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鹿児島県 産地の顔が見えるブランドづくり 食肉偽装問題に黒豚1頭ごとの証明書 |
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鹿児島県農政部流通園芸課長 |
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松元信道 |
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鹿児島県では温暖な気候、広大な畑地など恵まれた条件を活かし、畜産、園芸を中心にわが国の南の食料供給基地として「食の創造拠点かごしま」の形成を目指した施策の展開を図っており、平成元年度から「かごしまブランド確立運動」を実施している。
農業を取り巻く情勢が、農産物の輸入増加をはじめ、市場における予約相対取引の増大、量販店の大量一括仕入れなど取引形態の多様化や大型化の進展、消費者の健康・安全志向の高まりにより大きく変化している。こうした中で、本県農業を振興し、農家経営の安定と地域の活性化を図るため、高品質の農畜産物を安定的に供給できる「産地づくり」と流通・販売体制を整備し、県産農畜産物の一層のイメージアップによる「販路拡大」を図ることを目的にしている。
ブランドマークで品質保証
「かごしまブランド確立運動」では、一定基準以上の品質と量を確保し、計画的な出荷が行われ、市場や消費者などから高い評価を得られるような活動を継続して行う産地で県内他産地のモデルとなるような産地を知事が、「かごしまブランド産地」として指定する。これまでに、ブランド産地として本県を代表するさつまいもやカボチャ、ピーマン、空豆、黒牛・黒豚など十一品目十六産地を指定した。
これらかごしまブランド産品には、鹿児島のイメージを高め、高品質の農畜産物を広く全国の市場や消費者へお届けするにあたり、ブランド産地の誇りと品質を保証する証として、「かごしまブランドマーク」を貼付している。
この運動は、三つの活動を基本に展開しており、(1)話し合い活動や各種研修などを通じて、運動の地域への浸透とブランド産地づくりの機運を醸成する啓発・普及(2)品質の良いものを安定的に出荷でき市場対応力のある広域的な産地づくり(3)県産農畜産物のイメージアップと販路拡大のための販売戦略の展開─この三つを有機的に結びつけて運動の輪を広げることとしている。
ブランドマスターの認定
農産物のブランド化に当たっては、生産から流通・販売まで生産者、農業団体、行政などの関係者の一体的取り組みや意識の統一による運動の推進を図ることとしており、県段階に県、農業団体、流通関係者、消費者代表などから構成する「かごしまブランド推進本部」を、また地域(県内十二の市郡単位)段階に同地域推進本部を設置し、園芸・黒牛・黒豚などの専門的な作目別協議会が中心となり、推進指導に当たっている。
また、より広域的な産地づくりに取り組んでもらうため、栽培技術、経営面などで他の模範となる生産者を「ブランドマスター」として認定するとともに、産地課題を解決するため、産地間交流などを実施している。
さらに「かごしま遊楽館(平成七年東京有楽町に鹿児島県のアンテナショップとして設置)」をはじめ、東京や大阪などの量販店などにおいて、産地の女性生産者によるブランド品目などの試食宣伝販売や、各種広告媒体を活用したPR活動を展開している。
加世田カボチャのこだわり
これらブランド産地づくりの中で、平成三年度に「かごしまブランド産地」の第一号として指定された「加世田のカボチャ」は、交配して六十日を過ぎてはさみを入れる。通常は、交配後五十五日で収穫できるものを、さらに五〜十日ほど樹上で完熟させるなど徹底して完熟にこだわり、ホクホクした味わいはどこにも負けない一級品で、糖度が高く、まさに果物並みのおいしさである。一玉一玉に完熟マークシールを貼付し、市場や量販店関係者からも高い評価を得ている。当初、産地ではもともと若い新カボチャを好む傾向があったため、「どうして、もう食べられるカボチャをちぎってはいけないのか」「何日間も置くと硬くなるのではないか」など危惧や反発なども生産者からはあった。しかし、完熟に徹底してこだわろうと、昭和五十二年から地域を挙げて本格的に完熟カボチャづくりに取り組み、商品としての認識や技術向上など、長年の努力の積み重ねにより現在では、需要に応じきれないほど人気が高く、市場からも注目されている産地に育っている。生産者自らがブランド産地として自信と誇りをもって生産に取り組んでおり、他産地のモデルとなっている。
不信感払しょくへ黒豚証明制度
また、黒豚のブランド化については肥育期間が長く、産子数が少ない黒豚は経済効率が悪いため、高度経済成長時代に絶滅の危機に瀕したが、黒豚を愛する生産者や関係者の努力と情熱で、「かごしま黒豚」としてよみがえった。
別名を「六白(ろっぱく)」と言い、四肢と鼻筋、尾の六カ所に白斑があるのが外見上の大きな特徴である。「丹念に育てられた黒豚だからこそ、すべてを無駄なくおいしく食べてもらいたい。それが彼らの命を有意義に生かすことなのです」と語る生産者には、こだわり続けたことに自負心がうかがえる。また、「いくらいいものを作っても黒豚の価値を正当に評価してくれる消費者がいないと、農家は生産を続けられない」と訴えており、ブランドを支えていくということは、消費者にも大きな責任があるのだと実感させられる。
このような中、全国的な黒豚ブームが起こり、生産量をはるかに超える量の黒豚が店頭に出回り、「黒豚」に対する消費者の不信感も高まったため、黒豚の主産地である本県では、品質の優れた本物の「かごしま黒豚」を消費者に確実に届ける体制づくりの取り組みを平成四年から「かごしま黒豚証明制度」としてスタートさせた。これは、「かごしま黒豚証明書」を出荷する一頭ごとに添付し、これを確実に回収することで生産者の特定とその生産、肥育、出荷などの生産履歴などが確認できるシステムである。
BSEの発生や相次ぐ食肉偽装表示問題などで、消費者の食への不信感が強まる中、消費者が求める「品質が良く、安全で安心して購入できる農畜産物」を提供することがますます重要となっており、このためには、生産物に対する生産者の責任の所在を明確にしていくことが大切であると思われる。県としては今後とも、かごしまブランド推進本部を核として、県園芸振興協議会などの作目別協議会との連携を密にして、ブランド産地のさらなる体制の強化や、産地指定に向けた取り組みを積極的に支援するとともに、農業団体と一体となって市場や消費者などへのPR活動を積極的に行い、正確な産地情報の伝達など、生産者の「顔」が見える信頼されるブランド産地づくり、商品づくりを推進することとしている。
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