによる収入機会の増大などのメリットがあり、双方にとって大きな意義を持っている。都市と農山漁村の共生・対流を進めることによる経済効果について、(株)三菱総合研究所では約五兆三千億円と試算している。
都会出身の国民の増加に伴い、都市住民にとって農山漁村が縁遠いものとなり、都市と農山漁村の間に精神的な溝ができつつあるという指摘もある中、都市・農山漁村交流の取り組みは、農山漁村における地域活性化の有効な手段として、また、国民の農山漁村および農林漁業に対する理解と関心を深めることで「都市(消費)」と「農山漁村(農林漁業)」とを結ぶ取り組みとして、さらに、国民の健康的でゆとりのある生活に資する取り組みとして注目されており、食料・農業・農村基本法においても重要であると位置付けられている。
2.背景
都市と農山漁村の共生・対流が求められている背景には、次のような状況がある。
(1)都市住民の農村への関心の高まり
首都圏の都市住民を対象に(財)二十一世紀村づくり塾が実施したアンケート調査によると、都市住民が感じる都市では得られない(体験できない)農村の魅力(複数回答)としては、「緑や水に恵まれた豊かな自然・美しい景観」(八四%)、「きれいな空気・水など健康的な生活環境」(八二%)を挙げる回答者が多く、次いで「自然の中での『ゆとり』や『やすらぎ』のある生活」(六〇%)などとなっている。日本テレビ系番組で、人気グループが農業・農村生活を体験する「DASH村」のコーナーが大きな反響を呼んでいるのも、このように、都市住民が農村の有する豊かな自然や美しい景観を評価し、「心のいやし」の場を求めている時代状況を反映しているものと思われる。
(2)農村側の都市住民との交流への関心の高まり
これまで農村の活性化については、市町村行政や集落を単位とした地域住民の内発的な取り組みを推進力としていたが、過疎化や高齢化が進む中、地域住民の活動だけではこうした取り組みが困難になってきている。このため、都市との交流を進め、農山漁村の有する魅力に価値を見いだす新たな参入者とともに活性化を図る取り組みへの関心が高まっている。
農林水産省の実施した「都市と農村の共生・対流等に関する都市住民及び農業者意向調査」(平成十三年十一月)によると、都市住民との交流を希望する農業者は回答者の約八割となっている。また、実際に都市との交流を行った結果として、交流活動の経験者の五割強が地域の自然などの価値を再認識できたことをあげているほか、「地域の持つ魅力の活用が進んだ」「地域のイメージアップが図られた」「(地域の自然環境の)美化・保全が進んだ」などを挙げる人もそれぞれ四割程度に及んでいる。
(3)期待される子供たちの農業体験・農業体験学習
近年、家庭や地域における教育力の低下などを背景にして、子供たちの自然体験・生活体験の不足が懸念されており、子供たちに豊かで多彩な体験活動の機会を与えることが求められている。
現在、全国の多くの小・中学校において、子供たちの自然に対する興味・関心の醸成や勤労体験、情操的効果などを目的として、学校農園や農家体験、農業施設訪問といった農業体験学習の取り組みが行われている。また、学習指導要領の改正に伴い十四年度から全面実施されることになった「総合的な学習の時間」においては、ものづくりや生産活動などの体験的な学習を積極的に取り入れるように配慮すべきとされており、今後、子供たちにとって絶好の自然体験の機会ともなる農業体験学習に取り組む学校も一層増加すると考えられる。
3.政府における取り組み
(1)各省連携の取り組み
政府は、関係各省の連携のもと、都市と農山漁村の共生・対流に取り組んでいる。
まず、経済財政諮問会議において決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二」(一四・六・二五)では、次のような記述が盛り込まれている。
「農林水産省は、関係府省と協力して、十四年度から、都市と農山漁村を双方向で行き交うライフスタイル(デュアルライフ)の実現に向け、国民運動として民間の取り組みの拡大を図るとともに、特区手法を含め、都市と農山漁村の共生・対流を推進する」
これを受けて十四年六月十八日、都市と農山漁村の共生・対流の推進に向け関係省間においてより緊密な連携を図るため、政府七省の担当課長からなる連絡会議が設置された。さらに十四年八月一日、都市と農山漁村の共生・対流の推進に向けた国民運動の展開を図るため、安倍内閣官房副長官および関係七省(農水、総務、文科、厚労、経産、国交、環境)の副大臣からなるプロジェクトチームが設置された。
(2)総務省の取り組み
総務省では次のとおり、「十五年度地方行財政重点施策」に都市と農山漁村の共生・対流を位置づけ、ソフト・ハード面からさまざまな支援策を講じているところである。
「各地域の特色ある情報を発信するとともに、相互の共生・対流を促進し、都市と農山漁村の住民がそれぞれの魅力を共有・享受することにより、全体として多様な国土の形成を推進する」
(1)ソフト事業
住民が中心となって考え、住民が主体となって行う地域づくりを支援する市町村に対し地方財政措置を講じる「わがまちづくり支援事業」(平成十四:七百五十億円)をはじめ、「農山漁村活性化」(同:四百五十億円)、「NPO等の活動の活性化経費」(同:「共生のまちづくり推進事業」五百億円の内数)に対し地方財政措置を講じている。
(2)ハード事業
地域活性化事業債と農水省の補助事業を組み合わせて活用する「農山漁村地域資源活用促進事業」をはじめ、「地域間交流施設整備事業」「過疎地域集落再編整備事業」「地域イントラネット基盤施設整備事業」「地域情報交流基盤整備モデル事業」などにより、交流施設、情報通信基盤などの整備を支援している。
4.具体的な取り組み例
各地の具体的事例を紹介する(本文太文字は当該取り組みの特徴となるもの)。
●セカンドスクール(東京都武蔵野市)
市内すべての小学五年生および中学一年生が、学期中に授業の一環として、長野、山梨、山形県などの自然に恵まれた農村で長期に滞在して、農作業体験や郷土料理づくりなどの体験活動を行うもの。
●ネイチャースクール わくわく WADA(千葉県和田町)
廃校を活用した宿泊体験施設「くすの木」を拠点に、東京のNPO法人「ネイチャースクール緑土塾」との協働により、農作業や自然学習、クジラの解体見学などの体験事業を行うもの。
●都市農村交流事業(岩手県東和町)
グリーン・ツーリズム運営協議会が実施する郷土料理づくりなどの体験ツアーや、川崎市との友好都市関係に基づき、小中学生中心の交流活動を行うもの。
●えがおファーム(山梨県白州町)
NPO「えがおつなげて」が、地域通貨「えがおマネー」を活用した農作業体験事業を行うとともに、東京・渋谷と農村を結ぶ地域通貨プログラム「アースデイマネー」に参加するもの。
●ワーキングホリデー(宮崎県西米良村)
ゆずや花き栽培など、季節的に人手が不足する農作業の手伝いをしながら農村生活を体験する参加者を受け入れるワーキングホリデーを実施し、労働力の確保および交流人口の拡大を図るもの。
総務省では現在、都道府県を通じて各地の特色ある事例を照会しており、結果がまとまり次第、情報提供することとしているので、各地方公共団体の積極的な取り組みをお願いしたい。


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