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84 青森県名川町

名川チェリーセンター101人会会長
掛端愛子さんら

農家の主婦の所得向上目指す
農産物などの販売で売上二億円超す

(財)地域活性化センター情報サービス課副参事

小池一尚

「とにかく元気」、これが今回訪れた「名川チェリーセンター101人会」の第一印象だ。「名川チェリーセンター101人会」とは、青森県名川町に住む農家の主婦を中心として、町の産地直売施設「名川チェリーセンター」を拠点に農産物やその加工品の販売などを行う女性百人の団体である。なんと年間二億円を超える売り上げをあげているという彼女たちの活動について、会長の掛端愛子さんらにお話を伺った。

特産品の開発

 名川町は青森県南部、岩手県との県境に位置する。同県の中では、比較的温暖で降雪量も少ないため、サクランボや梅などの果樹生産の多い町である。
 しかし、特に梅は価格が不安定なため、未収穫のまま放置されることが少なくなかったという。そのことを問題視した主婦のグループが、梅の加工により付加価値をつけようと昭和六十一年に特産品開発の研究会を立ち上げた。彼女たちは、特産品の開発はもとより、農家の主婦の所得向上を図ることも大きな目標としていたという。
 その後も同様の特産品研究会が相次いで生まれ、その結果、梅のほかリンゴ、食用菊など町の農産物を活かした特産品が次々と開発されていった。
 ただ、それらの販路がないというのが課題であった。彼女たちは、町内外で行われるイベントなどに参加しながら特産品販売を行っていたが、交通費など経費がかさむため採算が合わず、「所得向上」というもう一つの目的が達成できていなかったのである。
 そこで、町に販売施設の建設を要望したところ、「建物は町が建設するが、運営は自主的に」ということで、平成三年に「名川チェリーセンター」が建設されることとなった。
 それとともに、センターを運営する組織が特産品研究会のメンバーを中心に結成されることとなったが、当初は「どうせ三年もすれば終わる」という意見が大多数であり、三万円(当時)の入会金を工面するにも家族の説得が大変であったという。結局、苦労の末集まった八十六人で、「会員百人」、「年間売り上げ二千万円」を目標に「名川チェリーセンター101人会」の活動が始まった。
 ところが、いざふたを開けてみると、年間売上高は初年度で一億二千万円強と当初の目標を大きく超え、会員百人という目標もすぐに達成された。売り上げはその後も順調で、平成八年度に二億円を超えて以来、一度も二億円を割り込んでいない。個人の売り上げが年間一千万円を超える会員もいるという。

好調の秘けつ

 好調の秘けつはいろいろあるだろうが、まず前提条件として「車でのアクセスの良さ」が挙げられる。チェリーセンターは、交通量の多い国道四号沿いに建てられており、また八戸方面からの国道一〇四号との合流地点にも近いため、「駐車場が足りなくて困っています」と掛端さんがうれしい悲鳴を上げるほど車が訪れる。
 中には長距離トラックの常連客もいるということだが、取材時に次々と訪れた車のナンバーのほとんどは地元八戸ナンバーであったことから、チェリーセンターは地域の人びとの生活に深く密着した施設であることが分かる。
 常時百種類以上という豊富な品ぞろえも魅力の一つだ。果物や野菜などの農産物はもとより、ジュースやジャムなどの加工品、中には座布団といったものもある。すべて会員が知恵と工夫をこらして持ち寄った手作りの商品だ。それらに会員自らが値段をつけ、住所・氏名と合わせて表示する。
 このため、消費者は例えば同じ「リンゴ」でも「○○さんのリンゴ」というように「違いを求めて」買い物ができ、また会員も消費者の要望や苦情を直接受けるため、常にニーズに対応できる生産を目指しているという。その結果、「知恵のある人は売り上げもある」と掛端さんが言うように、固定客をガッチリつかんでいる会員もいるそうだ。

競争意識の高さ

 各会員の競争意識の高さも特筆ものだ。象徴的な例が「朝の搬入」である。屋外の棚には各自所定のスペースがないため、搬入時刻の朝五時にはできるだけ目立つ場所を取ろうとする会員同士の「バトル」が毎日繰り広げられるというのである。「一人ひとりが経営者という意気込みで、取り組んでいるため、皆真剣なのです」と掛端さんは語る。売り上げを伸ばすには知恵とともにパワーも必要なのだと考えさせられた。
 組織運営のルールが工夫され、確立されている点も忘れてはならない。たとえば、販売に対する各会員の負担を分散するため、各会員は年十二回、販売スタッフとしての出勤が義務付けられており、無断で欠席すると罰金があるという。このおかげで各会員は月一回の当番を務めるだけで商品を一年中販売することができるのである。
 その他「売上金の九%を会に納め、会の運転資金(地代や常勤事務員給料など)とする」「イベントには必ず出席・出品しなければならず、無断欠席は罰金」「月一回の理事会の結果は必ず会報にして各会員に配布」など、さまざまなルールがあるが、いずれも十一年間の運営を通じて、皆で議論し培われたルールである。
 一見厳しいようでもあるが、それぞれ競争意識の高い百人の個人事業主が一丸となってセンターを盛り上げていこうという気持ちでいられるのは、やはり皆で決めたルールに基づき厳格な組織運営がなされているためであろう。

生きがいの場所

 101人会の会員は「皆が町の活性化のために頑張るお母さんたちなんです」と掛端さんは言う。その代表格として掛端さんから紹介された田中久子さんは、町の「ながわホームステイ連絡協議会」のメンバーとして都市部学生の農業体験ファームステイ受け入れを行ったり、「農業通年観光(四季のまつり)」という研究会で町の農業資源の通年観光資源化を研究したりと町の活性化に一生懸命だ。
 田中さんはこのように町の活性化に積極的になれたのも「チェリーセンターで、たくさんの尊敬できる仲間と知り合ったことで、私の力でも何か町の活性化に役立つことができないか考えるようになったから」と語る。
 また、その他の会員からも「101人会の会員になって良かった」という声が異口同音に聞かれた。彼女たちにとってチェリーセンターは、ただ単に物を売るだけの場ではなく、交流し自己研さんし合う「生きがいの場所」(掛端さん)になっているといえよう。
 そもそも「101人会」の「101」には「百人という目標会員数に、新たな飛躍の意味を込めて『一』を足した」という意味があるという。「特産品開発」と「農家の主婦の所得向上」という目標を達成した今、チェリーセンター自主運営による成功体験を通じて得たものを地域活性化に活かそうと、「とにかく元気」な彼女たちは新たな飛躍を目指している。






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