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福岡市
ごみ焼却施設の余熱利用したタラソ福岡
「健康・運動・交流」がコンセプト

福岡市環境局工場整備課

阿比留浩一

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 福岡市がごみ焼却処理施設として初めて市街地の東区箱崎地区に建設した臨海工場から出る余熱を利用する複合施設「タラソ福岡」がこの春から稼働している。
 施設の計画・検討は平成九年度ごろから始まり、せっかく施設を造るのであれば質の高いサービスを提供し、市民が満足するものにしようというのが発端だ。

二つのゾーン

 当初は、当時はやりのレジャープールのようなものを念頭に置いていた。その後、市民の健康意識が高まり、地域交流の活性化が求められる中、事業コンセプトを「健康・運動・交流」として、既存のさまざまな温浴施設を調査、検討した。楽しく運動できて、運動習慣のない中高年にも受け入れられやすい施設は、潜在的需要が高いがあまりないことから温海水プールを中心とした「健康増進ゾーン」と、地域交流の促進を目的とした「コミュニティゾーン」による複合施設として計画した。
 十年度になり、財政所管部署から、財政を圧迫しないような手法としてPFIを検討するように、との指摘があった。基本設計を行う中で、PFIを導入すれば民間ではどの部分を分担できるか、などの調査を実施した。その結果、PFIでやれそうだ、との結論がでたため、PFI法の施行をにらみながら事業を進めていった。議会からもPFI手法で進めることで承認を受け、十三年二月契約を締結した。
 その後、平成十三年度にかけて、設計・建設を行い、十四年四月一日運営を開始した。



施設の概要

 この施設にPFI手法を採用したのは主に次の三点の理由からだ。
 まず第一は「専門分野の民間企業による施設整備・運営の一体的取り組みの必要性」である。これは施設の特殊性(健康増進施設)から、運営には民間業者による専門知識と運営ノウハウが必要不可欠であり、その運営仕様と整合したハード整備が必要ということである。
 行政が整備した公共施設の運営を民間に委託することはよく行われている。しかし、出来上がった施設が運営する側にとって使いやすいとは限らない。本施設のように行政にとって経験のないサービスを提供しようというときはなおさらである。そのため運営者が計画段階から関与すべきと考えたのである。
 第二は「インセンティブ契約の導入の必要性」である。これは民間業者が持つ専門知識や経営能力、経営技術を最大限発揮することが期待できる契約システムの導入が必要ということである。民間では当たり前だが従来の手法では、市民ニーズを取り込もうとか、顧客満足度を高めるとかいった発想は出にくいものである。
 三点目は「財政面でのコスト縮減」であり、PFI手法を採用するきっかけとなった。設計・建設における効率化、維持費負担・運営リスクの解消など、財政面でのコスト縮減が期待できる。また、支出額が将来にわたり明確にできるという利点がある。

事業方式

 本事業はBOT方式である。民間事業者は、自ら資金を調達して施設の設計・建設を行い、施設を所有して利用者からの利用料金と市からのサービス提供料収入によって、市が提示する公共サービス(施設の維持管理、安価で良質なサービスなど)を運営期間中、市民に提供する。この期間は市が土地を無償貸付し、電力の無償供給を行う。運営期間終了後、民間事業者は施設を市に無償で譲渡する。
 運営期間は平成十四年四月一日から二十九年三月三十一日までの十五年間。
 利用料金に関して市が指定したのは「ビジターのプール利用を二時間で八百円以下」という条件だけである。そのほかの料金は、運営者の判断で状況によって変更することも可能だ。これがPFI手法でなかったら市民ニーズとの「ずれ」がわかっても料金改定などすぐにできるものではない。
 個別のタラソテラピープログラムは、プールに比べれば料金が高いが、一般的な民間事業者の料金と比べるとかなりの低価格だ。従来手法の公共施設であればこのようなサービス提供はできなかったであろう。
 朝九時半から深夜〇時半まで(コミュニティゾーンは朝九時から夜九時まで)という営業時間の設定もPFI手法ならではだ。
 このように、ニーズに素早く反応して運営することは従来手法の施設にはできないことで、利用者から喜ばれている。地元住民だけでなく、幅広い市民に愛され利用される施設となりつつある。

タラソテラピー

 タラソ福岡はPFI手法の採用のほか、温海水を利用した「タラソテラピー施設」であるという点でも特色があるといえる。わが国ではタラソテラピーは「海洋療法」と訳されている。エステティック・サロンの海藻や海泥のパックを連想される人もあろうが、発祥の地ヨーロッパでは、「タラソテラピー」は健康増進や病気の予防、リハビリなどを目的に行われており、日本で言う温泉(湯治)のようなもので、美容はその効果の一部分にすぎない。「タラソテラピー」とは海を意味するギリシャ語のタラサと治療を意味するフランス語のセラピーを組み合わせた造語である。
 利用者からは、「今までの施設(食肉市場)があったときと比べ、まちが明るいイメージになった」「長年悩んでいたアトピーの症状が軽減した」「民間の施設と比べると料金が格安である」といった良い意見もあるが、「利用したいプログラムの定員がすぐ埋まるのでなかなか受講できない」「市の施設と比べると料金が高い」などの意見も聞かれる。
 今のところ利用者からは、PFI手法だからどうこう、といった声はないが、従来手法の施設に比べればさまざまな意見に柔軟に対応していけるであろう。
 運営・管理面では本市初のPFI事業で前例のないことから、サービス提供料の支払い手続きなど戸惑うこともあった。今後、事業者と力を合わせてよりよい市民サービスを提供できるよう努力していきたい。


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