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広島県府中市 異業種交流の「メイドイン府中」を全国発信 バーチャル・直販店一体運営で消費者直結 |
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府中商工会議所 |
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和田達雄 |
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広島県府中市は、人口四万二千人余りの内陸工業都市で、古くは山陽と山陰を結ぶ石州街道の宿場町として栄え、物資の集積地となっていた。これらの物資を利用した家内工業が農家の副業として行われるようになったのが、当地の産業の始まりといわれている。
ものづくりのまち
現在では婚礼家具、ワーキングウェア、機械金属、味噌、桐箱など幅広い分野の地場産業に発展している。まさに、ものづくりのまちである。そのことを表すデータの一つを紹介すると、人口一人当たりの製造品出荷額は七百九十七万円(平成九年)で、広島県内でトップ、全国六百七十二都市中でも三十三位にランクされている。市外からの工場進出のない地方都市としては、極めて珍しい存在といえる。
しかし、製造業の空洞化と近年の不況で、当市の地場産業も衰退傾向を余儀なくされ、産地としての活気に陰りが見え始めてきた。そこで、広島県および府中市の支援のもと、府中商工会議所が中心となって商品開発と販路開拓を目的に、バーチャルモールと直販店を一体的に運営する「府中ものづくり直販工房」を立ち上げた。
府中ものづくり直販工房が開店
従来からの商品をただ作り続けていただけでは、海外製品との競合で次第に売れなくなる。そこで、各企業は消費者ニーズの変化に対応しようと、新たな商品づくりにチャレンジしている。たとえば、家具メーカーの職人が高級家具の端材を使って工芸品を作ったり、桐箱を携帯用の名刺入れやアタッシュケースにするなど、遊び心あふれるアイデア商品が次々と生まれている。
平成十三年十一月に開店した「府中ものづくり直販工房」は、このようなまだ販売ルートに乗っていない、しかも当市で開発・製造された「メイドイン府中」の商品を集め、インターネットを使ったバーチャルモール「e〜もん」と商店街の中の空き店舗を活用したリアル(直販店)一体で販売しようとするものである。開店当時、ユニークな試みだと、新聞、テレビに取り上げられた。しかし、素人が手作りで始めたバーチャルモールにすぐにアクセスが増え、販売に結びつくというわけにはいかなかった。メイドイン府中の商品を全国に知ってもらうことが第一の目的だったとはいえ、商品が売れないのでは販売支援にはならない。アクセス数を増やし、購入に結びつけていくためには、常に画面を更新して、リピーターを増やさなければならないが、次々と新商品ができるわけではない。そこで、バーチャルの中にものづくりの職人技を紹介する「スーパー職人」のコーナーを設けたり、会議所の職員が工場を訪ねてものづくりを体験する「ホリちゃんのものづくり奮戦記」のコーナーをつくるなど、情報内容の充実と更新に努めた。オープン二カ月目に入り、開設時のブームが一段落してアクセスカウントが落ち着きはじめたころに、ようやく商品が売れ始めてきた。
バーチャルでメーカーと消費者が直結
まだ開発したばかりのソーラー換気扇をバーチャルモールへ出展している、ある弱電メーカーは注文したお客にアフターサービスを兼ねて、取り付け後の換気扇の調子や効果などをメールでたずねるようにしている。担当の藤井さんは「府中ものづくり直販工房は、お客さんと直接メールでやり取りできるので、業者との取り引きでは聞くことのできない、消費者の生の声が聞ける。通常、このような機会のないメーカーの開発担当者にとっては非常にありがたい」と話す。このように、直販工房は、お客に新商品のモニターの役割を果たしてもらい、メーカーと消費者を直接結びつける製販一体型のマーケティングを実現させる有力なツールとなっているのである。
現在、バーチャルの大幅なリニューアル作業を行っているが、この紙面をお読みいただくころには、消費者とメーカーの担当者が意見交換する場として、新しく開設する「ものづくり交流会議室(仮称)」が、うまく機能しているかどうか、ご確認いただけるだろう。
異業種交流で19の新商品開発
昨年暮、商品開発に取り組むための「商品開発チャレンジ研究会」を立ち上げた。当会議所からの呼び掛けに応えた二十七社が、木工チーム、食品、繊維、環境の四チームに分かれ、広島県立東部工業センターの指導を受けながら異業種交流による商品開発に取り組んだ。四カ月間の活動の結果、十九点の新商品を開発。まだ、開発途上の商品もあるが、これらの商品はすべて、府中ものづくり直販工房のバーチャルと直販店で販売している。
この研究会は、今年七月からパートIIとして再スタート、来年二月までの八カ月間をかけて、売れる商品の開発を目指した本格的な研究開発に取り組んでいる。
直販店は、開店時約百品目でスタートしたが、現在は三百品目に迫っている。地元商店街で直販店の運営を担当している中村さんは「ものづくり直販工房の商店街への出店は、単に空き店舗が一店舗埋まったということに止まらない。この店を中心に『ものづくりのまち』にふさわしい商店街づくりを進め、まち全体の活性化を図りたい」と話し、「今後、二号店、三号店をオープンし、そこでは、職人がつくっているところを体験し気に入った商品を買う、そんな店舗をつくりたい」と意気込む。
直販店は、消費者の意見を出展メーカーへ伝えるというアンテナショップの役割も果たしている。桐箱を買い求めにきた人に「色紙を入れるサイズのものはないだろうか」とたずねられた。早速、中村さんがメーカーに伝え、その後、定番商品として取り扱うことになったという事例もある。
現在、来街者を増やそうと、家主の協力を得て隣接する空き店舗を無償で借り受け、桐のはがきに押し花や絵を描く技術を教えたり、廃材を利用して調度品を工作する「ものづくり教室」を開催している。教室には市外からの参加もあり、「十数年ぶりに府中の商店街に足を運んだ」という人もいるなど、集客機能を果たしている。
直販工房を観光資源に
「メイドイン府中」の商品を買ってもらうためには、ものづくりのまちとして、府中市を全国へPRし、知名度を高めなければならない。それが、直販工房の目的の一つでもある。今後はさらに、バーチャルを見た人が、産地である府中に足を運んでもらえる仕掛けが必要だ。そのためには、「ものづくり」テーマに産業の観光化を進めなければならない。
幸い、市内には上場企業が四社あり、これら企業や大手家具メーカーなどには、年間で相当数の視察がある。とくに、世界でトップシェアを誇るラジコンヘリコプターのメーカーには、年間約百台ものバスが視察のため訪れる。また、ある味噌メーカーでは、「自分だけの手づくり味噌をつくりませんか」と呼び掛け、味噌づくりの体験をさせている。これらを一種の観光資源ととらえ、ルート化することで、ものづくり体験と工場見学の観光ツアーを企画してみるのも面白いのではないかと考えている。
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