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ヨーロッパ研修報告 施策の実現に必要なのは 市民参加のプロセスと市民運営のシステム |
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特定非営利活動法人 時をつむぐ会(高崎市) |
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續木あかり |
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全国地域リーダー養成塾海外研修の一員として九月四日から十三日までの十日間、ドイツの「まちづくり」を視察して回った。
私は、その地域の歴史、文化に触れ、そこに暮らす人びとの意識や環境づくりの実情を知りたくて研修に参加した。今回は、ドイツに留学と勤務の経験のある、当リーダー養成塾主任講師の早稲田大学卯月盛夫教授を団長に、塾生十六人が参加してブレーメン、フライブルクほかドイツ西部のまちづくり先進地を旅した。
ちなみに、私は参加メンバー中、最年少で人生経験も浅く、この研修からどれだけ吸収できたか自信はないが、貴重な体験ができたことに感謝している。
市民に根付く住民自治
ブレーメン
古くはハンザ同盟都市として有名で、市民にも住民自治の観念が根付いているという。訪問した地域事務所では、主に地域事務所と地域評議会の役割について説明を受けた。地域事務所は市の出先機関であるが、どちらかというと、市民の側から市に対して施策を提案し、地域の要望を実現させるところとの印象を受けた。その提案をつくり、要望をまとめるため評議会が設けられている。
驚いたのは月一回行われる評議会は、住民に公開され、だれでも自由に意見や要望を言うことができる。そして、地域事務所は評議会で出された意見について、六週間以内に結論を出し、公表することになっており、言いっ放しということはない。
ミュンスター
自転車中心のまちづくりを進めている。中心市街地を巡るかたちで自転車専用道があり、自転車標識も整備され、駅前にはとても立派な駐輪場があった。実際に街を歩いてみて、確かに交通手段として自転車は優れていると実感した。地元の人びとは、快適に毎日を過ごすため自動車の持つ便利さより自転車を選び、「狭い道も使え、外の新鮮な空気に触れられ、健康にも良く、楽しい」と答える。その考え方と同時に、自転車中心の環境整備をここまで行ってしまうことに感動した。
文化の香りを満喫
カッセル
国際規模の芸術祭「ドキュメンタ11」を見て文化の香りを満喫した。この催しは、ほぼ五年に一度開催され、今回で十一回を数える。美術館など四カ所を会場に現代美術を中心とした展示が行われていた。
エコロジー団地も見学したが、屋根に土をのせ植物を植えるなど、日本では一般的に考えられないことで、なんとなく「とっても実験的な建物だな」と思った。
また、ヴィルヘルム王宮殿を散策したが、宮殿のてっぺんにヘラクレス像がそびえ立ち、中庭の溜池からは午後二時になると街へ水が流れるようになっている。かつての巨大な権力者、王の力を見た。
モンシャオ
いよいよ日本人観光客もほとんど訪れない秘境? モンシャオへ。景観がとにかく美しい。住民全員でまちを守っているような雰囲気である。
この町は昔、織物のまちとして栄えたが、今は工場跡地をホテルとして再利用するなど観光都市に衣替えした。また、五十年前から独自の景観条例を設け、「屋根は天然の石板に限る」「広告は落ち着いた色で街並みにあっているもの」などの規制がある。そういった努力があるからこそ、あのように整った、見飽きることのない街並みが出来上がるのだなと納得した。
バーデンバーデン
旅も後半、だんだん疲れがたまってきたところで温泉の街バーデンバーデン市へ。ここの温泉には温泉医師が常駐し、主に治療目的で世界中からお客が集まり、経営は市が民間に任せているとのこと。また、温泉治療に健康保険が適用されるということは驚きであった。なにより私にとって、雨の中を走って運良く入れたカラカラ浴場がこの旅一番の思い出となった。
環境に優しい自然エネルギー
フライブルク
ここでは、まちづくりを考えるとき、まず子供の住環境を考え、そのために最良の街となるように計画をつくる。その結果、中心市街地に車が入らないようにしたり、道に沿って水路を流したりなどする。市内の交通分担率は、自動車、公共交通機関(路面電車、バスなど)、自転車がそれぞれ三分の一となることを目標としている。街の中心部には大型デパートもあるが、売る物を制限し、小売店を守っている。
ここでの話で一番興味深かったのは、環境に優しい自然エネルギーの利用が進んでいることである。至る所の屋根にソーラーシステムが設置してあり、また、ガソリンに代わる新しい燃料として期待されている植物燃料は、原料となる菜の花を栽培する土地がもうあまり残っていないため、自動車離れが進むようガソリン代を高くして市民の意識改革を図っていくほうが良いとのこと。そして、原子力発電の廃止を決定したドイツの中でも、ここは西にフランス、東にスイス国境がすぐ近い街なので、とくにエネルギー資源の問題については、これら近隣の国と連携しなければならないと考えていることなどの話をうかがった。
次に訪れたフライブルク・ボーバン地区では、ソーラーシステムでエネルギーを自らつくりだすなど、徹底的に省エネルギーにこだわった住環境づくりを住民自らの手で行っていた。
ハイデルベルク
旅の最後にハイデルベルクを訪ねた。視察研修を終えた安堵感か、みんなリラックスした感じ。ハイデルベルク城を見学した後、少し時間の余裕もあったのでお土産を買い、みんなでドイツ最後の街とビールを楽しんだ。
ドイツ雑感
食べ物は想像していたようなソーセージやジャガイモ料理のオンパレードではなかった。パンはどこで食べてもおいしかったが、とくにいろんな木の実を使ったデザート(ジャムのように煮詰めた鮮やかな赤い色)が、自然環境を大切にするドイツを象徴しているような気がした。とても甘酸っぱくておいしかった。
ドイツでは自分がこうしたい、こう変えたいなどの目的ができると、すぐに団体を組織し、なるべく行政の手を借りずに自分たち自身で環境づくりを行い、理想の生活を形づくっていく傾向があると聞いた。今回訪問した街でいうと、カッセルのエコロジー住宅やフライブルク・ボーバン地区のニュータウンに住む人びとなどであり、こうやってこれからも、この国は変わっていくのだろうなと感じた。
また同時に、行政の側から意識的にというか、強制的にでも市民の考え方を変えていくことも非常に大切なことだとも感じた。今回訪問した街でいうと、ミュンスターでの自転車中心のまちづくりや、フライブルクの都市計画などである。
しかし、ここで重要なことは、行政主導であっても、それぞれの施策の実現には、市民参加のプロセスと市民運営のシステムが必ず必要だという点である。
私は、今回の視察研修で自分にとっての快適で安心・安全な生活とは何かを考え、実行していくためのヒントと活力を得た気がしている。
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