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民(みん)の力を活かしたまちづくりを

横浜市長

中田 宏

 今年四月に第二十八代目の横浜市長に就任して以来、私は、「最大の人口を持つ都市横浜が変われば日本が変わる」という信念のもと、新しい都市経営に取り組んでいる。
 私が目指す望ましい社会のあり方を一言でいえば、「民(みん)の力が存分に発揮される社会」である。ここで「民」とは、社会の構成員たる一人ひとりの市民・国民であり、各種の団体であり、民間の企業のことを指している。
 地方自治体は、程度の差こそあれ、どこも財政状況が厳しい中で多様化し増大する市民ニーズに網羅的に応えていくことに、限界がきていると思う。市民のニーズはますます細分化していて、いわば皆が少数派だ。こうなれば当然、市民のほうがニーズを十分把握しており、市民が持っている知恵や知識を活用しなければ迅速な解決を図ることは難しい。これまでのように、何でもかんでも行政が公的サービスを供給するのではなく、市民にも公的サービス供給の担い手になってもらうことが必要となっている。
 記憶に新しいところでは、日本各地で開催されたワールドカップサッカー大会で、ボランティアをはじめとする多くの市民の力が大会の成功を支えたことがあげられる。通訳や案内誘導、街の美化、イベント補助など、多岐にわたるボランティアの協力がなければ、あれほど円滑な大会運営は成り立たなかっただろう。
 また、高齢者福祉、子育て、環境、まちづくりなど幅広い分野で、市民の手により、公的な活動やサービス提供が行われている。
 結果として、そういった活動が行政の手が届きにくい部分までサポートして、社会を潤いのある豊かなものにしている。
 それでは、行政の役割とは何なのだろうか。
 その答えの一つは、実際に横浜山手地区で起こったマンション問題を契機に、市が開設する「まちのルールづくり相談センター(仮称)」にあると思う。センターでは、「住民発意型の地区計画」を積極的に推進するため、たった一人からでも相談を受け付け、市民によるルールづくりを全面的にバックアップしていく。
 また、市では、歴史的建造物として保存が決まっている旧富士銀行横浜支店を暫定活用し、市民活動共同オフィスを設置する取り組みを行っていく。今秋から、市民活動団体に事務所として賃貸する予定である。
 このように、行政には、民が創意工夫して努力していくことを応援し、それぞれの目標や夢が実現していく環境をつくるという役割がある。三百五十万の横浜市民が、より一層誇れるまちとなるよう、民の力を活かしたまちづくりを進めていきたい。
 横浜から日本を変える新風を巻き起こし、社会に漂う閉塞感を吹き払っていく決意である。





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