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長野県小布施町 しなのぐらしコミュニティネットワーク デイサービスなど三事業をネットワーク化 人・自然・動物との共生で |
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(財)地域活性化センター企画調査課副参事 |
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佐々木昭弘 |
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長野県の北部、長野盆地の北東に位置する小布施町(おぶせまち)は、全国でも有数のクリ菓子の町としてその名をとどろかせている。小布施の気候と町を流れる川の影響による酸性の土壌がクリの栽培に適し、良質で実が大きく育つ。このクリを使った上品な味わいの菓子を並べる店舗群へは週末ともなると、多くの人が詰め掛ける。また、この町は「富嶽三十六景」などで知られる浮世絵師の葛飾北斎とも縁がある。北斎はその生涯を九十歳で終えているが、江戸で知り合った小布施の商人高井鴻山(たかいこうざん)に招かれたのがきっかけで、晩年の八十三歳のときに初めて小布施を訪れて以来、数回小布施へ足を運んでいる。小布施にも作品を残しており、町には北斎館という北斎の作品を収めた施設がある。
六次産業センター
小布施町は人口一万二千人足らずの町だが、このほかにもまだまだ話題は豊富で、「オープンガーデン」や「六次産業」も小布施のまちづくりの取り組み事例に挙げられる。オープンガーデンとは、登録された六十軒ほどの民家などの庭を一般に公開するというものであり、色とりどりの庭には案内の看板も設置され、原則としてだれでも自由に見ることができる。
六次産業というのは、一次から三次産業までの融合を図り、製品の付加価値を高め、雇用創出につなげることで地域の活性化を図るというものである。町には農家が作物の生産から加工、販売までを一貫して行う「六次産業センター」があり、これまで全国各地から多くの行政関係者などが視察に訪れているという。
さらにもう一つの小布施の顔と言える地域づくり団体「しなのぐらしコミュニティネットワーク」を紹介したい。活動の拠点である「小布施オープンハウス」は、前述のクリ菓子屋や北斎館がある一帯とは小布施駅を挟んで反対側に位置し、クリ林やブドウ畑に囲まれた自然が豊かで静かな場所に建っている。建物はバリアフリー構造となっており、また木材がふんだんに使われ、温かくて人に優しい感じが伝わってくる。このオープンハウスで代表者の小渕登美子さんらに話を伺った。
団体が実施するいくつかの事業は平成十二年一月にネットワーク化され、その取り組みを一層強固なものにしている。図に表すと「イメージ図」のようになり、活動が大きく三つに分かれるが、それぞれが密接に関連し合い、各事業の相乗効果により団体の目指す目標に近づくというものである。
イメージ図

わらじ作り教室
(1)オープンハウスの活用から紹介すると、一つは登録会員による二階部分の宿泊施設の利用である。会員は東京をはじめ都会にも多く、都会から小布施を訪れた人が多く利用する。小布施から車で一時間ほどの所にある長野県北部のカヤノ平のブナ林を訪れた後、この施設に泊まって心身ともに十分に癒(いや)されて都会へ戻っていく。
オープンハウスのもう一つの機能は一階部分の多目的スペースの活用である。一階部分は会員に限らず、地域の住民などにさまざまな活動の場として活用される。たとえば以前開催された「わらじ作り教室」では、わらじ作りの名人であるお年寄りを先生として、子供から大人まで幅広い層の生徒へわらじ作りの技が伝授され、世代間の交流も図られた。
このほかにもホームステイで町を訪れた子供たちを囲むパーティーや餅つき、さらには結婚式までこの場所で行われたことがある。
次に、(2)デイサービス事業は、介護が必要なお年寄りや障害を持つ人が気軽に出入りできる場を提供している。ただし、一般的な介護施設で行うような介護とは性格を異にし、介助するというよりは、できる限り自立へ向けてサポートをするという色合いが強い。身の回りのことは可能な限り自分でやり、許される範囲で新しいことへの挑戦を促すことも欠かさない。
通所している人の中には、家族に自家用車で送り迎えをしてもらっていたのに、電車を使って通うようになった例もあるという。受け入れる施設はオープンハウスであるが、これも時にはブナ林を活用しており、林に入って大自然に触れることにより感覚機能と感性の活性化が図られ、元気を取り戻すという。また、オープンハウスでのイベントに通所者が参加することもあり、お年寄りと子供、障害者と健常者など地域住民の交流が促進されている。
ブナ林の再生
そして、最後に(3)混牧林によるブナ林の再生事業であるが、耳慣れない珍しい取り組みであるので、まず混牧林について簡単に説明してみる。
発端は昭和四十年代に林野庁の事業として全国十カ所の国有林で行われた実験事業である。このうちの一つとして、カヤノ平に牛が放牧され、ブナの再生を阻む笹を牛が食べることで、治山と畜産を両立させるという取り組みが進められた。これが混牧林事業である。
この事業は十年間継続された後、林野庁が事業から撤退することとなったため、この後を引き継ぎ、民間レベルで国有林を借り上げて、事業を行うこととなった。これが当団体の混牧林によるブナ林の再生事業である。牛は自然の中で生育され、高タンパクの笹を食することで質の良い牛となり、また一方でブナにとっても笹が牛に食べられることで地表まで日光が届き、ブナの実の発芽が促されることに加え、牛糞の肥料によりブナの再生が促進されるのである。
二、三百年後の地球
「共生」という言葉を今ではあちらこちらで耳にする。人と人、人と自然、自然と動物がまさに共生する地域づくり団体の取り組みは非常に先進的で新鮮である。置かれた地域の現状をしっかりと見つめ、バランスを取り、可能な限りすべてがよりよい状態であり続けたいというのが「しなのぐらし」の理念であり、団体の活動目標である。難しいことであるが、これからの地域づくりには欠かせないことであると思われる。ブナ林の再生には当然ながら長い年月を要し、息の長い取り組みが必要とされる。代表者の小渕さんの「二、三百年後の地球のためにできることをしたいだけ」という言葉が印象的だった。
●しなのぐらしコミュニティネットワークプロフィール
設立年月=平成12年1月
会員数=113名
代表者=小渕登美子
事務局連絡先=〒381-0201 長野県上高井郡小布施町小布施1225-1
TEL:026-247-4756
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