地域活性化フォーラムin福岡
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交流と連携によるまちづくり 21世紀型の地方都市のあり方を考える |
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(財)地域活性化センター情報サービス課副参事 |
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山辺健仁 |
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(財)地域活性化センターは福岡県との共催で十月二十一日、福岡市の西鉄グランドホテルにおいて「地域活性化フォーラムin福岡」を開催した。総務省、朝日・毎日・読売・日経・産経・西日本各新聞社と地域づくり団体全国協議会の後援を受け「交流と連携によるまちづくり―21世紀型の地方都市のあり方を考える―」と題したこのフォーラムには、行政関係者、一般市民ら約三百人が参加した。
開会にあたり、福岡県の武田文男副知事は、「交通網の発達や高度情報化から生じる生活圏広域化の傾向の中で、地域づくり団体や地方公共団体で『交流』『連携』の動きが活発化している」と述べ、こうした現状を踏まえて、福岡県が都市の連携による地域づくり施策として掲げている「筑後田園都市圏構想」や、交流施策のいくつかを紹介した。続いて当センターの松本英昭理事長は、「地域づくり活動」における「交流」「連携」の意義を強調したうえで、基調講演者を紹介しパネルディスカッションへの期待を表明した。
今日の地域社会は「自立分散型」
フォーラムではまず、東京大学大学院工学系研究科教授の西村幸夫氏が「21世紀の都市像と新しいまちづくりのあり方」と題して講演を行った。
西村氏は、これからの都市像を展望するにあたって、一九七○年代初頭から今日までの日本の地域社会の変遷を説明した。この中で同氏は「かつては、大都市、中都市、小都市と地域による階層区分がはっきりしており、それは消費行動にも明確に反映されていた。たとえば身近なものを買い揃えるときは居住地近くの商店へ、大きな買い物をするときは都心の百貨店へ足を運ぶという具合である。ところが、七○年代以降は郊外型の量販店で生活必需品のすべてを買い揃えようとしたり、さらに最近ではコンビニエンスストアに買い物の重点が移行するなど、ライフスタイルのベースが郊外にシフトした」と述べ、ITの急速な普及もあいまって、今日の地域社会を「自立分散型」と論じた。
次に、私たちの心理の変化についてふれ、最近の世論調査では、「心の豊かさ」「日々の充実」「社会貢献への意欲や地域社会への帰属意識」が上昇しているとして、「まだまだ日本人は歴史や文化、コミュニティをよりどころとしたがっている現象が見て取れる」と語った。
そして、これからのまちづくりの手がかり・ヒントは、「身近な街並みや生活の中での小さな再発見の積み重ねなど、情報化社会にのらないものの中に隠されている」と話し、近年、隆盛してきた都市と田舎の相互交流などが真に「それ」ではないかと論じた。
そして、理想的な都市像としては、「人の目線で街並みが見渡せること、コンパクトな歩ける街であること、手軽に歴史や文化に触れられること、身近に自然があることなどを挙げ、地域性に配慮しながら調和のとれたまちづくりを目指すべきである」とまとめた。
メンテナンス型のまちづくり
続いて映画監督の大林宣彦氏が「わたしの好きなまちなみ」と題し、出身地、広島県尾道市での映画製作のきっかけや、お気に入りのまちなどについて講演を行った。
代表作「転校生」「時をかける少女」そして「さびしんぼう」はいずれも、尾道市の昔ながらの街並みを舞台にした物語で、多くの観光客が訪れるきっかけとなった作品。氏は、この街をそのままに守り続けたいという思いから製作したと述べ、実際に映画を見た人から「どこにでもある近代的な街とは違う何か、情報にはならない何かを、歩いて体験したくなった」と聞いて、思いが伝わったようで非常にうれしかったと語る。
しかし、一般公開に先立つ地元試写会では、「ひび割れた土塀や車も進入できない小道をなぜ撮影したのか」と行政をはじめ、住民からも不評を買ったこと、当時のまちづくりは、全国的に「スクラップアンドビルド・大量消費型」の考え方が主流で、古いものを活かす「メンテナンス・蓄積型」は少数派であったことを振り返った。今や物や金より心の豊かさを重視する価値観が、バブル崩壊後の「失われた十年」で、徐々に日本社会に浸透しつつあるが、これこそが暗い世相の中で、私たちが獲得した貴重な財産であると述べ、「これからのまちづくりには、利便性や快適性より、皆が汗を流し知恵を出し合い、協力して取り組む『メンテナンス・蓄積型』を基本的なまちづくりの方向性にすべきである」と語った。
交流と連携によるまちづくり
このあと常磐大学コミュニティ振興学部教授の井上繁氏をコーディネーターとし、NPO地域交流センター理事の今泉重敏氏、福岡県大牟田市長の栗原孝氏、プロデューサー、コミュニケーション・プランナーの残間里江子氏、九州大学大学院人間環境学研究院助教授の出口敦氏が「交流と連携によるまちづくり」をテーマにパネルディスカッションを行った。
まず、今泉氏が、日ごろ取り組んでいる、特産品の展示など、地域性を活かした交流拠点の整備事業「まちの駅」を紹介し、「人が集まるところから交流が生まれ、やる気と笑顔で活動の輪がさらに拡大する」と述べ、主体性とコミュニケーションの重要性を説明した。また、これからの時代はNPOが地域づくりのカギになると話した。
栗原氏は、「平成三年の炭鉱閉山に伴い、福祉と環境リサイクル産業に力を入れている」と話し、とくに近隣自治体と連携し、ゴミを固形燃料化、熱源として発電に利用する事業を紹介した。そのうえで、「近隣自治体との連携は、単なるパートナーとしてではなく、競争相手として個性を競い合い、筑後地方全体が活性化するような関係でありたい」と述べた。
出口氏は、「まちのにぎわい」に関して、都市計画の観点から、「にぎわいの創出のためには、都市をある程度高密度に仕向ける必要があるが、そこには必ず人と人を結ぶコミュニケーション戦略が必要」と論じた。また現在、取り組んでいる九州大学の移転計画について、「地域に開かれた大学、地域とともに発展していく大学を目指している」と語った。
残間氏は、これまでさまざまなまちづくりプロジェクトに参画した経験を踏まえ、「交流・連携施策は、きちんと相手方を選定し、目的意識を持って取り組むことが重要」と述べ、事業実施の際のポイントとして(1)実質的か(リアリティの有無)、(2)対価に見合うか(3)個(人)を見据えたものか(4)防災、防犯対策(5)挑戦的か(6)社会に貢献するものか―の六つの条件を提示した。
最後に井上氏が、四人の意見をまとめ「都市連携の底流には競争があり、それぞれの地域が個性や魅力を磨きあっていく過程で理想的な関係が構築できるのではないか、つまり競争の中から共創が生まれるのではないか」と述べ、「それぞれの域内においても、地域づくりは行政や地域住民、NPOなどが一体となって取り組んでいくべきである」と締めくくって、フォーラムは幕を閉じた。