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千葉県銚子市 銚子かっぱ村 かっぱも住める水環境のまちづくり |
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(財)地域活性化センター業務第二課副参事 |
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大野誠一 |
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関東平野の最東端に位置する千葉県銚子市は、古くから漁業と醤油のまちとして知られている。JR銚子駅を出ると、車道と同じくらい幅がある広々とした歩道が、利根川に一直線に伸びている。利根川沿いに河口に下ること数分、漁船のひしめく銚子漁港にたどり着く。港には、ポケットパークがあり、その一角に一つの銅像が目につく。…かっぱの像である。母親かっぱの手の中から、愛くるしい顔をした子かっぱが今にも飛び出そうと両手を天に向けて伸びをしている。
ここ銚子には昔、大新河岸(だいしんかし)という船着場に母子かっぱが住んでいて、人びとを水難から守ったといわれる。かっぱはきれいな水にしか住まないということから、人とかっぱとが共生できる水環境のまちづくりと、ふるさと銚子のまちおこしを祈念して、平成七年この銅像は建てられた。銅像の説明書きの最後には、銚子市・銚子かっぱ村と書いてある。
今回は、この「銚子かっぱ村」を訪ねた。
大内かっぱハウスに4千点のグッズ
母子河童像のすぐ近くに、三階建ての建物がある。一階のガラス越しにビニール製の大きなかっぱがこっちを見ている。この建物は、“大内かっぱハウス”と言い、かっぱの魅力を少しでも知ってもらうため平成十二年に建てられたものである。この建物には、銚子かっぱ村の村長(代表)大内恭平さんの長年のコレクションである、大小約四千点のかっぱグッズが展示されている。今では、銚子の観光スポットの一つになり、観光振興に一役買っている。
ここ大内かっぱハウスに村長の大内さん、助役の永澤さん、事務局長の角田さんの三人にお集まりいただき話をうかがった。
「茶目で、陽気で、嘘をつかない」。大内さんはかっぱをそう語る。その言葉は大内さん本人を表していると、永澤さんと角田さんは口をそろえて言う。もともと趣味の会として昭和六十年に発足したこの村は、そんな大内さんの人柄にひかれ集まった人びとのかっぱ談義の場であった。以前は、大内さん宅が銚子かっぱ村の集合場所であったが、このかっぱハウスができてからは、ここが銚子かっぱ村の拠点となった。
村民は、現在四十人(うち女性十人)。村と言うだけあり、村民の職業は、郷土史家、詩人、歌人、ジャーナリスト、宮司、僧侶、本屋、レストラン、建築士、銭湯、銀行員、公務員などバラエティに富んでいる。
時代の変化に伴い、銚子かっぱ村は、単なる趣味の部分のみならず、地域づくり活動の展開など、取り組みが広がってきている。
平成七年の開村十周年の節目に、「銚子の水辺環境・現状と課題」と題した報告書を発行した。これは、水の浄化運動を進めるにあたり、ふるさとの川や沼の水資源の現状を知ることが、すべての出発点と考え、銚子の川や池など、水辺環境についての水質や生物の生息状況などを調査したものである。この報告書では、水辺環境の改善方策として、「条例の制定」「水辺環境の多自然型工法による改修」「住民と水とのふれあい環境の整備」など調査データを基に関係機関への提言としてまとめている。
また、十五周年の十二年には、続編として「銚子の市街地河川・水道水源はいま」を発行し、改善状況を検証している。分析結果は残念ながら、七年の調査から改善が進んでいるとは言えない状況であった。しかし、この取り組みは、地域の水環境の現状を目で見える形で示すことで、地域住民の関心や環境保全への取り組みなどさまざまな影響を与えたことだろう。
自然への感謝を学ぶ
銚子かっぱ村は、水環境の保全とともに青少年の健全育成にも力を入れている。
郷土史家でもある永澤さんは、「昔は、泳ぎの初心者が川で泳ぐときは、かっぱにわかるように海老茶色のふんどしをして泳いでいたが、いつからか、かっぱがいて危ないから川で泳ぐな、というようになった」という。危険という一面だけとらえ、自然との距離をとってしまったことで、自然への感謝や大切にする心が薄れてきているのではないだろうか。
そこで、開村十周年記念事業の一環として、子供たちに地域の水環境の現状を見てもらい、考えてもらうことにより、地域の自然の大切さを学んでもらおうと、「かっぱがガイドする銚子の水辺探検!」が実施された。参加者は、約七十人。ガイドのかっぱ(村民)たちと銚子市内の川や池などをバスで回り、子供たちに感想を思い思いに書いてもらった。探検中は、川の浄化の仕組みや昔の人と水とのかかわり合いをかっぱの話を交えて学んでもらった。かっぱの話を交えることで子供たちの水に対する興味も深くなったのではないだろうか。永澤さんはこのとき参加した子供が川を見て、「水の赤ちゃんが生まれているよ」と言ったのが非常に印象に残っているという。子供を取り巻く環境が変わっているだけで、自然に飛び込めば子供の心は柔軟に対応できるのだろう。また、十五周年を迎えた十二年には、子供たちと保護者を対象に竹炭の炭焼き体験を行っている。竹炭の作製や効能を知ることによりエコロジーなものへの理解を深めてもらうことを目的に実施した。当日は、あいにくの雨だったが、子供たちは初めて体験する炭焼きを、遊び感覚でとても楽しんでいたそうだ。「ただし、これは準備が非常に大変でした」と、事務局長の角田さんは語る。竹炭を作るには、なんといっても竹がないと話にならない。村民の一人が所有する山に入り、竹を切り出す。夏の暑い中、山から竹を運び出すのは重労働である。また、竹を燃やすためのドラム缶の加工など下準備は大変だったという。そんな大変な作業でも成し遂げられるのは、環境保全への真面目な取り組みの表れであろう。
川びたりの風習が復活
銚子かっぱ村では恒例となった行事がある。十一年に復活した川びたり行事である。川びたりとは、この地域で昔行われていた風習で、旧暦の十二月一日、あんのついた餅を利根川にまき、子供のおしりを川につけ水難のないことを願ったものである。復活させた川びたりだが、現代風にアレンジが加えられた。水環境の保護のため、川に餅をまくのをやめ、行事の参加者に配ることにした。行事では提灯行列とかっぱ供養が行われ、その中で水資源の大切さを参加者に訴えている。行事の最後はかっぱにつきもの(?)の酒が出てきて宴会となり、茶目で陽気なかっぱたちでにぎわう。
この川びたりは、銚子かっぱ村の恒例行事としてそれ以降、毎年実施されており、多くの市民の参加を得ているという。
村の節目節目において、水辺環境の保全や青少年育成に関する事業を展開している銚子かっぱ村。「基本は、遊び心を大切にし、肩肘はらず、これまでどおり地道に活動を続けたい」と語る。次は、三年後に二十周年記念事業を行う予定であるという。
銚子かっぱ村の人たちは、「茶目で、陽気で、嘘をつかない」というかっぱの精神どおりの、とても気さくな方々であった。
数年後、数十年後、この方々の取り組みにより、銚子のまちがかっぱの住むきれいな水環境のまちとなっていることを期待したい。
銚子かっぱ村●プロフィール
設立年=昭和60年5月
設立・運営主体=自主的組織
会員数40人
代表者=大内恭平
事務局連絡先=〒288−0041 千葉県銚子市中央町6−25 TEL0479−20−0088
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